2009年 06月 16日
2つの『ゼロの焦点』
先日テレビドラマとして放映された『駅路』は向田邦子の脚本も素晴らしく胸に迫る作品だった。
この秋には初期の傑作『ゼロの焦点』が映画化されるということなので原作を読み返してみた。
テレビドラマにもなっていたと思うので読んでいる内に内容は次第に思いだしたけれど、やはり松本清張の原作は読み始めるととめられない緊迫感があり傑作だった。
今は時間があるので昭和35年に映画化された作品をDVDで見た。
これは前半はほぼ原作通りに進むけれど、ラストに入り能登金剛の絶壁で殺人の動機が語られる部分が橋本忍の脚本によって大きく膨らんでいて、(原作ではやや唐突な感じが否めない)動機について十分納得出来るようになっていて、その哀れさがソクソクと胸を打つ名作になっている。
北陸に二年間単身赴任していたので、金沢の風景の変化も興味深い。
しかし平成21年の今若い観客がこの動機に対して共感を感じる事が出来るかしら?とふと思う。
昭和22、23年頃敗戦後の日本が置かれた特殊な事情が大きく背景にあるので、果たして現代に生きる若い人にどう受けとめられるのかが興味深い。
この秋公開の映画はそこをどのようにクリアするのだろうと今から楽しみですね。
映画を観るかな。
先日、小石川植物園の深い森を彷徨い歩きました。
深呼吸を半年分くらいしましたよ。
梅雨寒ですが、雨上がりの森はこの上なく清浄な空気に満ちています。
お近くにそんなところがあるなら、雨上がりのお散歩はお奨めですよ。
では、また。
映画はよく出来ています。お勧めです。