<   2008年 12月 ( 18 )   > この月の画像一覧


2008年 12月 31日

『白川静-漢字の世界観-』(松岡正剛)

この本のことを友人がブログに「凄い人が凄い人について書いた凄い本」と書いているけれど、まさに本当に凄い本です。

言葉、学問、東洋、呪術、歴史・・・漢字から広がる白川学の世界は無限にその射程を伸ばして行く。

白川静という孤高の学者の残した道のりは見上げるほど高く嶮しいものだけれど、その高峰を松岡正剛というこれまた尋常ならざる知性の持ち主が道標をつけてくれる。

この本は新書ながら今の日本の知性の最高峰に位置する本。
およそ「知的たらん」とする日本人であれば必読の書と言いたいと思います。

2008年最後の読み納めに相応しい名著でした。

白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

松岡 正剛 / 平凡社


[PR]

by maru33340 | 2008-12-31 17:16 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2008年 12月 30日

2008年の本・音楽・映画

以前は良く、吉田秀和さんが朝日新聞に連載していた「今年のCDから」という記事を参考にして、そこに紹介されているCDを購入したもの。

それをちょっと真似て2008年に印象に残った、本・音楽・映画それぞれの私的なベスト3について書いてみることにする。

まずは本から。

◎『古事記講義』』(三浦佑之)

今年前半は「古事記」がマイブームで、しばらく「古事記」にはまった。
そのきっかけがこの本。
(この頃は本を読んで面白いと思った部分に黄色いラインマーカーをひくということをしていたけれど、対向ページに色うつりがするのと、本を読みながらついうっかり眠ってしまい洋服に黄色がついてしまうことがしばしば発生したので、その後この習慣は無くなった。)

◎『空からきた魚』(アーサー・ビナード)

この人のエッセイは本当に面白い。
まさに「日本語遣い」。この本を読んでいると「決して日本語は亡びない」という気持ちになる。
今年はアーサー・ビナードさんの講演会にも行ってその人柄に触れ一層ファンになった。

◎『旅する力 深夜特急ノート』(沢木耕太郎)

今年は4月に東京へ転勤、8月に資格試験受験(結局今年は落ちたけど・・・)のため、春・夏とあまり本が読めなかったけれど、後半は良い本に巡り会えた。
その中でもこの『旅する力 深夜特急ノート』は圧倒的に面白かった。

この本についてはブログで次のように書いた。

この本で紹介されている大言海による旅の定義
(旅とは)「家ヲ出デテ、遠キニ行キ、途中ニアルコト」
つまり、「旅とは途上にあること」という認識から、旅は人生のようだという感慨が生まれる。
その意味でもし「途上にあること」が旅であるなら、本を読んでいる時間や映画を観たり、音楽を聴いている時間もまた一つの旅であるかも知れない…


次に音楽。

◎ダニエル・ハーディングのマーラー交響曲10番

サイモン・ラトルを若き旗手と思っていたけれど、ダニエル・ハーディングは更に若く、まごうかたなく天才である。
マーラーの交響曲ではなんといっても9番が好きだけれど、10番はもしかすると更に彼岸に近い境地かもしれない。
ウイーン・フィルの弦の響きも素晴らしい。

◎セルゲイ・シェプキンのゴルドベルク変奏曲

明るい明るいバッハ。
あの音楽室で謹厳なプロテスタントそのものの顔をしているバッハがこんなに明るくて楽しくていいかしらと心配になるほど。
子供が音楽の授業で最初にこの音楽を聴けばバッハのイメージは大きく変わるだろう。

◎バレンボイムのバッハ平均律クラウ゛ィーア曲集

音楽については私的に今年はバッハの年でしたが、数あるバッハのCDの中でもこの平均律クラウ゛ィーア曲集は最高のものの一つ。
リヒテル、グールドいずれも素晴らしいけれど、バレンボイムのバッハは天上から降ってくる聖なる音楽という気がする。
この曲を聴いていると「今、自分は生きている」という得体の知れない感銘に包まれます。

