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カテゴリ:ジャズ( 8 )


2010年 02月 11日

ステイシー・ケントのジャズ・アルバム『イン・ラブ・アゲイン』

先日サリンジャーの訃報に接し、改めて彼がまだ生きていたという事実に驚いてしまった。

この所行きつけの居酒屋(というか隠れ家というか)のマスターに、「村上春樹の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を持っていたら貸して下さい。」と頼まれたのをきっかけに、私的な追悼の意味で(30年以上気になりながら、今まで読まずにいた)『ナイン・ストーリーズ』を読み始めた所、最初の短編「バナナフィッシュにうってつけの日」で躓いてしまった。

全くもって、面白くないのだ。

いやはや、世に名高いこの短編が、今の僕にはまるで面白くないのは一体どうした事かと、何か参考になればと柴田元幸編集の『monkey business』(ナインストーリーズ号)を買った。

で、例によって枕が長いけれど、今回のテーマはサリンジャーじゃないので(この件は機会があればまた書くとして)、そのナインストーリーズ号に、英国の作家カズオ・イシグロが、JazzVocalistのステイシー・ケントのアルバム『イン・ラブ・アゲイン』に寄せたライナーノートが載っていて、この文章が良かったので、是非ステイシー・ケントのVocalが聴きたくなりダウンロードしてしまった。

このアルバムはハリウッドの申し子リチャード・ロジャースの名曲をSwingJazzにアレンジした曲を歌うもの。

ステイシーは軽やかに、少し醒めたように自分を眺めながら、カラッと晴れ上がった空のように気持ちよく歌う。

彼女の歌には、時にジャズボーカルにありがちな、自己憐憫の重苦しさや流浪の生活の果ての苦さ重さはない。
しかし、表面には出ない確かな技術に裏付けられた心地良い歌声で、程よくモダンなアレンジをバックに、丁寧にSwingしながら人生の陰影が語られる様は、確かにJazzそのもの。

カズオイシグロの言葉を借りれば、ここにいるのは、
「恨みがましさがまったくない、自分の人生の壊れたかけらを一つひとつ吟味し、ささやかな勇気と展望をどこかから引き出そうと努めている人間の姿だ。」

理屈はともあれ、一度聴いてすっかりファンになってしまった。

しばらくこの歌声を追いかけることになりそうです。

イン・ラブ・アゲイン

ステイシー・ケント / キングレコード


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by maru33340 | 2010-02-11 16:20 | ジャズ | Trackback | Comments(2)
2010年 02月 10日

向田邦子の愛したJazz Vocal

どうも身体が怠く、少し出社を遅らせる。

この所の気温の変化に着いていけず、扁桃腺の腫れがおさまらないよう。
今は、ソファに身体を沈め、先日買ったジャズ・ボーカリストミリー・ウ゛ァーノンの「Introducing」というアルバムを聴いている。

このアルバムは銀座の山野楽器のJazzCornerをぶらぶらしていた時に、偶然「向田邦子の愛したJazz」として紹介されていたのを見かけて購入したもの。

向田邦子は、このアルバムで歌うミリー・ウ゛ァーノンの歌を、
「冷たいような、甘いような、けだるいような、生ぬくい歌は、水羊羹にピッタリに思えます。」と評している。
確かに少しハスキィでくぐもった、けだるげなボーカルは心の襞にぴったり寄り添うように心地良い。

しかしこの評は、まるで食いしん坊で、何処か捕え所のない向田邦子自身を表しているようで面白い。

今頃彼女は天国で、このアルバムを聴きながら、久世光彦や森繁さんと水羊羹を食べて談笑しているのかも知れないなあ。

イントロデューシング

ミリー・ヴァーノン / ミューザック


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by maru33340 | 2010-02-10 08:49 | ジャズ | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 22日

ちあきなおみの「朝日のあたる家」

昨夜BS2で、ちあきなおみの特集を見て、その歌唱にすっかり魅せられて、Y0U TUBEでいろいろな映像を検索している。

どれも凄いけれど、彼女の歌唱の一つの頂点にあるのが、「朝日のあたる家」という曲だろう。

聴き終わって、まるで2時間の映画を観終わったような深い感銘がいつまでも残る。

その深く暗い声は、ビリー・ホリデーの歌唱のように魂の奥深くまで染みこんでいく。

言葉よりも実際に見て聴いていただくことがなによりだと思う。

下記をご覧下さい。


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by maru33340 | 2009-11-22 09:40 | ジャズ | Trackback(1) | Comments(3)
2008年 01月 14日

「For the Stars」(アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、エルヴィス・コステロ)

村上春樹の『村上ソングズ』に導かれて、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターとエルヴィス・コステロによる「For the Stars」を聴く。

これは素晴らしいアルバム。
アンネ・ゾフィー・フォン・オッターは現役のオペラ歌手ですが、ここではポップスを軽やかに、しかししみじみと語りかけるように歌っている。

『村上ソングズ』で取り上げられている「この家は今はからっぽだ」も素晴らしいのですが、どの曲をとっても、心の奥にそっと寄り添うように染みてきます。

今のお気に入りは「Broken Bicycles/Junk」。
エルヴィス・コステロとのデュエット・ソングですが、本当に素晴らしい。
どのように例えればいいのか、たとえば春先の樹の芽に降る柔らかい雨とでもいうような味わいかなあ。

