カテゴリ:エッセイ( 1 )


2007年 08月 06日

父のハモニカ

この土日は、父のお盆の法要のため大阪の実家へ。
激しい猛暑の中、今年になってから何度も乗ったサンダーバードで往復しました。

法要を終えて、金沢に戻り、こちらもあまりに暑いので、夕方散髪に。
夜は軽く蕎麦でも、と早い時間から近くの蕎麦屋の「鬼は外」へ向かいました。

漬物をつまみにビールを飲んでいると、どこからか哀調を帯びたハモニカが聞こえてきました。
決して朗々とではなく、とつとつと。
姿は見えないけれど、おそらくお店のおかみさんの知り合いの年配の男性が吹いているよう。

「ダニー・ボーイ」、「荒城の月」などを、まだ明るいうちから飲むビールでいい気持ちになって聞いているうちに、「埴生の宿」が流れてきて、突然、そういえば父がまだ僕が子供の頃、時々ハモニカを吹いてくれたのを思い出しました。

子供の頃父はとても厳しい存在で、食事をする時も箸の上げ下げから注意されて、とても緊張したものでしたが、少しお酒が入って機嫌がよくなると、時々ハモニカを吹いてくれました。

それは、メロディーにきちんと伴奏もついているとても本格的な演奏でしたが、一番のお気に入りが「埴生の宿」でした。

後に読むことになる「ビルマの竪琴」の物語とともに、この曲は僕のとても好きな曲だった記憶が蘇り、しばし陶然となりながら演奏を聞いていました。

気がつくとハモニカは終わっており、蜩の鳴く声だけが聞こえていました。

ハモニカを吹く人の姿は最後まで見えず、まるでお盆のお参りにいったお礼に父が吹いてくれたのでは、などという気さえしてきました。

あるいは激しい暑さとビールの酔いによる幻想だったのかも知れませんが・・・
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by maru33340 | 2007-08-06 07:03 | エッセイ | Trackback | Comments(2)