新・クラシック音楽と本さえあれば

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2007年 06月 30日

『平凡パンチの三島由紀夫』(椎根和)

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ここ数日胸焼けがひどく医者に行き内視鏡検査をした所、「逆流性食道炎」との診断。
幸いまだ初期の段階だったので、薬と通院で治るよう。
あとは暴飲暴食をせず、刺激物やアルコールを避けてストレスを溜めないようにようにとの指導を受ける。
当分好きな珈琲とチョコレートは厳禁のようで、いささか「とほほ」な気分です。

さて、今日はそんなわけで一日自宅で静養。
しばらく前に買ってあったこの、『平凡パンチの三島由紀夫』を読了しました。

これはとても興味深い本でした。
著者は「平凡パンチ」の編集者として三島由紀夫の自決にいたるまでの3年間担当記者だった人。
身近にいた人にしかわからないエピソードもたくさんあり(この本の帯にも紹介されているハンバーグライスの三島風の食べ方のエピソードなど、彼の幼児性とある意味の未成熟さが良く見て取れます。)一気に読了しました。

しかし、これだけ身近にいた人が言葉を費やしても、いや言葉を費やせば費やすほど、三島が何故最後にあのような死に方をしたのかの理解にはいたらない。
いや、この本を読めば、彼の最後は彼自身が最初から予定の行動であることはわかるのですが、何故彼がそれほど「死」に憧れに近い感情を持ち続けていたのかがわからない。

わかるのは、三島由紀夫という人が恐ろしいほどに孤独な人であったということ。
そして、傷つきやすい感情を鍛えられた肉体でカモフラージュしようとしたのに、そうすればするほど彼の内面の脆さは周りには明らかになっていったということ。

学生時代に三島作品に凝った時期があり、特に『鏡子の家』にはとても関心したのですが、この作品は本人は大変な自信を持っていたにもかかわらず、失敗作と断じられ、三島自身ひどく傷ついたという有名なエピソードを読み、もう一度この本を読み返したくなりました。
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by maru33340 | 2007-06-30 15:31 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 24日

「ブエノスアイレス迷宮」へ

金沢芸術文化村で行われた、ボルヘスの詩の朗読とピアソラの演奏のコラボレーション「ブエノスアイレス迷宮」に行って来ました。

これはとても良いイベントでした。
ボルヘスの幻想的な詩とピアソラの音楽は確かに非常に近しいものがあり、組み合わせに違和感はありません。

暴力的な幻想と恩寵のような甘さが、ねじれるような形で混在するピアソラの音楽を、「エスタモス・アキ」(バンドネオン・ピアノ・歌)、ゲストの古橋ユキさんのバイオリン、斎藤徹さんのコントラバスが見事に表現していて、苦くて甘く、激しく優しいタンゴに酔いしれました。

二時間半はあっという間に過ぎていきました。

やはり音楽は良いですね。
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by maru33340 | 2007-06-24 23:23 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 24日

ベースを始める

あうん堂さんから、「オヤジバンドをはじめるのだけどベースをやりませんか。」とのお誘いがあったのが2週間前。

軽い気持ちで「いいですね。」なんて話をしていたら、とんとんと話が進み、昨日あうん堂さんの後輩であるKさんに「一度音を出してみましょう。」とお誘いをいただき、ベースをお借りして、コードの真似事のような練習をしてみました。

これが実に愉しいものでした。
自分はまだドレミも満足に弾けませんが、ブルースコードの真似事のような練習をしていると、そこにKさんがギターでメロディーをあわせてくれるのですが、これが生理的にとても快感。

今まで音楽は聴くものでしたが、そしておそらく一生聴くだけだろうと思っていたのですが、たとえ全くたどたどしくても、楽器を合わせる(合わせてもらう)ことがこんなに愉しいものであることを、生まれて初めて知りました。

夜は近所の「ロイヤルパレススタジオ」でやっているJAZZのライブ(お客さんがそれぞれ自分の楽器を持ち寄り演奏するというもの。ボーカル参加もあり。)をKさんと聴きに行きましたが、これもまたとても愉しい時間でした。

始めたばかりで、おおげさですが、楽器を演奏することで、ちょっと人生が変わるかもしれないという予感がしています。
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by maru33340 | 2007-06-24 10:05 | ジャズ | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 22日

