<   2010年 03月 ( 28 )   > この月の画像一覧


2010年 03月 29日

しばし隠遁します

この所blogに音楽やら本やら映画やら脈絡なく書き散らし、ふと見渡すとくっきりした一本道が見えない事に(いまさら)気付き、いささか忸怩たる思いがあります。

あれやらこれやら自分の未熟な思いを人様に絶えず晒しているのも滑稽に思えてきました。

もっと言葉を大切に丁寧に扱う必要があるし、自分の中でぎりぎり練り上げてもいない言葉を世に晒すのも恥ずかしく、申し訳なく思えてきました。

そんなわけでblogは休まぬまでも少し間合いを置いて更新する事にし、しばしテーマを決めた読書に専念し、充電したく思います。

よろしくお願いします。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-29 12:23 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 03月 28日

津軽弁訳『走れメロス』あるいは言葉の力について

言葉には「力」がある。
そして、方言には更に原初的で呪能的な力があるようだ。

友人の薦めで、太宰治の『走れメロス』を津軽弁に訳し朗読したCD『走っけろメロス』を聴いた。

以下、メロスが一旦芽生えた弱い自分の心を否定して再び走り始める場面。

『路(みぢ)行ぐ人(ふと)ば押しのげ、跳ねとばし、メロスぁ、黒い風(かじぇ)だえんたね走っけだ。野原(のっぱら)で酒盛(さがもり)の、その宴席のまっただ中ば駆げ抜げ、酒盛の人たぢばどってんさへ、犬ば蹴とばし、小川ば飛び越え、わんつかづづ沈んでいぐ太陽の十倍(じゅんばい)も早く走っけだ。一団の旅人(たびびど)ど颯ってすれちがった瞬間、不吉だ会話ば小耳ねはさんだ。「いまごろァ、あの男も磔ねかがっちゅうな。」ああ、その男(おどご)、その男のためね我ァ、いまこしたね走っけでらんだ。その男ば死なへればまね。急げメロス。おぐいればまね。愛ど誠(まごど)の力ば、いまごそ知かへでやればいい。…」

こごには、心の底からほどばしる熱情が、そんまんま言葉(こどば)におぎかわったような趣さある。

この先は是非朗読をお聞き下さい。

鎌田紳爾津軽弁翻訳・朗読『走っけろメロス』(未知谷)
[PR]

by maru33340 | 2010-03-28 06:53 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)
2010年 03月 27日

ついにマーラー交響曲第六番の決定盤に出会う

マーラーの交響曲の中で一番好きな曲はやはり九番。
これはおそらく今後も不動だろう。

しかし、次が難しい。
学生の頃から次点は六番と思いながら、決定盤と思えるCDに出会えないうちに、クレンペラーの七番という圧倒的な怪演に出会い、次点の位置は七番に入れ代わった。

そんな中、六番の決定盤になるのではと購入したのが、世評も高きジョルジュ・プレートル指揮ウィーン交響楽団による演奏。

これは期待に違わぬ名演。
圧倒的なドライブ力でオケを引っ張っていく力は(失礼ながら)とても老指揮者のものとは思えない。
テンポは自在で、ティンパニは限界まで強打する。
圧巻は終楽章。
30分を越える熱演で、普通は二度のハンマーで、次第にその力を失っていく英雄を思わせるのに、この演奏ではハンマーを振り下ろされる度にパワーアップするのだ。

最後に英雄が力尽きていくように曲は終わるのだが、この演奏では、倒れた英雄は、きっとムックリ起き上がるのではと恐怖感にかられるほど。

いやはや恐るべしプレートル。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-27 21:52 | お勧めの本 | Trackback(1) | Comments(0)
2010年 03月 27日

シリーズ日本近現代史(岩波新書)

岩波新書の同シリーズは、いつか読もうと刊行される毎にぽつぽつ購入していたけれど、まだ積ん読のままだった。

先日その最終刊『日本の近現代史をどうみるか』が刊行された。
この刊では、通史を描いた執筆者九名が、各時代の日本を理解するうえで欠かせない根本的な問いを掲げ、それに答えながら総まとめをしている。

