2012年 08月 29日
「一生の終わりに残るものは・・・」
その人は、真面目で誠実な人柄だが、周囲の人たちとうまくやっていけず心を病んでしまった。
いろいろな話をしながら、その人は、今自分の居る場所から逃れようということばかりに意識が行ってしまっていて、今・ここでやるべきことがおろそかになってしまっているということに気付いた。
その人にどんな言葉をかければいいのかと思いながら、ロングセラーとなっている渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」というタイトルを思い出した。
その本を読んだことはなかったけれど、おそらくこんなことでないかと思いながら「今の自分の居る場所で最善と思える選択をすること。遠くの星を眺めすぎることなく、目の前のやるべきことを、一つ一つ丁寧に片付けていくことが大切では。」という話をした。
そう語りながら、自分自身の30年のサラリーマン生活を思った。
「果たしてそういう自分自身は、日々の仕事に丁寧に向き合ってきただろうか?」と思い返した時、どこにいても「あれが足りない、これが足りない」と不平ばかり言い続けてきたのではないかと気付き、恥じ入るような思いにかられた。
帰宅途中に、『置かれた場所で咲きなさい』という本を購入し、一気に読み終えた。
当たり前のような言葉がとても心に染みた。
例えば、こんな言葉が心に深く突き刺さった。
「一生の終わりに残るものは、我々が集めたものでなく、我々が与えたものだ。」
これからの数年間、今までの経験で得たわずかばかりの蓄積があるならば、それを次に続く世代に与えることが自分の使命ではあるまいか、などと思った。