音楽・本・映画などについての私的な感想
by maru33340
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リサ・バティアシュビリのブラームス/ヴァイオリン協奏曲
今日のN響アワーで、リサ・バティアシュビリの弾くブラームス/ヴァイオリン協奏曲を聴く。
この人の演奏を聴きたいと思っていた。
これは期待を遥かに上回る素晴らしい演奏だった。
技術と情熱のバランス、歌心に満ちた歌い回しとハンガリー風のフレーズの弾き分けのメリハリ。
骨太にして豊穣な音色も大きな魅力。
この人と、イザベル・ファウストの二人のヴァイオリニストが今の僕のマイブームになりました。
この人の演奏を聴きたいと思っていた。
これは期待を遥かに上回る素晴らしい演奏だった。
技術と情熱のバランス、歌心に満ちた歌い回しとハンガリー風のフレーズの弾き分けのメリハリ。
骨太にして豊穣な音色も大きな魅力。
この人と、イザベル・ファウストの二人のヴァイオリニストが今の僕のマイブームになりました。
酒を飲む吉田健一

ある日。
吉田健一がある大学で講演をした時のこと。
控室の氏を呼びに行った助手がドアを開ける。
他に誰もいない古いワックスの匂いの部屋に灯も灯さず、初冬の風の吹き入る窓を開け放ち、外は既に闇。微かに揺れる木々が見えるのみ。
その何を見るともなくほとんど動かない夜の塊となった吉田健一が椅子に座ってじっと外の闇を見つめギネスビールを飲んでいる。
助手はその姿に畏れてついに言葉をかけることも出来なかった…
(河出書房「道の手帳」『吉田健一』より)
川本三郎著『小説を、映画を、鉄道が走る』(集英社)読了
夜、寝る前に読んでいた川本三郎のエッセイを読了した。
面白かった。
もともと川本三郎のエッセイは好きだったけれど、この本は「鉄道」をキーワードにして、小説や映画を語るという趣向がとても良く機能していて、本を読みながら、小説や映画の登場人物とともに旅をしているような気持ちになる。
取り上げられる鉄道は、廃線や忘れられそうなローカル線の小さな駅前だったりと、いかにも川本三郎好みで、僕の好みにも合う。
少し感傷的でノスタルジックな文章も何とも好ましく、夜毎の小旅行を堪能しました。
面白かった。
もともと川本三郎のエッセイは好きだったけれど、この本は「鉄道」をキーワードにして、小説や映画を語るという趣向がとても良く機能していて、本を読みながら、小説や映画の登場人物とともに旅をしているような気持ちになる。
取り上げられる鉄道は、廃線や忘れられそうなローカル線の小さな駅前だったりと、いかにも川本三郎好みで、僕の好みにも合う。
少し感傷的でノスタルジックな文章も何とも好ましく、夜毎の小旅行を堪能しました。
幻の廃線跡をめぐる秀作『ロスト・トレイン』(中村弦著、新潮社)
夜眠りにつく前に、川本三郎のエッセイ『小説を、映画を、鉄道が走る』(集英社)を読んでいる。
文字通り、小説や映画に出てくる鉄道をめぐるエッセイで、読んでいてとても気持ちが良くなる好著。
あまりに良い気持ちになり、直ぐに眠くなるのでなかなか読了しないけれど、毎晩少しづつ読んでいると、日々じわじわと鉄道が好きになっている。
このエッセイで紹介された本はどれも魅力的だけれど、今日列車の中で、読了した小説『ロスト・トレイン』は、詠みやすくてノスタルジックな素敵な小説だった。
幻の鉄道廃線跡をめぐる都市伝説を縦糸に、ある失踪事件が起こる…
鉄道小説であり、ミステリーでもあり、ファンタジーでもある不思議な作品。
中村弦という作家の作品を初めて読んだけれど、ストレートで好きな作風。
地味だけれど注目の作者です。
文字通り、小説や映画に出てくる鉄道をめぐるエッセイで、読んでいてとても気持ちが良くなる好著。
あまりに良い気持ちになり、直ぐに眠くなるのでなかなか読了しないけれど、毎晩少しづつ読んでいると、日々じわじわと鉄道が好きになっている。
このエッセイで紹介された本はどれも魅力的だけれど、今日列車の中で、読了した小説『ロスト・トレイン』は、詠みやすくてノスタルジックな素敵な小説だった。
幻の鉄道廃線跡をめぐる都市伝説を縦糸に、ある失踪事件が起こる…
鉄道小説であり、ミステリーでもあり、ファンタジーでもある不思議な作品。
中村弦という作家の作品を初めて読んだけれど、ストレートで好きな作風。
