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「下山事件」の謎

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昭和24年(1949年)7月6日未明、初代国鉄総裁であった下山定則の轢死体が常磐線と東武線が交差する五反野付近の常磐線線路上で発見された。
この事件の二日前には国鉄職員の第一次整理者三万七百人の人数が発表され物情騒然としていたことから、捜査は他殺説、自殺説入り乱れて混迷を極めていたが、死因・犯人も特定出来ないまま昭和24年12月31日に突然捜査本部は解散となる。
これだけの大事件でありながら突然の捜査打ち切りには何らかの外部の圧力が掛かっていると考えられるため諸説紛々とする中、松本清張は昭和35年に『日本の黒い霧』の中で、「下山事件はGHQによる謀略である」との説を発表する…

最近凝っている昭和史を調べていく内に「下山事件」に行き当たり何冊かの関連本を読んだ。
・『下山事件(シモヤマ・ケース)』(森達也)
・『謀殺 下山事件』(矢田喜美雄)
・『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝)
何れも非常にスリリングで興味深い本だが、特に柴田の『下山事件 最後の証言』は、満州事変から戦後の東西の冷戦という昭和史とこの事件との闇の部分での繋がりにまでメスを入れ、また吉田茂、岸信介、佐藤栄作、白州次郎といった戦後日本の大物と下山事件との関連にまで触れている。また亜細亜産業で働いていた著者自身の祖父がこの事件に関与していた可能性もあることから一層追求は切実なものとなっており、読み始めるとやめる事が出来ない。

下山事件に魅入られた人間のことを称して「下山病感染者」というらしいけれど、僕も何冊かの下山事件関連本を読んでいる内にどうやらこの病に感染したらしく、今日はこの事件の現場である五反野まで列車に乗り出かけてきた。

日暮里から常磐線に乗り、一旦事件の現場である東武線と交錯する箇所を通りすぎる。
荒川をすぎると線路は軽い右カーブになりスピードが出る上に、東武線のガードに遮られてほとんど見晴らしが効かなくなる所に事件現場はあった。
松戸からまた北千住まで折り返してから東武線に乗り換え五反野駅で下車。
徒歩で約15分歩き下山事件の現場に向かう。
現場付近は現在は「五反野コミュニティーセンター」として子供達の遊び場になっており、小さなプールから歓声が聞こえる。
常磐線のガードをくぐるとひっそりとした下山総裁の慰霊碑がある。(写真)
手を合わせていると頭上を常磐線が通り少し背中がヒンヤリした。

下山事件から今年でちょうど60年が経つ。
いまだに真相は明らかになっていない。
Tracked from 新・はんきちのつぶやき at 2013-08-15 21:47
タイトル : 終戦の日に熊井啓の社会派映画・・・『日本の熱い日々 諜殺..
友人が少し前、終戦後の混沌期やそのころの下山事件などをいくつか読み進めていた。その背後に蠢いていた某国や、その息がかかった諜報部隊の煽動や、いくつかの事件の真相は、いまだに謎に包まれたままだ。 今日は、池袋の新文芸坐で、熊井啓監督の2作が久々に一日限りで公開されるということで、朝からそちらに出向いた。『日本の熱い日々 諜殺・下山事件』(1981年、松竹、白黒)、『日本列島』(1965年、日活、白黒)。どちらも、これらの事件やそのころの日本と某国の上層部とそして黒幕がどのように動いていたのかを明ら...... more
Commented by saheizi-inokori at 2009-07-20 22:47
私も森、柴田本を読みました。
下山総裁の息子さんも知っています。
ミステリーですね。
Commented by maru at 2009-07-21 07:35 x
saheizi様
下山総裁の息子さんをご存知だったとは!驚きました。
Commented by k_hankichi at 2013-08-15 21:48
熊井啓監督による、『日本の熱い日々 諜殺・下山事件』(1981年、松竹、原作は矢田喜美雄『謀殺・下山事件』)を観た。凄かった。
by maru33340 | 2009-07-20 15:06 | お勧めの本 | Trackback(1) | Comments(3)

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by maru33340
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