2014年 03月 17日

西脇順三郎の『旅人かへらず』

先日、西脇順三郎の『旅人かへらず』をふいに読み返したくなり、本棚から探し出して机に置いておいた。

そうして、二三日たった頃に、友人がブログで西脇のことを書いているのを読み、ああ、やはりその詩を読む時期が来ていたのだなあと思い、岩波文庫の『西脇順三郎詩集』を開いた。

やはり、まず『旅人かへらず』からと読み始めたら面白くて、全部読んでしまった。

今の僕の心に響くのは次のような詩たち。

二九

 蒼白なるもの
 セザンヌの林檎
 蛇の腹
 永劫の時間
 捨てられた楽園に残る
 かけた皿

一六〇

 草の色
 茎のまがり
 岩のくづれ
 かけた茶碗 
 心の割れ目に
 つもる土のまどろみ 
 秋の日の悲しき

一六八

 永劫の根に触れ
 心に鶉の鳴く
 野ばらの乱れ咲く野末
 砧の音する村
 樵路の横切る里 
 白壁のくずるる町を過ぎ 
 路傍の寺に立寄り
 曼荼羅の織物を拝み
 枯れ枝の山のくずれを越え
 水茎の長く映る渡しをわたり
 草の実のさがる藪を通り
 幻影の人は去る
 永劫の旅人は帰らず



西脇順三郎詩集 (岩波文庫)

西脇 順三郎/岩波書店

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by maru33340 | 2014-03-17 09:00 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
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Commented by saheizi-inokori at 2014-03-17 09:50
壊れやすいけれど剄き旅人ですね。
Commented by maru33340 at 2014-03-17 18:24
まさにフラジャイルそのもののような詩人です。
繊細にして、しなやかな。
Commented by k_hankichi at 2014-03-17 20:59
いいなあ!そう、僕もこれをフラジャイルというのかしらん、と思いながら随筆を読んでおりました。
Commented by maru33340 at 2014-03-17 21:47
で、あるよね。


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