2012年 01月 09日
『野蛮な読書』(平松洋子著、集英社)
料理を巡るエッセイでありながら「今日は何も食べたくない」などというタイトルで、ものを食べたくない気持ちを正直にすっきりした文書で書く。
甘えた所がなく、自分をつき離したようなユーモアがある。
この人は大層な文章家であると感服し、新刊の『野蛮な読書』を読み、改めてその真価を知った。
読書を巡るエッセイが13篇。
何れも起承転結がしっかりしていて、その視点に一本筋が通っている。
書物を味わうのに、美味しいものを味わうように食し、官能的な文章でその魅力を語る。
誰にも支配されず、しかし独断的ではない独自の視点は、佐野洋子や武田百合子の文章に通じるものがある。
今後この人は小説を書くのではないかという予感もあり、また読んでみたいという期待がある。
早速既刊のエッセイを買いに本屋に走らなくては。
From はんきち:酒を呑むことにはがつがつ。