2009年 06月 24日
『叙情と闘争』(辻井喬・堤清二回顧録)
今回の旅の間、友人から薦められたこの『叙情と闘争』をずっと持ち歩き読み続けた。
これは詩人・作家であり元セゾングループの代表であった辻井喬(堤清二)が、その半生を率直すぎるほどに回顧した、極めて興味深い一冊だった。
かつて僕が大学生だった時代(1980年代初頭)西武百貨店は輝いていたように思う。
「おいしい生活」というコピーに代表されるように消費することが美しく文化的にさえ見えた時代があったことは、今のすっかり凋落してしまった西武を見ている僕らにはまるで幻のように思えてしまう。
この本からは、そうした幻のような熱狂の時代を、詩人と経営者という矛盾を抱えながらその中心で生きてきた一人の人間の孤独が生々しく聞こえてくるようだ。