第一巻『幕末・維新』を執筆した井上勝生氏は、「幕末期、欧米に対し日本の自立はどのように守られたか」との問いを掲げ、従来僕らが思っている、
「開国期に無為無策であった幕府が、一方的に不平等な条約を認めさせられ、それに対して、条約反対という国内世論を受けた天皇と朝廷が登場して、条約を拒否し、ここから幕末の政治史が始まる」
という考えは「作られた物語」であると述べる。
井上氏によれば、
「幕府は、軍事力の違いを踏まえて、戦争を避け、欧米の要求に対しては、情報を集積してその危険性を察知し、欧米への譲歩を出来るだけ縮めるという路線を採り、欧米との交渉記録も大名たちに公開し、彼らの合意や世論をつくりだす。」
という極めて戦略的な外交交渉手腕を発揮していた。
そして、
「江戸日本の自立はそのような幕府の路線と日本経済の成熟によって守られたのです。」
と述べる。

うーん、そ、そうだったのか…やはりもう一度、一から日本近代史を学び直す必要がありそうだ。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-27 14:40 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2010年 03月 25日

『小林秀雄「音楽」を語る』(新潮CDBOOK)

また、語っている
何を
音楽を
誰が
小林だ
(ランボー風書き出し、にはなってないか…)

ふいに小林秀雄の声が聞きたくなり、このCDを引っ張り出してWalkManに入れ聞いている。
自宅で録音されたようで、背後で孫達がはしゃいでいる声がする。(この中には白州信哉もいるのか)
小林秀雄はすっかりくつろいで、音楽について実に楽しそうに語っている。
小林にかかればブラームスは「あいつ」である。
(例)「あいつのことをセンチメンタルなんぞというやつがいるが、それは全くあいつを分かっていない。」なんて、ほとんど友達だ。

シューマンが気にいっているようで、こんな風に語っている。

「ドイツの道を100マイルくらいでずーっと走っているでしょ、ライン川がずっと見えてね。そうすると、ああシューマンだってわかるんです。
あれがシューマンなんだ。ショパンなんかは、確かに病気だったかしれないが、人生が完結してますよ。シューマンにはどこか欠けた所がある。それが良いんですよ。あの一楽章がいいやつがあるでしょう。シューマンは実に良いです。」

例によってよくわからないけれども、ついつい「そうですね」と相槌をうちそうになる。

語りの後に、シューマン交響曲一番がかかり、小林が「一楽章がいいやつ」といっていたのはこのことだったか、とわかる。

確かに交響曲一番の一楽章は実に良いんです。
(今聴いているなう)
[PR]

by maru33340 | 2010-03-25 07:54 | お勧めの本 | Trackback(1) | Comments(1)
2010年 03月 24日

「いつ何を聴くか」問題

WalkManで音楽を聴くようになってから、音楽を聴く時間が激増した。

手軽に大量の音楽を取り込めるし、宣伝するわけじゃないが、ほにゃららPodと比べて格段に音が良い。

大量とはいえもはや容量(8GB)オーバーなので、新しい音楽を聴くためには涙を飲んで何かを消す必要がある。

さて、僕は今(だいたいだけど)時間帯やシチュエーションで聴く音楽を変えている。
(というより変わってきた)

朝一番、少し早起き出来て、勉強しようかという時は、何と言ってもバッハ。集中力が違います。(僕なりに…特にグルダの「平均律」が良いと最近発見しました。)

朝の通勤時間はラッシュの騒音に負けないよう大音響のオーケストラ曲を聴く。
(今はブルックナー三昧。都会のオアシスとはこのことやで)

昼休みに時間があれば、やはり少しスローなJazzVocalが良い。
(今はステイシー・ケントにぞっこん)

帰りの列車は気分の高揚を抑えリラックスするため宗教曲。
(スターバト・マーテルやフォーレ、モーツァルトのRequiemなどが良いか。ヴェルディは劇しいので朝の目覚めに良い)
寝る前は最近は落語。
志ん朝を聴きながら(ったくおまィさんは、承知しないョゥ)的な音楽のようにしなやかな言葉の流れに身を委ねているうちにいつの間にか眠ってしまっている時間はまさに至福のひと時だ。

いやあ音楽って本当に…
[PR]

by maru33340 | 2010-03-24 18:26 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 03月 23日

