2008年 02月 24日
『空からきた魚』(アーサー・ビナード)
今月集英社文庫でそのエッセイ集である『空からきた魚』が出たので、早速読み始めたら、これがあんまり面白くて一気に読了してしまった。
この面白さはどこから来るのだろう。
第一にその観察眼の新鮮さ。
確かに初めてみる異国の姿や言葉は大変新鮮なものであることは想像出切る。
しかしこの人の目は単に異文化に接しての驚きだけではなくて、その少年時代について書かれたエッセイを読んでいると、そもそもアメリカに居た時から物事に関する見方が驚くほど柔らかいのがわかる。
第二に、「言葉」に関する感受性の細やかさ。
それはまあ中原中也賞受賞の詩人だから、言葉を大切にする人であることはあたり前といえばあたり前なんだけど、読んでいて久しぶりに「言葉」というものが生まれる現場に立ち会っているような喜びが感じられる。
第三に、そのユーモア。
対象との距離感が絶妙で、それを語る話法がまた良い。
物事を観察して、そこに面白さを見つける達人と言っても良い。
(オチのつけ方も落語的です。どこでこの感覚を身につけたの?)
(もしこの本を本屋でみかけたらその「あとがき」だけでも一読してみて下さい。その文章に感じるものがあったら、この本との相性はピタリ。購入して損はなし。お勧めいたします。)
いやあ、面白かった。
すっかり癖になりました。
空からきた魚 (集英社文庫 ひ 27-2) (集英社文庫 ひ 27-2)
アーサー・ビナード / / 集英社
ISBN : 4087462706
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