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自然が音楽を模倣するのか

「考える人」春号についている小林秀雄と河上徹太郎の対談を収めたCD は、実に味わい深いもの。

60年にわたる二人の友情について、河上は「友情の還暦」と呼んでいるけれど、その交流には、何の言葉がなくてもお互いにわかりあっている風情が漂う。

対談の最後に言及されたモーツァルトの弦楽クインテット三番は、明るい春の光が満ちているような音楽で、まるで春の訪れを喜ぶ小鳥のさえずりのように聴こえる。

こんなときに、普通良く「モーツァルトは小鳥のさえずりを音楽で表現した」なんて言われるけれど、それはどうも違っていて、最初にまず音楽があって、自然がそれを模倣したから、僕らは自然の中に音楽を感じるんじゃないか...

なんてことを思うのは、小林・河上対談の、論理的というよりは詩的な議論の影響なのかも知れない。
Commented by k_hankichi at 2013-04-09 07:20
小林は、あのとき、そのようなことを言いたかったのかもしれぬね。言い淀んで、うまく伝えられなかったが、河上には分かってのだね。
Commented by maru33340 at 2013-04-09 07:33
二人の会話の行間に思いをはせるのは楽しいことなんだかね、それはもうね、二人だけがわかっていればいいんだな。
Commented by Ich at 2013-04-09 11:51 x
う~ん、難しくなってきました。
この「考える人」の付録CDは2人の最後の対談のようですが、やはり私はイメージ的に文章の世界だけでのお二人であってほしかった、というのが本音ですね。小林秀雄といったら学生時代に夢中になって読んだお一人。正直、声は聴きたくなかった。(聞いてしまいましたが)
時代は刻々と変わってゆきます・・・。
Commented by Ich at 2013-04-09 16:06 x
しかしやはりエモーションがありました。小林氏の声のトーンに少しびっくりしたのですがお二人の最後、お互いに労わり合いながらの信用しあう姿(本当に見えるよう)は、まさに「美」ですね。
Commented by maru33340 at 2013-04-10 05:03
Ich さん
そう、始めて小林秀雄の声を聞いた時には僕もそのイメージの違いに驚きました。
でも慣れてくると、実に味わい深いのです。
by maru33340 | 2013-04-09 06:03 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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