地味だけれど注目の作者です。
ある作家の生誕百年を祝す
本屋で思いがけない本に出会うことはあっても、「おっ」と声にまで出して、まるでなでさする様にその本を抱えたままレジに向かう時には、既にその顔はほころんでいるというような本に出会うのは稀なので、それは今日出会った『吉田健一』(KAWADE道の手帳)であるのは言うまでもなく、今年は吉田健一生誕百年の年なので、こんな思いがけない喜びに後二三回は会えるのだろうと思うと喜びはつきない。
雪の夜のブルックナー
関東地方は雪が降り続いている。
こんな雪を見るのは北陸からこちらに戻ってきて初めてのこと。
時々雪を窓から眺めながらブルックナーのアダージョを聴いていると、全てが洗い流され、時間さえ失われて、何処か宇宙の彼方に自分が浮かんでいるような気持ちになってくる。
こんな雪を見るのは北陸からこちらに戻ってきて初めてのこと。
時々雪を窓から眺めながらブルックナーのアダージョを聴いていると、全てが洗い流され、時間さえ失われて、何処か宇宙の彼方に自分が浮かんでいるような気持ちになってくる。
『忘れられる過去』(荒川洋治著、朝日文庫)
通勤電車の中で、この『忘れられる過去』というエッセイ集を少しずつ読み、ようやく読了した。
一編一編は短く、文章はユーモアに富みとても詠みやすい。
それでいて読了するまでぬ随分長くかかったのは、読みながら色んなことを考えさせてくれるから。
「そうそう」と著者に語りかけたくなるような文章が続き、対話をしているような気分になる。
例えば、こんな文章。
「不思議なもので、背中の作家の名前を、三十年も見ているとなかみも「わかる」。第一一巻の徳田秋声はしぶい文豪。若いときに読んでも、真価がわからないと聞いたので読まなかった。四〇代もなかばを過ぎた、ある夜、ふと背中を見たとき、「ああ、そうか。これが、徳田秋声なのだ」と思った。なんだか、わかったような気がした。つまり読むときが来たのだ。」
僕はもう「そうそう」と膝を叩いて声にだしそうになるのだ。
一編一編は短く、文章はユーモアに富みとても詠みやすい。
それでいて読了するまでぬ随分長くかかったのは、読みながら色んなことを考えさせてくれるから。
「そうそう」と著者に語りかけたくなるような文章が続き、対話をしているような気分になる。
例えば、こんな文章。
「不思議なもので、背中の作家の名前を、三十年も見ているとなかみも「わかる」。第一一巻の徳田秋声はしぶい文豪。若いときに読んでも、真価がわからないと聞いたので読まなかった。四〇代もなかばを過ぎた、ある夜、ふと背中を見たとき、「ああ、そうか。これが、徳田秋声なのだ」と思った。なんだか、わかったような気がした。つまり読むときが来たのだ。」
僕はもう「そうそう」と膝を叩いて声にだしそうになるのだ。
ギュンター・ヴァントのブルックナー交響曲八番
晩年のヴァントのブルックナーの評価は高い。
しかし長くブルックナーの真価を理解出来なかった僕は、その演奏を聴いた事はなかった。
だが先日「ブルックナーシンフォニーインカテドラル」という演奏により、忽然とブルックナーに開眼してからは、ブルックナーの交響曲の一音一音が、心の隅々まで染み渡るようになった。
そして今日とうとう、ギュンター・ヴァントのブルックナー交響曲八番を聴き、アダージョ楽章のあまりの美しさ、神々しさに雷鳴に打たれるような感銘を受けた。
音楽は滔々たる大河のように流れ、深い森から神話時代のようなホルンが響き渡る。
これはまさに、空を超えて宇宙そのものが鳴り響くような神々の音楽なのだ。
しかし長くブルックナーの真価を理解出来なかった僕は、その演奏を聴いた事はなかった。
だが先日「ブルックナーシンフォニーインカテドラル」という演奏により、忽然とブルックナーに開眼してからは、ブルックナーの交響曲の一音一音が、心の隅々まで染み渡るようになった。
そして今日とうとう、ギュンター・ヴァントのブルックナー交響曲八番を聴き、アダージョ楽章のあまりの美しさ、神々しさに雷鳴に打たれるような感銘を受けた。
音楽は滔々たる大河のように流れ、深い森から神話時代のようなホルンが響き渡る。
これはまさに、空を超えて宇宙そのものが鳴り響くような神々の音楽なのだ。
由紀さおり「1969」と「下山の思想」
由紀さおりの「1969」というアルバムが世界的にヒットしている。
