新・クラシック音楽と本さえあれば

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カテゴリ:お勧めの本( 1329 )


2017年 06月 25日

老子曰く

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政治迷走し、天変地異続き、美しい人早世し、空は曇り気持ちは晴れぬ。

人の世の生きにくいことは世の東西を問わぬかも知れぬ。

そんな折、昨日偶然書店で見つけた『老子の教え』(安冨 歩 訳、ディスカヴァー21 刊)。

冒頭の文章がスッと胸に入ってきた。

☆☆☆

もしかするとあなたは、
目の前にあるものごとを、
確かにそこにあると、思い込んでいるかも知れない。

しかし、
どんなに避けがたいと、あなたが思い込んでいることでも、
やがて消え去り、あるいは変化する。
どんなことでも、どんなものでも、いつどうなるかわからない。
開かれたものとして、そこにある。

ものごとは、変化し、
生まれては滅ぶ。
そのあやうさをおそれる必要はない。

それどころか、
あなた自身が、可能性に満ちたものとしてあることを理解すれば、
あなたは、わけのわからぬ不安から解放されるはずだ。

☆☆☆

老子は不思議な本だ。
わからなくなると全くわからないのに、ふいに心に染み入ったりする。



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by maru33340 | 2017-06-25 20:33 | 未分類 | Trackback | Comments(1)
2017年 06月 21日

雨の朝のバルトーク

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朝、したしたという雨音で目覚める。
窓を開けると空気は湿り気を帯び少し肌寒い。

不規則な雨音を聴きながら、この音は何かに似ていると感じ、それが高橋悠治の弾くバルトークの初期ピアノ曲集だと気づいた。

「傷ついた心 さまよう音楽」というサブタイトルがついたこのアルバムには、若きバルトークの個人的な経験と民俗音楽の影響から生まれた(まるで音が生まれやがてそれが音楽に変わる瞬間に立ち会うような)繊細でそれでいて荒々しい曲たちが収められている。

小さな音でこのアルバムを聴いていると、その音楽が雨音と溶け合い、次第に自分が雨の降るハンガリーの深い森をさまよい歩いているような心持ちになってくるようだ。
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by maru33340 | 2017-06-21 05:22 | 未分類 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 18日

ジョン・エリオットの「マタイ」

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今日は終日どんよりとした曇り空。
時折雨も降り肌寒くなんとなく気持ちも重く家に引きこもる。

午前中洗濯と掃除を終えてふと「マタイ受難曲」が聴きたくなり、あまり聴いていなかったジョン・エリオット・ガーディナーによる演奏(1989年録音)を聴き始める。

昔まだリヒターによる「マタイ」に心酔していた頃にこの古楽器による「マタイ」を聴いて、何だかサクサク進むサッパリした演奏だなあと思い、以来ほとんど聴かなかったけれど、今日改めて全曲を聴き「なんと清潔な「マタイ」だろう!」と、今更ながらこの演奏の美しさに心うたれた。

ガーディナーはその学者風の風貌もあり「優等生的」と評されることも多いけれど、その端正な佇まいとピアニシモの美しさは比類のないもの。

これから何度も聴きかえす演奏になりそうです。
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by maru33340 | 2017-06-18 17:57 | 未分類 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 12日

何年に一度の傑作、映画『怪物はささやく』のこと

先日観た映画『怪物はささやく』の事をどのように書けば良いだろう。

ジャンルとすれば一人の少年を主人公にした怪物との魂の交流を描いたダークファンタジーという事になるのだろうけれど、映画を観終わってまるで自分自身の魂の奥底を巡る長い長い旅を終えたような深々とした充実感に満たされる経験は稀有なもので、ファンタジーという言葉を遥かに超えた世界に触れたような気がする。

何年に一度の傑作ではないだろうか。

一度観ただけではこの映画の全てを経験しきれていないので、再び映画館に足を運びその美しい冒頭からもう一度見直したいと思います。
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by maru33340 | 2017-06-12 07:02 | 未分類 | Trackback | Comments(6)
2017年 06月 11日

