新・クラシック音楽と本さえあれば

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2017年 08月 24日

どこまでも自然体なバッハ

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友人が残暑見舞いと言ってオーストラリアの未知のヴァイオリニストのリチャード・トネッティの弾くバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを送ってくれた。

この曲から連想される緊張感とは無縁の自然体でリラックスした演奏。
テクニックをこれ見よがしに誇張するような無用なこわばりがなく耳に心地よく何時までも聴いていられるから、このCDが到着して以来朝な夕な繰り返し聴いて楽しんでいる。

少し骨太の渋い音色も味わい深く、熟練した老名優の演技を見ているような安心感がある。

日々の生活の中でいつも自然体でさりげなくいることはなかなか難しいけれど、我もまたかくありたいなあなどと思ったりします。
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# by maru33340 | 2017-08-24 06:12 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 08月 23日

夏のオリオン

昨夜、夜中(3時頃)に喉が乾き目覚める。

お茶を飲んでいると窓の外から秋の虫の鳴き声が聞こえベランダに出ると金星が赤く明るく(音が聴こえるような気がする程)瞬き、見上げれば満天の星空が広がっている。

東の空にはオリオン座も(あの真ん中の3つの星まで)くっきりと見えている…
ふと「そういえばオリオン座は冬の星座ではなかったか」と思い目をこすり見直してもくっきりと空に瞬いている。

少し調べてみるとオリオン座は夏でも夜明け前に見ることが出来るそう。

今朝は様々な階調の雲が空に広がる。

自然の持つ表情に癒される日々です。

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# by maru33340 | 2017-08-23 06:23 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 22日

秋の気配に

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昼間はまだまだ暑いけれど朝晩は少し涼しく過ごしやすくなってきた。

今朝窓の外を見たら霧が立ち込めていた。

二十四節気ではあすから「処暑」。

古来この時期を境に夏の暑さが次第に和らぎ、虫の声や風に秋の気配が漂う季節とされている。

異常気象のようでありながら、まだ基本的な季節の移り変わりは保たれていると思うと少し心が安らぎます。
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# by maru33340 | 2017-08-22 07:22 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 08月 20日

拝啓、父上様

辻邦生と水村美笛の往復書簡を読んで以来、手紙という表現の持つ力を改めて思っています。

それを読んでくれる人がいること、伝えたい思いがあることには一方通行ではない心の交流があるからか、読んでいてとても心癒されるような気がします。

学生時代には友人と随分手紙のやり取りをしたけれど(今はメールがあるから手紙を書くということはほとんど無くなってしまったけれど)そこには「待つ時間」という失われてしまったとても大切なものがあり、こんな時代だからこそもう一度手紙の持つ「待つ時間」の力を思い出したいと思っています。

そんなことを思いながら、今僕が一番手紙を出したかった人に向けてこんな手紙を書いてみました。
(その人からは永遠に返信はこないのだけれど…)


拝啓、父上様

最近、心を離れぬ浮き世のしがらみに心煩わされていて眠れないままこの手紙を書いています。

お盆に大阪に帰った時以来お父さんのことをよく思い出します。

10年前の1月、突然の吐血でお父さんが入院したとの知らせを受け実家に戻った時に壁のカレンダーの木曜日の所に◯印がついていて、母に「この印は何?」と尋ねた所、それは父が毎週見るのを楽しみにしていたその年の1月に始まったばかりの二宮和也主演のドラマ『拝啓、父上様』の放送日で、見逃さないように印をしてあることを知りました。
几帳面なお父さんらしく印は3月の放送終了日までついていましたね。

僕もそのドラマを毎週とても楽しみに見ていて、残念ながらお父さんは入院中にはしばらくそのドラマを見ることは出来ないなあと漠然と思っていたけれど、まさかその時は1ヶ月後に旅立ってしまうなんて夢にも思いませんでした。

あのドラマの舞台になった神楽坂を訪ね歩いたこと、八千草薫と森光子の対峙するシーンの凄かったこと…もっともっとお父さんと話したかったです。

本当はあの時もっともっと手紙を書いていろんな事を話していれば…なんて今になって悔やんでも仕方ありませんね。

また、手紙を書きます。
では今夜はこのあたりで。

敏行
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# by maru33340 | 2017-08-20 05:00 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2017年 08月 19日

『BILL EVANS TRIO WITH SYMPHONY ORCHESTRA』

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数多いビル・エヴァンスのアルバムの中でも、ショパン・バッハ・スクリャービン・フォーレなどのクラシック音楽をジャズにアレンジした曲を中心に、ビル・エヴァンス・トリオがオーケストラと共演したアルバム『BILL EVANS TRIO WITH SYMPHONY ORCHESTRA』は語られる事の少ないアルバムだ。

かくいう僕も30年以上ビル・エヴァンスの音楽を聴き続けてきたけれど、今回ふとした事から入手し初めて聴き始めた。

おそらく熱心なエヴァンスファンやジャズファンからは本道を外れたものと受け取られているのかも知れないけれど、夏の朝、リラックスした雰囲気のオーケストラアレンジをバックに耽美的で流麗で微かに哀しみを帯びたビル・エヴァンスのピアノを聴いていると、少し凝り固まった心と身体が緩んでいくよう。
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# by maru33340 | 2017-08-19 11:45 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 08月 17日

