2010年 06月 26日
にわかサッカーファン、オシムの『考えよ!』を読む
しかしW杯が始まる少し前に、たまたまTVで中田英寿と本田圭祐の対談を見て、中田という人の知性と中田に対して対等に物を言う本田の日本人離れした野性的な眼を見ながら、もしこの本田という選手が攻撃の柱になれば面白いのではないか、と感じ、カメルーン戦を見た。
結果は大方の予想を裏切り予選突破の快挙となった。
いやはや、一体何故こんなことになったのやら。
そこで大変遅ればせながらオシム前監督の『考えよ!』を読み始めた。
その本の中でオシムは「日本は決勝トーナメントに進める」と語っている。それは希望的観測ではなく、対戦相手の3チームの強みと弱みを冷静に分析しながら、日本の可能性を語っている。
予選前に「絶対行くぞ!」という感情論ではなく、これだけの情報を元に冷静に日本決勝進出の可能性を語ったメディアは少なくとも僕の知る限りなかった。
またオシムは中村俊輔を評価しながらも、
「もし本田を使うならば日本代表にとっては一歩前進かもしれない。それは中村俊輔からスターの地位を強奪することを意味するからだ。」
と語っているのは、(最終的にオシムは中村俊輔を選ぶべきと語ってはいるものの)一つの炯眼であった。
オシムは「リスクを負うことが、日本人にとっては深層的なトラウマになっているのではないか。」と語り「何かに勝つためには、リスクや犠牲を負わなければならない。」と力説する。
今回のW杯一次リーグでは岡田監督は、大方の予想を裏切り、中村俊輔を外し本田をワントップにした。
これはもし惨敗すれば岡田監督にとっても本田にとっても大きなリスクだったはずだ。
しかし結果は大きな成果をもたらした。
オシムはこの結果と決断をどう評価するだろうか。