2017年 07月 31日
永遠の光を探しに
今日は東京出張。
会議は午後からなので朝一番で先日行きそびれた学習院大学史料館で開催中の展示「永遠の光(アルカディア) -辻邦生『夏の砦』を書いた頃-」を見に目白に向かう。
初めて訪れる史料館は、大学のキャンパスの片隅にひっそりと樹々の中に埋もれ時間から取り残されたような風情で佇んでいた。
(少し学園祭のサークル発表のような)展示は素朴な味わいが好ましく、辻の手書きの原稿や書簡が小さなスペースに所狭しと並ぶ。
一昨日が命日だった辻邦生は「私は四季それぞれが好きだが、特に好きなのは夏で、青空に盛り上がる眩しい積乱雲、海から吹く風、打ち寄せる白波、森の中の読書、青い山脈の連なりなどを思い描くだけで胸が踊る」と書いている程夏という季節を愛した作家だった。
この展示を、彼が愛した季節に、彼が教鞭を取っていた場所で見るのはどこか胸の奥がざわめくような思いがした。
(配布されているパンフレットが無料でもらえるものとしては驚く程丁寧で行き届いた素晴らしいものだったことを書き添えておきます)
辻邦生と云いますとどうしても私は森有正が浮かび師弟関係の会話が蘇えってきます。