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谷川俊太郎の詩「朝」のこと

桜を眺め、落ちた花びらが冷たい雨に濡れているのを眺めている間に、昨日ひとつ年を重ねた。

そんな昨日は多くの学校で入学式が行われたようで、今朝の新聞で紹介されていた京都大学・山極総長の今年の入学式式辞を読んだ。

その挨拶はとても素晴らしいものだったけれど、特に最後に引用された谷川俊太郎の詩「朝」が心に残った。

ここには悠久の時間と、無限に広がる青空が広がっていて、微かな哀しみと共に、不思議に満ち足りた気持ちを感じる。

その詩の全文を引用します。


「朝」

また朝が来て僕は生きていた
夜の間の夢をすっかり忘れてぼくは見た
柿の木の裸の枝が風にゆれ
首輪のない犬が陽だまりに寝そべってるのを

百年前ぼくはここにいなかった
百年後ぼくはここにいないだろう
あたり前の所のようでいて
地上はきっと思いがけない場所なんだ

いつだったか子宮の中で
ぼくは小さな小さな卵だった
それから小さな小さな魚になって
それから小さな小さな鳥になって

それからやっとぼくは人間になった
十ヶ月を何千億年もかかって生きて
そんなこともぼくら復習しなきゃ
今まで予習ばっかりしすぎたから

今朝一滴の水のすきとおった冷たさが
ぼくに人間とは何かを教える
魚たちと鳥たちとそして
僕を殺すかもしれないけものとすら
その水をわかちあいたい
Commented by およう at 2015-04-09 10:41 x
好い詩ですねー。少し落ち着きました(^_^;)
お誕生日、おめでとうございます^^
Commented by k_hankichi at 2015-04-09 21:29
十ヶ月を何千億年もかかって、この世に出てきた一人。そしてこのあと、何千億年も繋がっていく。僕らはその掛け替えのなさの一人一人なのだと気付けば、周囲の事も大切に一日一日を送りたくなる。
Commented by maru33340 at 2015-04-10 06:31
おようさん
ありがとうございます(^^)
はんきちさん
谷川俊太郎さんの凄さを改めて知りました(^^;
Commented by k_hankichi at 2015-04-12 09:47
今年の新入社員に、谷川俊太郎のこの詩を紹介したら、ポカンとされてしまいました。詩人そのもののことも知らないようで・・・。
Commented by maru33340 at 2015-04-12 10:08
そうだろうなあ(>_<)
まだ古川さんの朗読の真似をしないだけ良かったよ(*_*)
僕も一昨日ちょうど今年の新入社員研修担当したから聞いてみればよかった。
たぶんポカンとされただろうけど。
by maru33340 | 2015-04-08 23:19 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)

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by maru33340
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