2012年 06月 24日
スカルラッテイと中也
何度か読んでいる中原中也の思い出について書かれた文章は、今改めて読んでも、まるでたった今書かれた文章のようにみずみずしい。
ホロヴィッツの弾くスカルラッテイのソナタを聴きながら読んでいると、中也の詩のもたらす、表面はおだやかだけれど、その奥を覗きこもうとすると、思わぬ深淵に引き込まれそうな力を一層強く感じてしまうようだ。
虚無を見つめる視線が、スカルラッテイと中也は良く似ているような気がする。
“あの人のスカルラッティは今日の趣味とは違うかもしれないが、ホロヴィッツがひくとスカルラッティは最高のヴェネチアン・グラスの花瓶みたいに美しく粋な工芸品みたいに鳴ったのではないか。”
また読み返しています。