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2009年 11月 29日

セバスチャン・サルガドあるいは「人間の尊厳」について

東京都写真美術館に「セバスチャン・サルガド展」を見に出かけた。

いずれも素晴らしい写真に言葉を失った。

この人の写真には、どの写真にも人間存在に対する厳粛で深い思想が感じられる。

アフリカの内戦から逃げる人々、難民キャンプでの生活を撮りながら、それを外側から撮るのではなく、彼らの生活や内面に寄り添い、内側から捕らえる。

サルガドの写真に漂う「崇高さ」は、彼がアフリカの人々の存在の尊厳を常に感じているところから生まれるのだろう。

東京都写真美術館(恵比寿)12月13日まで。


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by maru33340 | 2009-11-29 18:37 | 写真 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 28日

『からくり民主主義』(高橋秀実)

今月の新潮文庫の一冊。

高橋秀実という著者は寡聞にして知りませんでしたが、タイトルにひかれて衝動買いし、読み始めた所、滅法面白い。
まだ第一章の「親切部隊」という、小さな親切運動を取り上げた章しか読んでいないけれど、そのユーモアあふれる語り口にはまりました。(是非この章だけでも立ち読みしてみて下さい。ただし、思わず笑ってしまい、周りの人に不審な眼で見られるかも知れないので、ご注意下さい。)

現代日本に漂う閉塞感を、独特のユーモアで見つめるこの著者に少し注目です。
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by maru33340 | 2009-11-28 18:00 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 28日

ちあきなおみの『円舞曲』(コロンビア昭和歌謡アーカイブス)

シューマンとともに、今の僕のマイブームは、「ちあきなおみ」。

今は、シューマン交響曲の聞き比べに少しくたびれたので、先日購入したアルバム『円舞曲』を聴いている。

この人の魅力はなんといっても、その低くて少しくぐもった軽いビブラートがかかった声。
聴いていて、何か暖かいものに包まれるように感じて、とても安心する。

編曲がいかにも歌謡曲というチープな味わいもなんだか懐かしい。

ズンタタ、ズンタタというドラム、啜り泣くSaxophone、泣きが入るギターにバックコーラス。
どれをとっても裏町の流しの歌手の哀しみが漂う。

「冬の旅」の男の負のダンディズム、「あいつと私」の思わず手を貸したくなる駄目な女の可愛さ。
聞き慣れた「五番街のマリーへ」や「積木の部屋」も、ちあきなおみの手にかかると、いくつもの辛酸を乗り越えた大人の女の歌に聞こえる。

ちなみにこのアルバムは発売当初のジャケット写真を使っていて、物憂げに頬杖をつくちあきなおみの写真が、いかにも昭和の場末のスナックのママ風で、実に味わいがあります。

円舞曲

ちあきなおみ / コロムビアミュージックエンタテインメント


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by maru33340 | 2009-11-28 11:42 | 日常 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 27日

3つのシューマン

最近、シューマンの交響曲の聞き比べを楽しんでいる。

ここ数日は交響曲3番「ライン」を、バーンスタイン、ポール・パレー、クレンペラーの三人の指揮者の演奏で聞き比べているけれど、それぞれ強い個性があるので大変面白い。


バーンスタインがウィーンフィルを指揮した演奏は、噴出するマグマが次から次から噴き出してくるような熱い演奏。先日訪れた鹿児島の桜島が出来上がった当時のように噴き出している。
(見たことはないけど)
ウィーンフィルの弦の音も艶やかで美しい。録音も良く、ヘッドフォンで聴いていると身体がうずうずして踊り出したくなる。
(もちろん踊りません)

対して、ポール・パレーの演奏は、すっきり見晴らしの良い全体像がくっきり浮かびあがる名演。
繰り返し聴いていく程に味わいが深まりそう。
ちなみに、この演奏は、しばらく入手困難で、中古CD市場ではかなり高値がついていたようだけれど、最近2枚組1500円という破格の値段で交響曲全集が再発売され、マニアは騒然となったそうな。

最後に御大クレンペラー。
クレンペラーファンの僕にはもう言う事はありません。
冒頭の悠然たるテンポからクレンペラー節そのもの。
重たい、野暮ったいと言われようがなんのその。それが好きなんだからしかたない。快演です。

そんなわけで次第にシューマンおたく化していますが、もし他にもお勧めの演奏がありましたらどなたかご教授下さい。
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by maru33340 | 2009-11-27 07:48 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(5)
2009年 11月 23日

アルゲリッチの「音楽夜話」

友人から昨夜このアルゲリッチ「音楽夜話」のDVDを貸してもらい、今見終わった。
これは、いろいろな発見がある、そして見終わって間違いなくアルゲリッチが好きになる素晴らしいDVDでした。

最近シューマンがマイブームになっているのですが、このDVDでは、シューマンへのアルゲリッチの言及も多く、ピアノ協奏曲の素敵なリハーサル風景も納められていて嬉しい。

アルゲリッチはシューマンの音楽について、
「彼の音楽はまるで人生のよう。何が起きているか見通すことは出来ない。」
と語る。
そして「シューマンのために良い演奏がしたいと思っている。それは可能だと思う。何故なら私はシューマンに愛されているから。」
と独特の言葉を語り微笑む。
(このDVDでの彼女微笑みはとてもチャーミングだ。)
アルゲリッチの師匠であるグルダは、
「シューマンはアルゼンチン人ではなかったのに…」
と語り、彼女とシューマンの親和性を感じていたようだ。