佐藤正午の小説『月の満ち欠け』のこと

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佐藤正午の小説はデビュー作の『永遠の1/2』を社会人になってすぐの1983年(34年も前!)に読んで感心しその後いくつかの作品を読んできた。

僕より年上のベテラン作家だから、今回の直木賞受賞には驚いてしまい何となく読むのを先送りにしてしまったけれど、ふと思い立ち昨日午後から受賞作の『月の満ち欠け』を読み始めついつい引き込まれてしまい夜通し読み明け方読了。

この作家のいくつかの作品に出てくる「人生の岐路における選択」というテーマに「生まれ変わり」という主題が絡む展開には賛否があるようだけれど、何よりその文章の持つ流れの良さと瑞々しく清潔な語り口に魅了された。

本を読み終え気がつけば窓の外からは秋の虫の鳴く声が微かに聞こえ、小説のラストの余韻も相まって夏の終わりの哀しみがそくそくと胸に迫ってくるよう。
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# by maru33340 | 2017-08-17 05:52 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 08月 15日

8月15日に「ヨハネ受難曲」を聴く

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今日は8月15日。
毎年この日が近づいて来ると心の底に静かな哀しみが降り積もり、微かに光射す深い洞窟の底にいて沈黙の中に膝を抱えてうずくまっているような心持ちになる。

失われた一つ一つの命が一粒の麦となって今の僕たちの世界を支えてくれている…と信じてバッハの「ヨハネ受難曲」を聴く。

https://www.youtube.com/watch?v=h3pRYk8tE_I&sns=em
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# by maru33340 | 2017-08-15 06:37 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 08月 10日

法事にて

昨夕、父の法事で母の住む高槻の実家に戻った。

昨日の午前中少し重い物を持ち腰を痛めてしまったので、今朝お坊さんが来るまでお盆の準備をしてある仏壇のある部屋で座布団をひき横になっていたら法事の始まるお昼前に腰の痛みがスッとひいた。
母にそう話したら「それはおとうさんが治してくれたのよ」と当たり前のように言う。
「そんな非科学的な…」とは思ったけれど「そうかもね」と答えてお参りを終え一緒に昼食を食べて帰宅する前に本屋に寄り、出たばかりの河合隼雄さんのエッセイ『こころと物語のゆくえ』を買って新幹線で読んでいたらこんな言葉に出会った。
「人間の肉体は消え去るが、その人の存在そのものがなくなることはない」。

そう言えば父は生前、あまり身体が強くない僕の事を気にしていて、初めて富山に単身赴任した時には週に一回は手紙をくれて末尾に「風邪をひかないように」「ちゃんと栄養をとるように」と必ず書き添えてくれていた。

もしかすると今日僕の腰を治してくれたのはほんとうに父だったのかも知れないなあ。
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# by maru33340 | 2017-08-10 19:17 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 09日

読むことの幸福の方へ

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昨夜、辻邦生と水村美笛による往復書簡『手紙、栞を添えて』を読了する。

かつて1996年から97年にかけて「朝日新聞」の紙上に掲載され1998年に本になったもの。
その頃新聞で何度かその記事を読んだ記憶がある。
辻邦生はこの本が刊行された翌年の1999年の夏急逝した事を僕らは知っているから、その最後の手紙からまるで辻邦生は自分の残りわずかな命を知っていたのではないかとふと思ってしまう。

この本には読書を巡るさまざまな話題が平易な言葉で語られ興味が尽きない。
読みながら、トーマス・マンの小説を再読したくなったり幸田文の随筆を読みたくなったりいろんな刺激を受けた。

この本は一言で言うなら「読むことの幸福」について語られた本で、それは辻邦生の次のような言葉に言い尽くされている。

「日本の風土に欠けていたのは何なのでしょうか?一言で言えば「幸福」の概念―無償の喜びの感覚でしょう。あるいは「生きる」という単純なことに向き合う無垢な姿勢といっていいかも知れません。幸福とは過ぎ去るものであり、幸福であるためには、たえず幸福であるように生きなければなりません。所有物がなくなるという意味で幸福は過ぎ去るのではなく、幸福とはもともと生きることによって私たちが作ってゆくものなのです。生きることを喜ぶ気持ちがなければ幸福も何もありません」

この言葉は辻邦生が生涯書き続けた小説に流れ続ける通奏低音のような大切なテーマで、読んでいると生きていくことに少し光のようなものを感じられるのだ。

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# by maru33340 | 2017-08-09 05:13 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 08月 08日

グレン・グールドのハイドン

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時折ふとハイドンの音楽が聴きたくなる。
彼の音楽にはどこかユーモアがあり聴いていてリラックス出来るから疲れ気味の時などには特に。
休日出勤の代休の今朝はグレン・グールドのハイドン後期ピアノソナタ集を聴き始めた。

このアルバムはグールド生前に発売された最後のアルバム。
グールドはその早い晩年に「ここ最近、わたしは深夜自分のためだけに弾いたピアノ曲はハイドンだけでした」と語っていたほどハイドンに惹かれていたよう。
このアルバムからは、無心で積み木を積み上げている子どもの背中を眺めている時のような微笑ましさと孤独を同時に感じて、聴いていると「今」という時間のかけがえなさにふいに胸をつかれ少し泣きそうな気分になるのだ。
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# by maru33340 | 2017-08-08 07:27 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)