『思いわずらうことなく愉しく生きよ』(江國香織)

基本的にこのブログでは、「気に入ったもの、好きなものについて書く」というテーマだけは守ってきたのですが、今回だけは「ちょっと僕には苦手なもの」について書くことにします。
どうか、そういうものを読みたくないという方は、以下読まずにおいて下さい。僕も基本的に悪口・悪態は全く生理的に受け付けられないのですが、今回はあまりに不快感があり、これを解消するために、自分自身の精神の回復のために書きます。

江國香織さんの小説『思いわずらうことなく愉しく生きよ』を、名古屋から金沢に出張から戻る列車の中で読了しましたが、これは僕には大変苦手な小説でした。

犬山家の三姉妹である麻子、治子、育子の物語なのですが、まず第1に、この三人の女性の生き方がひどく自分勝手で傲慢で嫌味に感じられる。
(自分たちはそれぞれ自分の生き方は正しいと思っているような節もあり、これもひどく嫌でした。)

第2に、長女夫婦のDVが延々描かれるのですが、これは夫も妻も全く何を考えているのか理解できず、読んでいてどんどん不愉快になる。

第3に登場する男が誰をとっても情けなく、エゴイストで、未熟であり、これもとても駄目。許せないといってもいいほど。

そして、三姉妹はそれぞれひどく傲慢な人間なのに自分の家族にだけはひどく甘い。これもとても閉塞的で不快そのもの。

ともあれ、名古屋からの3時間、ひどく後味の悪い時間を過ごしてしまいました。
デビュー以来の江國香織の文章のファンだったのですが、最近の作品には違和感を感じて少し遠ざかっていたのですが、この小説で決定的に駄目になりました。

今後、一生、江國香織さんの本は読めないだろうと思います。
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by maru33340 | 2007-06-22 21:56 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 22日

『音楽を「考える」』(茂木健一郎/江村哲二)

先頃47歳の若さで急逝された作曲家の江村哲二さんと茂木健一郎さんとの音楽をめぐる対談。随所に共感する所のある対談でした。

例えば、

「作曲ということの一つには、自分の心の奥底にある、ある意味では決して開いてはいけない部分に、何かを探って切り裂いていく、そういう過程がある」

「音楽という構造自体が自然数からなるもので、倍音から生まれる共鳴現象ということが、その後のあらゆる音楽理論の根底にあります。」
(江村氏)

「聴くということは、自分の内面にあるいまだ形になっていないものを表現しようとすること」

「どのように自分の心を開き、響かせれば、混迷の時代を突き抜けられるか。その一つの雛型が音楽にある」
(茂木氏)


など、随所にジャズの即興のコラボレーションを思わせる論が展開されて、飽きることがありませんでした。

しかし、それ故に、江村氏の早すぎる逝去を悼みます。

音楽を「考える」
茂木 健一郎 / / 筑摩書房
ISBN : 4480687602
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by maru33340 | 2007-06-22 12:30 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)
2007年 06月 17日

今日の金沢

昨日に続き今日の金沢も汗ばむ陽気。
自転車で近所を散策しました。

午前中は尾山神社へ。
ここの神門はとてもモダンで特長的なもの。

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この神門の説明をネットから。

神門は加賀藩の大工だった津田吉之助が明治8年(1875)建立。
三層のアーチ型楼門で、屋根には日本最古といわれる避雷針、最上階の三層目の窓にはステンドグラスがはめ込まれています。
夜には灯りが点され、その灯りは海をゆく船からも見え、灯台がわりにもなったといわれます。
神門のデザインは、現在では斬新と評されますが創建時は「醜悪」と言われて不評だったとか。不評の声は昭和10年(1935)に価値が認められて国宝(現在は重要文化財)に指定されるまで続いたそうです。
 

お昼はジャズ喫茶「穆燃」でキーマカレー。(ここのカレーは大変僕好み。)

