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ピエール=ロマン・エマールの完璧な演奏会ライブに驚く

知人から、「これは凄い演奏です。」と、ピエール=ロマン・エマールの2001年カーネギー・ホールでのライブ演奏を収めたCDを貸してもらった。

これは掛け値なしに凄いとしか言いようのない素晴らしいアルバム。

第一にプログラムが良い。

第1部
■ベルク ピアノ・ソナタ
■ベートーヴェン ピアノ・ソナタ23番≪熱情≫
第2部
■リスト 2つの伝説第2番波の上を歩くパウラの聖フランソワ
■ドビュッシー 映像第1集から「水の反映」
■ドビュッシー 映像第2集から「金色の魚」
■リゲティー 練習曲集からの3曲
アンコールとして、
■メシアン 幼子イエスに注ぐ20のまなざし
■ドビュッシー 12の練習曲から第6曲

2つのソナタは、その色合いが異なるけれど、ベルクでの怜悧な響きとベートーヴェンの構築的で激しい情熱を見事に弾きわける手腕は只事ではない。
ベルクの中に、スクリャービンやドビュッシー、そしてワーグナーら遠い木霊を聴くことは、まるで近・現代音楽史の歩みを音で聴くような喜びがある。
そして、圧倒的な音の塊としての激しく情熱的なベートーヴェン!
カーネギー・ホールの聴衆も熱狂的な拍手でこの演奏を称える。

リストは僕には得意な作曲家ではないけれど、ベートーヴェンとドビュッシーをつなぐ役割として美しい。

そしてドビュッシーとリゲティーは、いずれも「水」をテーマとして選ばれている。
水面にたゆたうようなその響きを聴いていると、モネの晩年の睡蓮の絵を見ているような陶然とした気持ちに誘われる。

アンコールのメシアンは、エマールがずっと大切にしている作曲家。
今まであまりメシアンを意識的には聴いてこなかったけれど、これを契機に少しメシアンを聴いてみたいと感じている。
最後のドビュシーの技巧的でユーモラスな表現では、聴衆も思わず笑い声をあげている。

本当になんと贅沢な演奏会!

これはもう完璧な演奏会と言えますね。
Commented by k_hankichi at 2012-11-15 06:33
ちょっとフランスの大学で美学理論を教えているような先生然とした風貌のひとですよね。CDが出ていて思わず買いかけました。ためらったのはいけなかったなあ。
Commented by maru33340 at 2012-11-15 21:04
そうそう。この人の演奏は良いですよ。
Commented by shia at 2012-11-18 00:34 x
ご存知かも知れませんが、映画「ピアノマニア」で
エマールと調律師の面白いドキュメンタリーが描かれています。
http://www.piano-mania.com/index.html
来週、浜松で上演していますね。
http://www.hamamatsu-eigasai.com/index.html
Commented by maru33340 at 2012-11-18 03:29
shiaさま
これは知りませんでした。ありがとうございました。
by maru33340 | 2012-11-15 05:23 | Trackback | Comments(4)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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