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2010年 10月 30日

小山実雅恵のショパン/バラード

小山実雅恵は、今や世界を代表するショパン弾きであるとは聴いていた。
今回彼女がショパンの4曲のバラードを中心に録音したショパンのアルバムを聴いて、「なるほど、ここには本当のショパン弾きがいる!」と感嘆した。

ゆったりした導入部分の、丁寧に置かれた碁石のような弱音の響きの美しさ。

次第に感情が高まりクレッシェンドしていく部分の自然な高揚感の素晴らしさ。

そしてリズム感の揺れの心地よさ。
あくまで自然に、心の動きのままたゆとうような揺れ。

このアルバムにはバラード以外によく考えられた配置で、前奏曲や舟歌、夜想曲が収められているが、何れもとても美しい演奏だ。
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by maru33340 | 2010-10-30 16:17 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 29日

『昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』(中川右介著、幻冬舎新書)

昭和55年、僕がまだ20歳だった頃、それまで全く興味がなかった作家三島由紀夫にはまり、当時文庫になっていた本はほとんど読み、その頃下宿していた早稲田界隈の古本屋を巡り、三島に関する評論も随分読んだ。

それは熱病のようなもので、飽きっぽい僕としてはミシマ熱は随分長く続いた。

三島を読んだ影響からか、ドイツでナチズムが台頭する前のワイマール共和国時代の精神史を卒論のテーマに選んだが、何しろ初期社会主義思想を専門とする教授のゼミなので、酷く評判が悪かったのは、今考えれば当たり前で、それでも最低点ながら及第点がもらえたのは、就職が決まった僕への教授の温情だったのかも知れない。

しかし、今年が三島由紀夫没後40年だから、僕がミシマ熱に取り付かれた頃は、彼が自ら割腹して果てたわずか10年後だったのだ。

当時その衝撃的な死の謎を解きたいと様々な本を読んだけれど、結局全ては藪の中にあるようで、近づいても近づいても、彼の姿は哄笑とともに消えるようだった。

あれから30年。

気がつけば僕は、三島が死んだ歳をとうに通りこして50歳も越えてしまった。

三島が憂いたように、日本はますますペラペラの渇いた安い紙切れのような、誇りも恥じらいも夢も失った、虚ろな国になり、僕もまた日々流されるだけの存在であることに安住しているだけの平凡な中年になってしまったようだ。

この『昭和45年11月25日』という本は、三島の事件の前日から当日にかけての百数十人の記録を時系列に再構築し、当時の熱狂と戸惑い、共感と反感を生々しく感じることが出来、今日一日で一気に読了してしまった。

そしてこの本を読んでいると、40年経った今も、あの事件は終わっていないのだと改めて思い知らされるのだ。
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by maru33340 | 2010-10-29 00:17 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2010年 10月 28日

こんなに寒い朝はブラームスを

昨日から季節外れの冷え込み。
10月にマフラーを巻きながら出勤するとは思わなかった。
耳からも暖をとるために、ブラームスのクラリネット五重奏曲を聴いているが、なんだかやけに染みるのは寒さのせいだけだろうか…
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by maru33340 | 2010-10-28 08:07 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 27日

怖い夢

最近、夜中に怖い夢で目が覚める日々が続き、寝不足であることに気がついた。
特に原因に思い当たる節はないのだけれど、なかなか苦しい毎日であります。
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by maru33340 | 2010-10-27 23:00 | 日常 | Trackback | Comments(0)
2010年 10月 25日

バラード 沈黙と革命の間

ショパンの曲の中で最もショパンらしい音楽は、バラードかも知れぬ。

今まであまり聴いてこなかった4曲のバラードには、沈黙に等しい程の内省と心の内側からほとばしる情熱が混在となった幻想的な味わいがあり、どこかシューマンを思わせる狂気の萌芽も感じられる。

演奏はアシュケナージで。今まで何となく中庸で面白みには欠けるような気がして、この人の演奏を聴いてこなかったけれど、確かに一見奇面人を驚かすような所はないけれど、ショパンの書いたものは全て過不足なく美しい音で表現している。その意味で、アシュケナージはルービンシュタインの正統な後継者かも知れぬ。
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by maru33340 | 2010-10-25 08:07 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 24日