昨日BS プレミアムで、そのアルバムから何曲かを、本人の歌で聴いたけれど、ペギー・リーの曲を語り付きで歌う彼女の歌唱に感じ入り、やはり由紀さおりは天才であると確信した。
その何処にも無理な力が入っていない伸びやかで余裕のある、それでいて少しだけアンニュイな歌声は、聴いていて何とも心地よい。
そこには失われた時への微かな哀惜とノスタルジーがあり、大きな何かに包まれる安心感がある。
その歌を聴きながら、僕は最近五木寛之さんが語っている「下山の思想」のことを思い出していた。
山を登っている時には周りの景色はあまり見えないけれど、ゆっくりと山を降りる時には、周囲の景色が美しく映る。
日本も経済的にある円熟期を迎え、今ゆっくりと停滞から下降期に移行している。
これからは少し周りや過去を振り返り余裕を持った生き方へ移行していく考え方、すなわち「下山の思想」が必要な時代になるのではないか…
由紀さおりの歌声が世界中で求められているのは、そんな時代の空気があるからなのかも知れない。
昨日BS プレミアムで、そのアルバムから何曲かを、本人の歌で聴いたけれど、ペギー・リーの曲を語り付きで歌う彼女の歌唱に感じ入り、やはり由紀さおりは天才であると確信した。
その何処にも無理な力が入っていない伸びやかで余裕のある、それでいて少しだけアンニュイな歌声は、聴いていて何とも心地よい。
そこには失われた時への微かな哀惜とノスタルジーがあり、大きな何かに包まれる安心感がある。
その歌を聴きながら、僕は最近五木寛之さんが語っている「下山の思想」のことを思い出していた。
山を登っている時には周りの景色はあまり見えないけれど、ゆっくりと山を降りる時には、周囲の景色が美しく映る。
日本も経済的にある円熟期を迎え、今ゆっくりと停滞から下降期に移行している。
これからは少し周りや過去を振り返り余裕を持った生き方へ移行していく考え方、すなわち「下山の思想」が必要な時代になるのではないか…
由紀さおりの歌声が世界中で求められているのは、そんな時代の空気があるからなのかも知れない。
夢の続き
先週、新たに出会ったヴァイオリニスト、イザベル・ファウストのバッハアルバムを銀座山野楽器で購入した、つもりだった。
ところが自宅に帰り袋からCD を出すと、全く違うアルバムが…
それは、フランスの歌手、サンドリーネ・ピオの歌う「夢」をテーマにした歌曲を集めたアルバムだった。
確かに少し気になり、手に取りはした。
しかし輸入盤ゆえ歌詞の対訳がないので、棚に戻したはずだった。
ところがあろうことか、棚に戻したのはイザベル・ファウストのアルバムだったらしい。
いやはや…
けれど、リヒャルト・シュトラウス、フォーレ、ショーソン、ブリテンなど多彩な作曲家の歌を集めたこのアルバムはなかなか素晴らしいものだった。
サンドリーヌ・ピオという歌手、僕は全く知らなかったけれど、吉田秀和さんが以前エッセイで絶賛していたとの事。
確かに、まっすぐで翳りのない美声は耳に心地よく、選曲も良い。
それにしても、先日夢の中で漱石の「夢十夜」を金沢の芝居小屋で朗読していたかと思うと、買ったはずのない「夢」をテーマにしたアルバムが家にあり、友人の夢の中で、詩の朗読をしていたりと、何だか夢が続いているのだが…
ところが自宅に帰り袋からCD を出すと、全く違うアルバムが…
それは、フランスの歌手、サンドリーネ・ピオの歌う「夢」をテーマにした歌曲を集めたアルバムだった。
確かに少し気になり、手に取りはした。
しかし輸入盤ゆえ歌詞の対訳がないので、棚に戻したはずだった。
ところがあろうことか、棚に戻したのはイザベル・ファウストのアルバムだったらしい。
いやはや…
けれど、リヒャルト・シュトラウス、フォーレ、ショーソン、ブリテンなど多彩な作曲家の歌を集めたこのアルバムはなかなか素晴らしいものだった。
サンドリーヌ・ピオという歌手、僕は全く知らなかったけれど、吉田秀和さんが以前エッセイで絶賛していたとの事。
確かに、まっすぐで翳りのない美声は耳に心地よく、選曲も良い。
それにしても、先日夢の中で漱石の「夢十夜」を金沢の芝居小屋で朗読していたかと思うと、買ったはずのない「夢」をテーマにしたアルバムが家にあり、友人の夢の中で、詩の朗読をしていたりと、何だか夢が続いているのだが…
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