2010年 03月 12日
志ん朝の音楽
インタビューに答えて鶴瓶が推奨していた「化け物使い」という噺は、まだ聴いた事がなかったので、昨日早速CDを求め寝る前にWalkmanで聴いた。
このCDには最初に粗忽な主人公の一人語りで進む「堀の内」が収録されていて、二つ目の「化け物使い」に入る時、普通は噺毎にある出囃子が入っていない。
あれっと思い調べた所、二つの噺は同じ日に収録されたライブ録画で、当日、志ん朝は「堀の内」を語り終えて袖に下がる事なく、「誠に馬鹿馬鹿しいお話しで…」と一呼吸置いた後すぐに次の「化け物つかい」に入ったものをそのまんま収録したという事がわかった。
僕はあまり独演会には行った事がないので、そういう事が普通に行われているかどうか定かではないけれど(佐平治さん、いかがでしょうか?)、このCDについては、アレグロのテンポで一気に駆け抜ける「堀の内」から、ぐっとテンポを落としてアンダンテで次の噺に入る感じが、非常に音楽的に感じた。
(まるで、ベートーベンの「運命」で三楽章から四楽章に移行する時や、シューマンの交響曲四番の終楽章への移行する時のワクワクする感じにとてもよく似ているのだ。)
これだけではなく、志ん朝の落語には随所に音楽を感じるのだ。
その時の間の取り方やおっしゃるようなテンポ・トーンの変え方が面白いですね。
好い噺は目をつぶって聴いても快いのは音楽的だからかも知れません。
道中の言い立てなんかもうまい人のは気持ちがいいですね。
テープを何度繰り返して聴いても飽きないのもそういうことなんでしょう。
ご教授ありがとうございました。今更ながら志ん朝の類い稀なる藝を堪能しました。