長編小説を読み終えた後はあまり長い物語を読むような心持ちになれないので、本棚から久保田万太郎の俳句を集めた本『こでまり抄』(ふらんす堂)を取り出して眺める。
小振りですっきりとした装幀も好ましい。
久保田万太郎は浅草に生まれた小説家・劇作家・俳人。
若い時にも少し読んだけれど、この歳になって再読するとその俳句がじんわりと心にしみるよう。
いくつか。
ぬれそめてあかるき屋根や夕時雨
年の暮れ形見に帯をもらひけり
あきかぜのふきぬけゆくや人の中
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
小でまりの花に風いで来たりけり