2013年 04月 09日
自然が音楽を模倣するのか
60年にわたる二人の友情について、河上は「友情の還暦」と呼んでいるけれど、その交流には、何の言葉がなくてもお互いにわかりあっている風情が漂う。
対談の最後に言及されたモーツァルトの弦楽クインテット三番は、明るい春の光が満ちているような音楽で、まるで春の訪れを喜ぶ小鳥のさえずりのように聴こえる。
こんなときに、普通良く「モーツァルトは小鳥のさえずりを音楽で表現した」なんて言われるけれど、それはどうも違っていて、最初にまず音楽があって、自然がそれを模倣したから、僕らは自然の中に音楽を感じるんじゃないか...
なんてことを思うのは、小林・河上対談の、論理的というよりは詩的な議論の影響なのかも知れない。
この「考える人」の付録CDは2人の最後の対談のようですが、やはり私はイメージ的に文章の世界だけでのお二人であってほしかった、というのが本音ですね。小林秀雄といったら学生時代に夢中になって読んだお一人。正直、声は聴きたくなかった。(聞いてしまいましたが)
時代は刻々と変わってゆきます・・・。