2015年 04月 08日
谷川俊太郎の詩「朝」のこと
そんな昨日は多くの学校で入学式が行われたようで、今朝の新聞で紹介されていた京都大学・山極総長の今年の入学式式辞を読んだ。
その挨拶はとても素晴らしいものだったけれど、特に最後に引用された谷川俊太郎の詩「朝」が心に残った。
ここには悠久の時間と、無限に広がる青空が広がっていて、微かな哀しみと共に、不思議に満ち足りた気持ちを感じる。
その詩の全文を引用します。
「朝」
また朝が来て僕は生きていた
夜の間の夢をすっかり忘れてぼくは見た
柿の木の裸の枝が風にゆれ
首輪のない犬が陽だまりに寝そべってるのを
百年前ぼくはここにいなかった
百年後ぼくはここにいないだろう
あたり前の所のようでいて
地上はきっと思いがけない場所なんだ
いつだったか子宮の中で
ぼくは小さな小さな卵だった
それから小さな小さな魚になって
それから小さな小さな鳥になって
それからやっとぼくは人間になった
十ヶ月を何千億年もかかって生きて
そんなこともぼくら復習しなきゃ
今まで予習ばっかりしすぎたから
今朝一滴の水のすきとおった冷たさが
ぼくに人間とは何かを教える
魚たちと鳥たちとそして
僕を殺すかもしれないけものとすら
その水をわかちあいたい
お誕生日、おめでとうございます^^