聴けば聴くほど味わいが増す、村上春樹が「上質なスルメのようなアルバム」と評した意味が良くわかるアルバムで、僕の生涯の愛聴盤となると思います。

フォー・ザ・スターズ
エルヴィス・コステロ アンネ・ソフィー・フォン・オッター / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B00005HXUK
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by maru33340 | 2008-01-14 22:00 | ジャズ | Trackback | Comments(2)
2007年 10月 06日

10月の晴れた昼下がり 与世山澄子を聴くということ

沖縄に与世山澄子という素晴らしいジャズ歌手がいることは映画『恋しくて』で知りました。

saheizi-inokoriさんのブログでその与世山澄子さんのアルバム「Intoroducing」の紹介を読み、聴きたくなりアマゾンで購入。
とても良く晴れた10月の昼下がりである今日、昨日届いた「Intoroducing」を聴き始めました。

やはり、とても素晴らしい。

彼女の声はビリー・ホリデーを少し思わせるとても個性的な声ですが、まぎれもなくジャズそのもの。
それは「日本人の」というような形容詞をつけることもなく、全く「ジャズの魂そのもの」が歌になっている。

聴いていると連日の仕事の疲れが、ゆるゆると解きほぐされていくような快感があります。

これから繰り返し聴くアルバムになりそうです。

イントロデューシング
与世山澄子 / / テイチク
ISBN : B000BONPMU
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by maru33340 | 2007-10-06 14:33 | ジャズ | Trackback | Comments(2)
2007年 09月 02日

ベースの練習

あうん堂さんのお勧めで、おやじジャズバンドに名を連ねている。
とはいえ全く名ばかりのメンバーでほとんど練習もしていない。

今日は、久しぶりの練習。
というよりメンバーが初顔合わせの音出しの初回。
当方は、本当の素人なれど、メンバーは経験者なので、足をひっぱることはなはだしく恐縮の極み。

右手の人差し指と中指にまめをつくりながらなんとか練習は終了。
(ちょっとパソコンを打つにも支障あり。)

しかし、しばし頭を空白に出来る時間はとても貴重な時間。
明日から少し心を入れかえて練習しなくちゃ・・・
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by maru33340 | 2007-09-02 19:20 | ジャズ | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 29日

「Ann Sally/Best of Best」を聴く

あうん堂さんお勧めの「Ann Sally/Best of Best」を聴く。
これは素晴らしいアルバム。

今日もまた蒸し暑く、日が照ったり翳ったりの不安定な気候でどうも気分もすっきりとしないけれど、このアン・サリーの心地よい声に包まれていると少し浮世の不愉快を忘れることが出来ます。

声、アレンジ、選曲・・・すべて快適この上ない、まさに夏の昼下がりにピッタリのアルバムですが、なかでも僕のお気に入りは、「胸の振り子」「Both Sides Now」「黄昏のビギン」あたりかな。
「Both Sides Now」は歌詞もなかなか哲学的で、いろいろな解釈が出来てちょっと面白い。
(原詩の一部分をちょっと引用しておきます。)


I've looked at love from both sides now
From give and take, and still somehow
It's love's illusions I recall
I really don't know love
Really don't know love at all

I've looked at life from both sides now
From win and lose and still somehow
It's life's illusions I recall
I really don't know life at all
Best of Best~Selected by 黒田恭一
アン・サリー / / ビデオアーツ・ミュージック
ISBN : B000PITZUI
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by maru33340 | 2007-07-29 15:35 | ジャズ | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 24日

ベースを始める

あうん堂さんから、「オヤジバンドをはじめるのだけどベースをやりませんか。」とのお誘いがあったのが2週間前。

軽い気持ちで「いいですね。」なんて話をしていたら、とんとんと話が進み、昨日あうん堂さんの後輩であるKさんに「一度音を出してみましょう。」とお誘いをいただき、ベースをお借りして、コードの真似事のような練習をしてみました。

これが実に愉しいものでした。
自分はまだドレミも満足に弾けませんが、ブルースコードの真似事のような練習をしていると、そこにKさんがギターでメロディーをあわせてくれるのですが、これが生理的にとても快感。

今まで音楽は聴くものでしたが、そしておそらく一生聴くだけだろうと思っていたのですが、たとえ全くたどたどしくても、楽器を合わせる(合わせてもらう)ことがこんなに愉しいものであることを、生まれて初めて知りました。

夜は近所の「ロイヤルパレススタジオ」でやっているJAZZのライブ(お客さんがそれぞれ自分の楽器を持ち寄り演奏するというもの。ボーカル参加もあり。)をKさんと聴きに行きましたが、これもまたとても愉しい時間でした。

始めたばかりで、おおげさですが、楽器を演奏することで、ちょっと人生が変わるかもしれないという予感がしています。
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by maru33340 | 2007-06-24 10:05 | ジャズ | Trackback | Comments(0)