午後からあうん堂さんへ。
北尾トロさんの新刊『ぶらぶらジンジン古書の旅』(とても面白い!)にあうん堂さんが登場しているので、読ませてもらう。

夕方は、あうん堂さんの言葉に刺激されて、歩いて浅野川沿いの銭湯「くわな湯」へ。
夕方の風に吹かれて浅野川沿いをぶらぶら歩いていると、とてもささやかな幸福感に満たされます。
(これこそ芭蕉の説く「かるみ」の境地か?と思わず即興の駄句一句)

  湯上りの 風ほほすぎる 中の橋    (丸)
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by maru33340 | 2007-06-17 20:06 | 日常 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 17日

『きみのためのバラ』(池澤夏樹)

夜、眠る前に少しずつ読んでいた池澤夏樹さんの『きみのためのバラ』を読了。

「出会いと別れ」をテーマにした8つの短編はどれも無駄な言葉やドラマティックな物語を丁寧に排除して、静謐な世界を形作っている。
うっかり読みすごすと、あまりに淡々と物語が終わってしまい、物足りないほどに。
しかし、この物語たちの背後には、2001年の惨事以来変わってしまったもの、我々が失ってしまったものへの愛惜の感情が秘められている。

それは一言でいうなら「人と人との信頼」とでもいうものだろうか。
一方の正義は、もう一方への暴力になることが当たり前の時代。
そこには分かり合える時は永遠に来ないように思える。
それでも人は、心の奥で無防備なまでの人への信頼を求める生き物であること。

そうした一瞬の恩寵のような時を描いているこの短編集はとても美しく、哀切である。

表題作「きみのためのバラ」の少女の笑顔は(詳しい描写は全くないのに)読むものの心に残像として長く残り続ける。

きみのためのバラ
池澤 夏樹 / / 新潮社
ISBN : 4103753064
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by maru33340 | 2007-06-17 08:53 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 17日

『奥の細道をよむ』(長谷川櫂)

長谷川櫂さんの『奥の細道をよむ』を読み始めました。
これはとても刺激的な「奥の細道」の解読書で、俳句初心者の僕には随所に発見があります。

第1章に芭蕉の生み出した「かるみ」について次のように書いてあり、少し目から鱗が落ちた気がします。

「人生は初めから悲惨なものである。苦しい、悲しいと嘆くのは当たり前のことをいっているにすぎない。今さらいっても仕方がない。ならば、この悲惨な人生を微笑をもってそっと受け止めれば、この世界はどう見えてくるだろうか。
芭蕉の心の「かるみ」とはこのことだった。「かるみ」の発見とは嘆きから笑いへの人生観の転換だった。『おくの細道』の旅の途中、芭蕉が見出した言葉の「かるみ」はこうした心の「かるみ」に根ざし、そこから生まれたものだった。」


「奥の細道」をよむ
長谷川 櫂 / / 筑摩書房
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by maru33340 | 2007-06-17 07:24 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 16日

『天空の城ラピュタ』を観る

昨夜TVで『天空の城ラピュタ』を観る。
宮崎アニメの中で最も好きな映画。

もう何回も観ているはずなのに、やはり細部はすっかり忘れていて、最後まで楽しんで観終えることが出来ました。
やはりこの映画は名作であり、音楽、人物、ストーリーすべてが上質の作品です。

ラピュタに到着した直後の静けさは何度みても引き込まれてしまいます。

天空の城ラピュタ DVDコレクターズ・エディション
/ スタジオジブリ
ISBN : B00006JHP9
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by maru33340 | 2007-06-16 06:27 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2007年 06月 11日

映画『恋しくて』を観る

3連休の3日目。
「あうん堂」さんお勧めの映画『恋しくて』をシネモンドで観ました。

名作『ナヴィの恋』の中江裕司監督作品ですから、これはもう安心してその世界にひたり、笑ったっり、しんみりしたり。
沖縄の言葉の懐かしさ、音楽の素晴らしさ、自然の美しさ、そして青春という時代の愚かさ・愛おしさ・・・
およそ映画に求めるものは、ほとんどこの中にあります。

そして、劇中で、ヒロイン加那子のかあちゃん役の与世山澄子の歌う「この素晴らしき世界」がまた心に沁みる絶品。

見終わって幸福な気持ちで一杯になる、年代・性別を問わず、すべての人に勧められる映画でした。
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by maru33340 | 2007-06-11 18:29 | 映画 | Trackback | Comments(0)