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吉田秀和がベートーヴェンを語ると

最近凝っているベートーヴェンのビアノ・ソナタ、特に後期の5曲については、あまりにそのもたらす感動が大きすぎて、言葉にしようとすると「筆舌に尽くしがたい」という表現に逃げ込むしかなくなってしまい、自分の語彙の乏しさに忸怩たる思いになる。

そんな時、吉田秀和さんはこんな時にどう書いているだろう、と『私の好きな曲』を書棚から探しだした。

吉田さんは、あの長大なハンマークラヴーア・ソナタのアダージョ楽章についてこんな風に書いている。

「深い出口のないような憂鬱のまっただなかで、突然、頭の上のおおいがはずされて、そこから一条の光が、慰めの光明がさしこんできたような、そうして、それによって、何か新しいものに目が覚め、しかも、その覚めたことが、そのまま新しい陶酔につながり、一段深い眠りを意味するほかならないとでもいったことの新しい体験。」

まさに、ベートーヴェンの後期のビアノ・ソナタのアダージョ楽章を聴くとは、そうした体験をすることであり、この言葉に付け加える言葉を、今の僕は持たない。
Commented by k_hankichi at 2013-01-30 07:42
ハンマークラーヴィアの、深淵からの光明、まさにこういうかんじであります。
Commented by maru33340 at 2013-02-02 04:42
で、あるよね。
by maru33340 | 2013-01-30 07:04 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

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by maru33340
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