2015年 12月 09日
ショルティによる「マタイ受難曲」
かくいう僕も彼の指揮する「魔笛」と「指輪」の一部しか聴いたことはない。
(どちらもダイナミックでメリハリのきいた名演だけど)
どうもショルティという人は強面のイメージがあり、あまり繊細な感じがしないのはやはり偏見だったと、彼の指揮する「マタイ受難曲」を聴いて改めて思った。
これはモダン楽器によるマタイとしては、クレンペラーやヨッフムにも並ぶ名演ではないか。
シカゴ交響楽団とその合唱は大規模であるメリットを生かして、この曲の光と影のコントラストをくっきり際立たせ見事だし、ラスト近くにイエスが「エリ、エリ、ラマ、アザブタニ!」と語る前の神秘的な静けさもとても良い。
全体的にもたつくこともなく、情感にも欠けていない。
これからも折に触れて聴き返すだろうマタイの名演がまた一つ増えたのは嬉しい限り。
しかしマタイ、良いのですね。聴いてみたい。