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『それからはスープのことばかり考えて暮らした』(吉田篤弘)

一昨日、上野鈴本でチケットを買うために並びながら、買ったばかりのこの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読み終えた。

これはとても気持ちの良い小説。
世間の片隅にひっそりと暮らす人々のささやかな想いを、そっと掬い上げて、瀟洒な器に盛り付けたような物語。
味付けは、これ以上薄くすることは出来ない程淡泊。
悪い人間は出てこない。

お腹が空いているときには向かないけれど、「最近、少し何かが足りないな」、と空を見上げながら感じる秋の昼下がりなんかに読むと、心にすとんと落ちてくる。

勿論寄席の切符を買うために並びながら、時々街を行く人々を眺めつつゆっくり読むのに、こんなに相応しい物語はない。

それからはスープのことばかり考えて暮らした

吉田 篤弘 / 暮しの手帖社


by maru33340 | 2009-09-25 07:46 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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