「国境」についての日本と中国の考え方のズレ

内田樹の『街場の中国論』は2007年に刊行されているけれど、尖閣諸島の問題についてこんな風に書いている。

「国境線が確定されずにあいまいなままぐずぐずしているのは僕たち日本人にとってはかなり気分が悪いことであるけれども、中国人にとっては四千年前から、王土の辺境がはっきりしないということは当たり前のことであって、「まあそのうち(数百年もすれば)落ち着くところに落ち着くのではないか」というようなスパンで考えている。この彼我の「国境感覚の差」を勘定に入れないと、日中の外交関係というのはうまくゆかないんじゃないか。」

なるほど、今、僕の知る限りそんなことをメディアで語る人はいないけれど、一つの見方(冷却剤として)こういう見方もありと受容する柔軟性があれば、日中関係をめぐる議論はもう少ししなやかなものにはなるかも知れないなあ。
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by maru33340 | 2010-10-24 10:44 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 24日

音楽は生き物だあ

ウイルヘルム・フルトウ゛ェングラーいはく、「音楽は有機体である。」(『音と言葉』より)

長く苦手としてきたベートーベンの交響曲『英雄』は、弦楽四重奏曲ラズモフスキーセットと密接な関係があり、また吉田秀和氏いはく「この曲によってベートーベンは初めてベートーベンになり、音楽は市民のものになった。」とのことゆえ、いつまでも苦手とはいっていられない。

演奏は、これも今までは積極的には聴いてこなかったフルトウ゛ェングラーの指揮で、『英雄』に挑戦している。

これはやはり名演の誉れ高いだけの事はあり、押さえ切れない生命力が内側から噴出するような生き物のようなエネルギーに満ちている。

(ちょうどボール遊びに興じる子犬が、飼い主がボールを投げてくれるのを待ちきれずうずうずしているような気持ちと、ボールが投げられた時に一気にダッシュしていく勢いを見ているような快感といえばいいのか。)
まさにフルトウ゛ェングラー自身が語るように、この音楽は、まさに「いまここで」生まれ落ちたように新鮮な生き物のように息づき躍動しているのだ。
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by maru33340 | 2010-10-24 10:24 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 22日

グールドのモーツァルト

先日購入したザラフィアンツのモーツァルトの初期ピアノ・ソナタを愛聴しながら、「この曲をグールドならどのように弾くだろう。」と思い、グールドのCDを購入した。
速い楽章は、今音楽が生まれ落ちたばかりのように新鮮でキラキラと輝く。
緩やかな楽章は、深い内省の音楽が思わぬ陰りと深みを垣間見せてくれて美しい。

初期のモーツァルトの音楽はシンプルな構造で出来上がっており、これを面白く聴かせることは、なかなか難しいと思うけれど、グールドの演奏からは尽きせぬ魅力が溢れ出る。

グールドの鼻歌も好調で、あたかも歌曲のようでさえある。
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by maru33340 | 2010-10-22 07:49 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 19日

いまここにあること

深夜ふと目覚め、ぼんやりしていると昼間の出来事や風景が様々な物音や声とともに蘇る。

それらは雑然と脈絡もなく、過去も現在も交わり飛び交う。

その時僕の体は、ベッドに横たわっているけれど、心はそこにはいない。

おそらく昼間仕事をしていたり、本を読んだりしている時も、自分では確かにそこにいると思っているけれど、心はどこかにいっているのかも知れない。

自分が、確かにいまここにある、という手応えを感じる事が出来るように、もっと丁寧に時間を味わいながら生きる必要があるようだ。
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by maru33340 | 2010-10-19 08:47 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 18日

むしろ音楽は沈黙の中に存在する

ウォークマンで、列車の中で音楽を聴いているとどうもなんだか違和感がある。
ボリュームを上げれば一応全て鳴っている音は聞こえているはずだけれど、何かが違う。

何が違うのかとつらつら考えて、
「そうか周りが騒がしい中では鳴っていない音が聞こえないのだ。」
と気付いた。

弦楽四重奏で、始まりの音を合わせるために四人が息を飲む音。

ピアノの最後の音が鳴り終わっても、ホールの空気がジーンと鳴っている音。

弦の糸が二三本ほつれている気配。

静かな環境では聞こえる、そうした気配と沈黙のあわいの余白にこそ、真の音楽のミューズは宿っていたのか。
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by maru33340 | 2010-10-18 22:57 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)