2017年 07月 23日
演劇的な、あまりに演劇的な
脚本家坂元裕二の作品『往復書簡 初恋と不倫』を届いたその日に読了した。
(友人もまた同じ日に届いたその本を読んでいた)
元は舞台で演じられた脚本。
男女の往復書簡(メールも含む)による作品が二つ。
最初の作品を読み始めそのスリリングな展開に時を忘れ(息をするのも忘れる程)引き込まれ読み終えて深いため息をついた。
坂元裕二のドラマ『カルテット』や『最高の離婚』等で僕らが良く知っている、はぐらかすようで実は繋がっているストーリー、細部への異様なこだわり、一筋縄ではいかない人物像等の手法が「二人」という限定された設定によってより鮮明に浮かび上がる。
この作品はまさに弦楽四重奏曲のように、ひとつひとつの楽器(人物)が時に融和しそして反発し、時に対話しそして闘い、時に破綻しながらもクライマックスを迎え終局に向かう。
坂元の作劇術の「核」にあるものに触れるような思いのする演劇的な、あまりに演劇的な作品で、実際の舞台で生身の役者によって演じられるのを観たいと(読みながら何度も)渇望した。
その時間は孤独だけれどとても充実した時間だったことを、この本を読みながら思い出したよ。