上原彩子のリストに驚愕したこと

昨日上原彩子のピアノ・リサイタルを聴きに行く。
プログラムはモーツァルトの2曲の幻想曲とピアノ・ソナタ14番とシューマンの幻想曲、最後はリストの《巡礼の年》から「ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲―」という「幻想曲」をテーマにした独特のもの。
赤いドレスを着た上原彩子はいつものように少し顎を上げてちょっと気だるそうに登場(何となく往年の美空ひばりに雰囲気が似ている)し椅子に座ると直ぐに演奏を始める。
座席は前から3番目の左側だから演奏者の手元がはっきり見える。
深々と響く中低音、濁りの無い高音、ピアニシモからフォルテシモまでメリハリのある強靭なタッチに、彼女がやはり他のピアニストから一段上の境地に居ることを実感するも前半は「少し抑え気味かなあ」と感じていた。
ところが最後のリストになり演奏は一変した。
音は鋭く(ダンテを読んだからか、まるで悪魔と契約を結んだかのように)デモーニッシュで圧倒的な迫力(強い打弦の箇所は椅子から立ち上がったりして)のある演奏に、聴いていて椅子から転げ落ちそうになる。
会場の拍手に応えてアンコールの曲目「リストの《愛の歌》」と告げる声は何とも可愛らしい声で、演奏とのギャップが楽しい。
アンコールの2曲目はチャイコフスキーの《花のワルツ》。聴きなれたこの曲も上原彩子の手になると、まるでオーケストラの演奏のように華麗で色彩豊かな音楽に聴こえる。
大満足の演奏会でした。
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by maru33340 | 2017-06-11 09:04 | 未分類 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 09日

チェット・ベイカーに出会った夜

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ジャズの名盤として名高いチェット・ベイカー(トランペッター・ヴォーカリスト)のアルバム「CHET BAKER SINGS」の良さがなかなかわからなかった。
(何だか頼りない位に)力が抜けた声で音程もふらふらしていてとらえどころのない音楽だなあ…とずっと思っていた。
ところが今日夕飯を終えて洗い物をしながらこのアルバムを流しっぱなしにして小さな音で聴くともなしに聴いていたら、妙に良い気持ちになり、気がつけばその少しふらふらした音楽の虜になっていた。
そして「ああこれはジャズというよりヴォサノヴァなのだ」と気がついた。
こんな形での音楽との出会い方もあるんだなあ(^^;
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by maru33340 | 2017-06-09 12:43 | 未分類 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 04日

晴れた日曜の朝に

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良く晴れた静かな日曜日の朝、久しぶりに空を見上げる。
蒼い空に刷毛でさっと描いたような白い雲が浮かび、朝の空気を胸一杯に吸い込んでみたくなる。
ようやく体調もほぼ回復したよう。

季節は少し違うけれど上田敏の訳詩集『海潮音』の中のこんな詩を思い出す。

「春の朝」
(ブラウニング)

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露満ちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這い、
神、そらに知らしめす。
すべて世は事も無し。
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by maru33340 | 2017-06-04 09:17 | 未分類 | Trackback | Comments(6)
2017年 06月 03日

静かな夜の音楽の続き

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HMVの「心を静める音楽」という企画から生まれた『Quiet Corner』という本にはjazzを中心な様々なジャンルの中から静かで心を穏やかな気持ちにさせてくれるアルバムが数多く紹介されていて、読んでいると聴いてみたいアルバムが次々に現れてくる。
その中でも最も気になったカナダの歌手ダイアナ・バントンの『ムーンライト・セレナーデから~月と星のうた』というアルバムをAmazonで取り寄せて聴き始めた。
これは今の僕の気分にぴったりの音楽だった。
ささやくように静かな少しだけ甘い歌声で、タイトルに月や星を含むロマンティックなスタンダード・ナンバーをピアノ、ベース、ギターによる上質のアレンジで聴かせてくれる。
静かな夜に部屋で小さな音でこの音楽を聴いているとなんとも甘やかな幸福感に包まれます。
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by maru33340 | 2017-06-03 09:09 | 未分類 | Trackback | Comments(2)
2017年 03月 12日

『騎士団長殺し』から『ドン・ジョヴァンニ』へ

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村上春樹の新刊『騎士団長殺し』では一枚の日本画が重要な役割を持つけれど、いつもの彼の小説にも増してクラシック音楽も直接そのテーマに関わってくる。

中でもタイトルからしてそのものズバリのように『ドン・ジョヴァンニ』はこの小説に通奏低音のように流れ続けているから、読みながら聴きたくてたまらなくなってくる。

演奏はやはり重厚で迫力のあるオットー・クレンペラーによるものが、冒頭の一音から僕を引きこんで込んで離さない。
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by maru33340 | 2017-03-12 09:52 | 未分類 | Trackback | Comments(5)
2017年 03月 08日

久保田万太郎のことなど

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長編小説を読み終えた後はあまり長い物語を読むような心持ちになれないので、本棚から久保田万太郎の俳句を集めた本『こでまり抄』(ふらんす堂)を取り出して眺める。

小振りですっきりとした装幀も好ましい。

久保田万太郎は浅草に生まれた小説家・劇作家・俳人。
若い時にも少し読んだけれど、この歳になって再読するとその俳句がじんわりと心にしみるよう。

いくつか。

ぬれそめてあかるき屋根や夕時雨

年の暮れ形見に帯をもらひけり

あきかぜのふきぬけゆくや人の中

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり

小でまりの花に風いで来たりけり
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by maru33340 | 2017-03-08 20:38 | 未分類 | Trackback | Comments(6)