2010年 01月 17日
MASTER TAPE──荒井由実“ひこうき雲”の秘密を探る
これは素晴らしいの一言につきる番組だった。
(録画をしていなかったのが悔やまれる。再放送時には必ず録画しなくては・・・)
荒井由実のデビューアルバム「ひこうき雲」の残されたマスターテープを聴きながら、本人や松任谷正隆、プロデューサーの村井邦彦、細野晴臣らレコーディングに参加した人たちが、当時の様子を語りあう、という番組だけれども、この1973年(当時僕は中学生!)に製作されたアルバムの音楽的なレベルの高さ、現在でも斬新なアレンジ、そして何より荒井由美の歌の驚異的な巧さに唸らされる。
そして、これは誰もが知っていることも知れないけれど、この1年以上かけたレコーディングの中で、荒井由美という当時19歳の少女は、アレンジャーの松任谷正隆と恋に落ちる。
その恋の模様もユーミン自身が(驚くほど)率直に語る。
今日、早速このアルバムを聴きなおしたくなり、ダウンロードして聴いているけれど、二人の恋の進行が、この「ひこうき雲」というアルバムに色濃く影を落としているのがわかる。
全体的に少しうす曇のイースターの頃を思わせる色合いで統一されたこのアルバムの随所に、恋の高揚と不安がほの見える。
そして、その幸福感に一抹の死の影が落とす陰影が、このアルバムを一層美しいものにしているのだ。
今年もmaruさん流の書評・音楽評楽しませていただきます。
「ひこうき雲」・・・・このアルバムのどの曲にも
少女期から大人への過渡期特有の
ほのかな痛みや喪失感が散りばめられていて
いつ何度聴いてもあの頃の気分にスッと落ち込んでゆきます。
男性の場合、少年期から青年期を経て大人になるわけですが
女性にとっては19歳は青春の真っ只中だけど
大人への変化を早急に促される季節、
たいていの女の子は普通に乗り切るのですが
多少の喪失や痛みを伴うイニシエーションだったりします。
19歳女性の厄年は実に道理であって
幸福と死の影が同居するというのもよくわかります。
そういう意味でもこのアルバムは稀有な作品群に彩られていますね。
男性であるmaruさんがそれを感じ取られるというのに驚きつつ
とても感心してこの記事を読みました。
私も再放送をしっかりチェックしようと思います。
女性の視点から共感いただきとても嬉しいです。今後とも何かお気づきの点ありましたら教えて下さいね。
ひとつのアルバムを作るために集まったプロ達の仕事、それをまた30年以上経って彼らが自分たちの仕事を確認するきらきらした目。小生もこのアルバムはよく聴いていたのですが、聞き落としていた音があったのをこの番組で発見し、あらためてCDを聞き直しているところです。いやはやいろんな意味でグッとくる番組でした。ご紹介頂きありがとうございました。
お忙しそうですが体調いかが?「ひこうき雲」は今もウオークマンにいれ聞き返してます。何度聞いてもいいですね。