2009年 06月 25日
能登金剛・厳門への旅
静養中の旅先として北陸の金沢・能登の地を選んだ理由は二つある。
一つは金沢赴任時代の知人、友人とともに金沢の旨い魚を食べながらよもやま話をしたかった事。
二つ目は、最近凝っている松本清張の小説『ゼロの焦点』の舞台である能登金剛を訪ねたかった事である。
北陸赴任中には何度か能登有料道路を通り七尾や和倉温泉を訪れた事はあったけれど、能登金剛に足を延ばした事はなかった。
しかし小説『ゼロの焦点』を読み、昭和35年に作られた映画で昭和30年代の金沢・能登の風景を見ているうちにどうしても現在の能登金剛の風景の中に身を置きたくなった。
調べてみると、映画のラストシーンの舞台となったヤセの断崖は、能登地震のおりに崩れ落ちていた事がわかった。
そこで『ゼロの焦点』執筆にちなんだ松本清張の歌碑があるという厳門に向かう事にした。
厳門に行くためには金沢から羽咋経由門前行きの特急バスに乗り富来で降り、そこからタクシーに乗り全行程は約2時間かかる。
バスのチケット売り場で富来までの往復チケットを頼むと、そんな酔狂な客はあまりいないようで、少し怪訝な顔をされながら、ハンコを押した手作りのチケットを作ってくれた。
平日の能登門前行き特急バスは乗客数名を乗せ曇り空の下静かに出発した。
しばらく走り能登有料道路に入る。
窓の外を眺めると、重く垂れ込めた雲の下で、昨夜からの雨で荒れた日本海を鴎が飛んでいるのが見える。
富来のバス停留所に降りた乗客は二人。一台だけあったタクシーに乗り厳門に向かう。
厳門の手前から空は嘘のように晴れ渡り、その岸壁から眺める日本海は、昨夜川から流れ込んだ泥の部分とやや薄い碧と濃い碧の部分の三食に別れて高い白波をたてて広がっている。(写真)
その景色はまさに松本清張の世界。
充分にその世界を堪能し、再び富来のバス停留所に戻るためタクシーを呼んだ所、運転手さんは行きと同じ人だった。
能登についてあれこれと話をしながら降りる時には大きな能登ドライブマップをくれた。
再び富来から金沢にバスで戻り能登金剛厳門の旅は終わった。
ここまで読んでいただき、どうもお疲れ様でした。
書いてる私もくたびれた。
ありがとうございました。