最後に映画。

◎『幻影師アイゼンハイム』

ここ数年で観た洋画の中でもベスト3に入ります。
最後の10分間で、それまでの世界が一転する快感は例えようがない。
もう一度、いやこれから何年かに一回は必ず観たい映画。
(その度にやはり驚くだろうなあ)

◎『おくりびと』

これもここ数年に観た日本映画の中でもベスト3に入る素晴らしい映画。
内容的にも深々と心に残るしユーモアもある。
映像、音楽も素晴らしい。
これも繰り返し観たい映画。

◎『地上5センチの恋心』

これはDVDで観たけれど、観終わって間違いなく幸福な気分になるフランス映画。
もし今何かの理由で落ち込んでいる人がいたら是非この映画を観て欲しいと心から願います。

番外編。2つのドラマ。

◎『冬のソナタ』

金沢に単身赴任中に、内田樹さんの「『冬ソナ』夢幻能説」に導かれて、窓外に降る雪を眺めながらひとりコタツに入り、ネットのダウンロードで見始めた所、ものの見事にはまった。

その時のブログには、こんな風に書いています。

このドラマがあんなに社会現象になるまで多くの人に支持されたのは、一人ひとりが心の奥に秘めている日常生活の奥に潜む「神話的時間」(あるいは初恋であったり、許されない恋の記憶であったり、既に失った愛する人と過ごしたかけがえのない時間であったりするわけだけれど)の回復のための物語であるからなのかも知れない。
ユジン(チェ・ジュウ)が何度も流す涙は、こうした失われた「神話的時間」を弔う(=回復する)ための「葬送儀礼」であり、そこに観るものは大きなカタルシスを覚えるのだろう。


◎『風のガーデン』

今年亡くなった緒形拳さんの遺作。
毎回息をひそめるようにして見続けたドラマ。
こんなに素晴らしいテレビドラマに出会えることはそうそうないだろう。

最終回の中井貴一の壮絶なまでの演技。
自然の美しさ。音楽の素晴らしさ。
倉本聡さんの最高傑作です。

来年も素晴らしい本・音楽・映画と出合えることを期待しています。

今年1年当ブログにお付き合いいただいた皆様に感謝いたします。
では良いお年を。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-30 16:09 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2008年 12月 30日

『日本語が亡びるとき』(水村美苗)

水村美苗さんの本は、『続明暗』にとても驚き、『本格小説』にひどく感心した。
どちらも他の人にはちょっと真似の出来ない境地に達した全く独自の小説であると思う。

この『日本語が亡びるとき』は今年随分話題になったけれど、なんとなく未読のままだった。

先日学生時代の友人と三島由紀夫が日参したという新宿の「どん底」という飲み屋で飲んでいた時に、
「この『日本語が亡びるとき』には昔(30年近く前になるけど)君が書いたり言ったりしていたことがたくさん書いてある。」
と言われて、それならと読んでみた。

うーん、確かに言われてみれば書いたことがあるような気がすることもあるけれど、いかんせん昔のこと故すっかり忘れてしまっている。

一つ確かなことは、学生時代の友人たちと(恥ずかしながら)同人誌のようなものを出していて、
そこに漱石を主人公とした短編小説のようなものを書いて、その中で『三四郎』の中に出てくる「ストレイシープ」という言葉を引用して、「日本はこのままでは亡びる」というようなことを、主人公(この場合は漱石)に語らせたような記憶はある。

その小説は確か(続く)となっていて、結局続かなかったけれど、今度この『日本語が亡びるとき』を読みながら、今ならもしかしたら続きが書けるかも知れないなどと思ったりもした。

(まあ、本当に書けるかどうかは定かではないけれど・・・)

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

水村 美苗 / 筑摩書房


[PR]

by maru33340 | 2008-12-30 15:08 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 30日

『いますぐはじめる地頭力』(細谷功)

以前買ったまま積ん読になっていたこの本を昨日、今日で読了。
年末年始で頭がぼやけないよう、頭の大掃除を兼ねて読みましたが、なかなか読みやすく、すぐに役立つ「考えるためのヒント」が豊富な好著でした。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-30 09:32 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 28日

