新・クラシック音楽と本さえあれば

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2009年 01月 03日

『山の音』(川端康成)

二年程前、まだ北陸に単身赴任していた頃自主上映の小さな劇場で、川端康成原作、成瀬巳喜男監督の『山の音』を観たことがある。

主演は山村聡と原節子。これは大変美しい映画で、なにより原節子の演じる、ひかえめで優しく、しかし凄みと官能性さえ漂う菊子にすっかり魅せられてしまった。

その時川端の原作を読もうと文庫本を買ったまま結局読まずじまいだったけれど、この正月になんとなく本棚から引き出し、イタリアの評論家であるジョルジュ・アミトラートさんによる解読書「『山の音』こわれゆく家族」を手引きに読みはじめた。

いやはや、この『山の音』という小説は何と言う奥深い小説であることか。そして川端康成という作家はなんと謎めいた作家であることか。

須賀敦子さんによる『山の音』評によると、

「(この小説に)川端は彼らしい象徴性や落とし穴を貴い毒のようにあちこちにひそませて、作品にほのかな退廃性と気品をたきこめる。」

確かに遠く『源氏物語』の罪の記憶を響かせて、余白を活かしたこの小説は、謎と気品に満ちている。


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by maru33340 | 2009-01-03 07:14 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)
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Commented by saheizi-inokori at 2009-01-03 07:49
高校生の時に読んだのですが、今は全くと云ってもいいほど忘れています。そんな名作だったんですね。
どうも若い頃“読んだ”といっても当てにならないな。


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