達人の言葉③

麻雀の達人である桜井章一は叡知の人である。

その著書『努力しない生き方』(集英社新書)は、彼の壮絶な勝負の世界で得た経験を元に語られた人生論の名著である。

以下目次からいくつか。

◆努力しない-力が入ったら疑え
◆持たない-持つほどに不自由になる
◆恨まない-上手な諦め方は生きる力を生む
◆苦しまない-期待しなければ苦しくならない
◆頑張らない-頑張ると柔らかさを失う
◆相手を読まない-分析したらそこで終わりになる
◆プライドを持たない-誇りはうつむき加減に持つ
◆急がない-ゆったりすると物事を鋭くつかめる

などなど・・・

具体的に何をしなさいとか、してはいけないというようなノウハウは書いていないけれど、生きる上での立ち位置のようなものがはっきりとしてくるようで、もし目次の言葉で、少しピンと来る所があったら本屋さんで立ち読みしてみて下さい。

それぞれ今の自分が置かれている立場で読むと随所にヒントがあるはずです。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-23 13:09 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 03月 23日

達人の言葉②

小林秀雄と岡潔の対談『人間の建設』は、達人による名言の宝庫で、この本から抜き書きして私製名言集を作ろうかと思ったけれど、この本自体が二人の達人の真剣勝負のようなものであり、その(あっているような、ズレているような)掛け合いや間合い・おかしみ、全てが藝なので、抜き書きを作る事は断念した。
藝である以上、要約や理解は不可能である。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-23 08:42 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2010年 03月 23日

達人の言葉①

東京でも昨日桜の開花宣言が出された。

早くも花見をしているオジサンにインタビューしていて、
「まだあまり桜は咲いていませんが?」
とのアナウンサーの問いに答えてオジサン一言いわく

「あると思えばある」

うむ、そりゃそうだ。
なかなか達人の言葉である。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-23 08:32 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 03月 21日

三連休は映画三昧だあ

この所見たい映画、展覧会、演奏会が目白押し。
嬉しい悲鳴だが、いかんせん宮仕えの身なれば時間的にも経済的にも制約があるので、仕分け作業が必要。

そんな中、今日は風も強いので近所のMOVIXで映画三昧。
午前中は『NINE』、午後から『時をかける少女』の二本立て。

『NINE』は『シカゴ』を撮ったロブ・マーシャル監督作品なので、期待していた。
結果は期待を遥かに上回る素晴らしいもの。
フェリーニの『8 1/2』を元にしたミュージカルを映画化したこの作品は、フェリーニ自身をモデルにした映画監督の創作を廻る芸術的危機に男と女の葛藤を加味した、苦みのあるテーマを扱いながら、一級のエンターテイメントとなっている。
フェリーニ=グイドを演じるダニエル・デイ=ルイスは、天才の自己中心的な性格と少年性を持ち、女性との交渉が絶えない、芸術家の傲慢さと人間としての弱さの混然となった「イタリアの太宰治」といった風情を醸しだし秀逸だ。

女優陣は豪華極まりない。
あたりを払う風格のソフィア・ローレン、コケティッシュで色っぽいペネロペ・クルス、気品のある美しさに息を飲むニコール・キッドマン、スタイリッシュに歌い踊るケイト・ハドソン、清楚な美しさのマリオン・コティヤール等々。
まさに豪華絢爛たる競演だ。

早くも今年の洋画ベスト3候補が現れた。

午後からは仲里依紗主演の『時をかける少女』。
1983年公開の原田知世版の『時かけ』は、僕の中ではオールタイム日本映画ベスト3以内であり続けている。

今回の仲里依紗版はストーリィとしてはその続編という形だけれど、前作へのオマージュとなっていて随所随所に仕掛けがあり楽しめる。
しかしなんといってもこの映画の最大の魅力は、主演の仲里依紗の画面から弾けださんばかりのフレッシュさとユーモア、そしてナイーブで一途な想いの表現にある。
これから彼女はまだまだ無限に成長していくと思うけれど、その代表作になることは間違いないだろう。

こちらもまた本年度日本映画ベスト3有力候補だ。

今日見た二本の映画で嬉しいのは、どちらも「映画」という表現へのオマージュになっているということ。

日常生活で例えどんなに辛い事があろうとも、これらの映画を見れば、
「そうだ映画があるじゃないか」
という希望のようなものが沸いて来るに違いない。

いやあ映画って本当に良いものですね。
[PR]

by maru33340 | 2010-03-21 21:36 | 映画 | Trackback | Comments(1)