N響=スラットキンの第9

27日はNHKホールへN響=スラットキンの第9を聴きにいく。
NHKホールは本当に久しぶり。
第9を生演奏で聴くのも数える程しか記憶がない。

しかし、この日の演奏は凄かった。
演奏は明晰で、普段聞こえないような音まで聞こえる。
テンポも心地よく、迫力も満点。
終楽章はここまで煽るかというくらいに激しいテンポで、合唱もハイテンション。

興奮のうちに渋谷の公園通りを歩きましたが、体中が熱をもったよう。

いやあ、やはり生演奏はいいなあ。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-28 23:27 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 26日

年末は「老子」で

岩波文庫から『老子』の新訳が出た。
以前「老子」にちょっと凝った時期があり、いろいろな訳で読み散らかして、なんとなくわかったような気になっていたのですが、今回読み返してみて、いやはや「老子」とはなんと難解な書物であることか!
考えれば考える程その思想は底無し沼のように深く謎めいている。
渡部昇一、谷沢永一さんの対談本に「老子は感じるもの」という言葉があり、以前何となくわかった気がしたのは、その時何か感じるものがあったせいかと気付く。
年末は少し丁寧に「老子」を読み返す事にしよう。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-26 07:45 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 24日

昨日はカレー曜日

昨日は家人が仕事のため僕が料理当番。僕が料理を作る日は予めカレーと決まっている。昨日はケララカレー。これは下ごしらえにちょっと手間はかかるけれどなかなか本格的な味わいです。
昼間は「レコード芸術1月号」で今年のレコードアカデミー大賞を眺める。最近少しバルトークに興味が出てきたので、レコードアカデミー大賞受賞のブーレーズ指揮による協奏曲集を聴いてみたくなる。今日は帰りにレコード屋(古い!)に寄って帰り自分へのクリスマスプレゼントにしようかな。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-24 07:45 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 22日

『いきなり始める仏教生活』(釈徹宗)

この土日は体調を整えつつ、この本を読了。
この著者の本は以前内田樹さんとの対談による『いきなり始める浄土真宗』を読み、なかなか凄いと感心した記憶がある。
この『いきなり始める仏教生活』という本も仏教の入門書という体裁をとりながら、その射程は現代社会の病理を捕らえ深く鋭い。
文章も読みやすく、これから仏教を少し勉強してみたいという人には最適だと思います。
僕も年末年始は少し仏教の勉強をしよう。

いきなりはじめる仏教生活 (木星叢書)

釈 徹宗 / バジリコ


[PR]

by maru33340 | 2008-12-22 07:29 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2008年 12月 19日

バレンボイムの平均律

昨日の昼間は横になってバレンボイムの演奏でバッハの平均律クラウ゛ィーア曲集を聴く。
このアルバムは先日取り上げた『クラシック新定番100人100曲』で紹介されていたもの。
バレンボイムというピアニストはあまり聴いてこなかったけれど、このバッハは素晴らしい。
はるか高い所から地上を俯瞰するかのようなスケールの大きい慰めに満ちたバッハを聴いていると「永遠」という言葉を思いだす。
繰り返し聴きたい名演です。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-19 07:26 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 18日

『風のガーデン』最終回

昨夜接待で少し高級肉を食べた所、どうも体に合わなかったようで夜中からひどい腹痛に襲われ今日は仕事を休む。
一日何も食べられないままドラマ『風のガーデン』の最終回だけは唸りながら見る。
このドラマは素晴らしいドラマでした。緒形拳の遺作でありその言葉の一つ一つが心に深く染みる。主演の中井貴一も壮絶な名演。音楽、映像も美しく全ての配役がピタリとあるべき位置にある。
死という重たいテーマを扱いながら最後は深い救いに満たされ永く心に残るドラマでした。
このドラマとの出会いに感謝したい気持ちで一杯です。
[PR]

by maru33340 | 2008-12-18 23:28 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)