音楽好きにはたまらない、素晴らしい宝箱のようなDVDを堪能しました。
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by maru33340 | 2009-11-23 11:49 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2009年 11月 22日

ちあきなおみの「朝日のあたる家」

昨夜BS2で、ちあきなおみの特集を見て、その歌唱にすっかり魅せられて、Y0U TUBEでいろいろな映像を検索している。

どれも凄いけれど、彼女の歌唱の一つの頂点にあるのが、「朝日のあたる家」という曲だろう。

聴き終わって、まるで2時間の映画を観終わったような深い感銘がいつまでも残る。

その深く暗い声は、ビリー・ホリデーの歌唱のように魂の奥深くまで染みこんでいく。

言葉よりも実際に見て聴いていただくことがなによりだと思う。

下記をご覧下さい。


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by maru33340 | 2009-11-22 09:40 | ジャズ | Trackback(1) | Comments(3)
2009年 11月 21日

今宵は何故に、ちあきなおみがこんなに染みるのか

BS2でちあきなおみの歌を聞きながら、その世界に浸っている。
どこかけだるそうに登場し、焦点があまり定まらない瞳でぼんやり左上を見ながら、少し傾いだまま歌い出される「港が見える丘」を聞いていると、横浜の港の霧が身体にジンワリ染み込んでくるようだ。
「上海帰りのリル」を聞いていると占領期日本にひっそり生きた、「ゼロの焦点」の女性達の哀しみがそくそくと迫る。

演歌を歌ってべとつかず、ポップスを歌って上擦りにならない。
粋で色っぽく、聞いていて自然に映像が見えて来る。

ちあきなおみこそ、日本を代表する不世出の名歌手である。
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by maru33340 | 2009-11-21 22:06 | お勧めの本 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 21日

旅の終わりに

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この一ヶ月で、鹿児島→金沢→和倉温泉と続いた、まるで松本清張の小説の展開のような出張ツアーも昨日の大阪出張で打ち止め。

昨日は高槻の母の家に泊まり、今日は京阪電車で出町柳まで行き、叡山鉄道で一乗寺まで足を伸ばした。

その訳は、昨日大阪の本屋で見つけた『おじさんの京都』(京阪神エルマガジン社)という、ちょっとマニアックな、しかしとても良い京都観光本で、京都一乗寺にある「恵文社」(外観写真)という本屋が、イギリスの『ガーディアン』誌で「世界の魅力的な本屋トップ10」に日本で唯一選ばれている事を知ったから。

京都散歩方々、母と「詩仙堂」「金福寺」の紅葉をちらっと眺めてから、「恵文社」に向かう。

ここはやはりその品揃えや配列のセンスの洗練という点で、少なくとも僕の知っている限り最高の本屋でした。

こんな素晴らしい本屋が街中にあれば、毎日通い、何時間いても退屈しないだろう。

居ればいるほど次々に本が欲しくなる迷宮のような世界にはまり、迷子になる前に数冊の本を手にレジに走り、後ろ髪を引かれる思いで店を後にしました。

この店はまさに本好きにとっての危険な聖地。
京都の奥深さの一端に触れました。

恐るべし京都。
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by maru33340 | 2009-11-21 15:37 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)
2009年 11月 19日

シューマンよ、そのキャンバスを厚く塗りつぶせ

シューマンの交響曲を聴いた事がない、わけではないけれど、自分でCDを購入して意識的に聴いた事はなかった。
何となくシューマン、シューベルトの交響曲はいささか冗長で退屈では、というこちらの思い込みが邪魔をしていた。

この所のシューマン・マイブームを受け、バーンスタイン指揮ウィーンフィル演奏のシューマン交響曲(1番、3番)を聴いて、(まただけど)自らの不明を恥じた。
これは、エネルギーと憧れと狂気が混然一体となったマグマのような、なんとも素晴らしい音楽ではないか。
バーンスタインの演奏のおかげかも知れないけれど、曲想は湧き立つように自由であり、変幻するリズムも新鮮だ。

前進するドライブ感と、内省し立ち止まる時間の交錯もまた、いかにもロマン派で嬉しい。

それにしても、「シューマンはオーケストレーションが得意ではなく、音が混濁している」というイメージは誰が言い出したのだろう。

確かに音は塊となっていて分厚いけれど、これなくしてシューマンの音楽のほの暗い味わいはありえない。
あっさりした味わいのゴッホがありえないように、この厚塗りこそがシューマンなのだから。

シューマンよ、そのキャンバスを、思いのままに厚く塗りつぶせ。
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by maru33340 | 2009-11-19 07:39 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2009年 11月 18日

和倉温泉「加賀屋」に泊まる

昨日から出張で能登へ。

宿は和倉温泉の「加賀屋」。(正直、おいしい出張です)
「加賀屋」の接客に学ぶ、という主旨の出張だったので、支配人さんのレクチャーを受け、部屋は幸運にも、皇族御用達の次のレベルのVIPルームに泊めてもらった。
三人で泊まったけれど、一つのスペースに部屋が4つもあるというもの。恐縮しながらも(個人で来る事はまず無理かと思うので)料理ともども堪能してしまった。

「加賀屋」の接客はさすがに「ここまでやるか」という程行き届いたものでしたが、「満足度日本一」を長年に渡り維持し続けるのは並大抵の事ではないだろうと思うと、従業員一同の皆さんの苦労が偲ばれ、あまり安閑としている事が出来ず、かえって気疲れしてしまったけれど…

こんなご時世に、バチが当たりそうな出張でありました。
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by maru33340 | 2009-11-18 10:31 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)