2015年 10月 16日
ジャンドロンのバッハ無伴奏チェロ組曲
それらの愛聴盤は数えきれない程ある。
そして、無伴奏バイオリン・ソナタ&パルティータには、カール・ズスケという澄み渡った秋の月のような名演や、ミルシテインのノーブルで心に染み入る演奏がある。
しかし、無伴奏チェロ組曲だけは、本当に自分の心にしっくりくる演奏に出会えていなかった。
一番良く聴くのは、フルニエによる演奏で、とても品の良い演奏だけれど、僕にとって「これさえあれば」という所までいく演奏とは断言出来ないし、カザルスの演奏は本当に凄いけれど、やはり録音が古すぎて、まるでセロ弾きのゴーシュの奏でるチェロのように「ごうごう」鳴るので、次第に頭が痛くなってくる。
ヨー・ヨー・マやマイスキーの音楽は綺麗だけれど、「それはちょっと綺麗すぎやしませんか」という気持ちがどこかにある。
ビルスマも良いけど、やはりモダン楽器による決定版が欲しいと常々思っていた。
そんな時に、numabeさんのブログでモーリス・ジャンドロンの懐かしいフォーレのアルバムに再会し、そのジャケットも学生時代に見慣れたものだったので、思わずアマゾンでCDを頼もうとしたら、「このアルバムを買った人はこんなアルバムも買っています」という所に、ジャンドロンによるバッハの無伴奏組曲のアルバムが紹介されていたので、思わず一緒に頼んでしまった。
ジャケットは、例のDECCAの廉価版2枚組の愛想も面白みもないものだけど、演奏は最初の1音から僕にはとてもしっくりくる。
少し早目のテンポで、伸びやかで明るい音色で奏でられるその音楽は耳に心地よいけれど、決して軽すぎることはない。
「ごうごう」しすぎることもなく、軽すぎもせず、自己に沈積しすぎてしんどくもなく、それでいて表面的でもない。
ついに自分に一番ぴったりとくるバッハ無伴奏チェロ組曲に出会ったことが嬉しく、昨日から何度も聴いているけれど、集中してよし、本を読みながら聴きながしても良い。
こうした出会いはあるものなのだなあ。
友人・知人の声に誘われて買い求めて聴き始めた音盤は、おそろしく爽快なるバッハで、これはこれまで聴いてきたバッハの無伴奏チェロ組曲を三桁くらいの違いで凌駕していると思った。「新・クラシック音楽と本さえあれば」 →http://maru33340.exblog.jp/24577652/「木曽のあばら屋さん」 →http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/gendron.htmモーリス・ジャンドロンによるこのバッハは、春の爽快なる薫風のなかに身を任せて、たゆたっている。どの楽曲も全...... more
ジャンドロンのバッハ/無伴奏はサイコーです!
私の今一番好きな無伴奏といっても過言ではありません。
以前こんな記事を書きました。
↓
http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/gendron.htm
本当になんど聴いても良い演奏ですね。