2017年 06月 28日
漂い、途切れ、楔打ち込む
朝起きてふいにベートーヴェンのピアノソナタ31番の終楽章が聴きたくなり、ヴァレリー・アフェナシェフによる演奏を聴き始めた。
作曲者自身が「アリオーソ・ドレンテ(悲しみの歌)」とよんだ導入部の旋律は思わず居ずまいをただすような深い悲しみに満たされ、聴いているといつの間にか自分が深い森の中をさまよい歩いているような心持ちになってくる。
アフェナシェフの非常に遅い(森をさまよう途中で道に迷い立ち止まり暗い空を見上げる時のように時折音楽が途切れ重たい楔を打ち込むような)演奏はこの曲にはとてもふさわしい。
1つの音の残響が霧があたりに濃くたちこめるように漂う中にゆっくりと次の音が重なるのを聴いていると、呼吸は深くなり何か大きなものに包まれているような(悲しみと安堵が入り交じった)不思議な感情に満たされため息をつくのだ。
ゆっくり聴きたい・・・