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2013年 03月 30日

山桜とレクイエム

山ざくらをしむ心のいくたびか
散る木のもとに行きかへるらん
周防内侍

僕の勤めるアートハウスの庭の山桜は、今が満開。
入口の桜並木のソメイヨシノは、風に吹かれてさらさらと花吹雪が舞う。

毎年春になると咲く桜を、こんなに心待ちにするようになったのは、この二三年のこと。

特に二年前の震災の後には、しばらく本を読んだり音楽を聴くことも出来なくなり、まるで毎日白昼夢の中にいるような心持ちでいたけれど、そんな季節にも桜の花は美しく咲くのを見ながら、もし地球上から人類という生き物がいなくなったとしても、こうして桜の花は毎年春になれば咲き、そして風に散っていくのだなあ、などとぼんやりと考えていた。

今日はお休み。

ビクトリアのレクイエムを聴きながら、桜の花がまるで終わりないように散りしきる風景が心の中に浮かぶ。

午後からは、今年の桜の姿をとどめるために、カメラを持って出かけようか。
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by maru33340 | 2013-03-30 09:38 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2013年 03月 27日

まるで上質の音楽ミステリィのような『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』

友人がそのblogで紹介していた『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』(平野真敏著、集英社新書)を読了した。

これはまるで上質の音楽ミステリィのようで、一気に引きこまれ読了した。

かつてワーグナーにも愛されたこの楽器が、現在は何故全く忘れられてしまったのか?

自らヴィオラ・アルタ奏者と名乗る著者の探求の旅の過程は大変興味深く、最後には、深く静かな感動が訪れる。

そして、何より素晴らしいのは、情熱と詩情にあふれたその文章。

想像をはるかに超える良質のノンフィクションの誕生を喜びたい。
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by maru33340 | 2013-03-27 07:13 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2013年 03月 24日

グールドによるバッハのインベンションとシンフォニア

CD を整理していて、このアルバムを発掘。
何気なく聴きはじめたら(以前にも聴いていたはずなのに)とても面白くて夢中になった。
ここでは、グールドは演奏曲順をばらばらにして、独自に並べ替えているけど、違和感は全くない。
この録音のため、彼はスタインウェイを大きく改造したけれど、ハンマーがリバウンドするというトラブルが解消出来ず、楽器メーカーの沽券にかかわることになった。
そこでグールドは、ライナー・ノーツに釈明文を書くことになる...
しかし、その音の響きの即時性と透明感は、この演奏にふさわしく、とても美しい。
このアルバムは、グールドの数あるバッハ演奏の中でも最良のものの1つかも知れません。
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by maru33340 | 2013-03-24 10:29 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2013年 03月 20日

この道はいつか来た道

アベノミクスで株が過熱しているらしい。

「いつ買うのか?今でしょう。」と熱弁するネット証券社長の顔やそこに集う人々を見ていて、かつて「バブル」という時代があったことは、忘れ去られてしまったのかしら、と思う。

支持率も70%を越え、日本経済の救世主のようにマスコミは安倍総理を讃えるけれど、かつて散々彼を叩いたのは誰だったろう。

浮かれ過ぎてはいないかしらと懸念しながら、「この道はいつか来た道」と小声で口ずさむ今日この頃。
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by maru33340 | 2013-03-20 21:30 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2013年 03月 20日

仕事の原則

僕にとって、仕事に追われているな、と感じるバロメーターの1つは会社の机の上。
「基本的に今処理中以外の資料は置かない」のが原則だけれど、気持ちに余裕がなくなると処理済の資料が積まれて、必要なものが探しにくくなっている。

もう1つは、バソコンのデスクトップの中。
こちらも机の上と一緒で、常時見なければならないフォルダと処理中のもの以外は画面に表示させないのを原則としているけれど、うっかりすると画面3分の1位をフォルダが占拠していることなる。

2月中旬位から仕事が立て込み、体調も崩したりしていたので、昨日机の上とバソコンの画面を見て「こりゃあ、いかん」と気がついた。

幸い昨日で、少し仕事の峠を越える目処が立ってきた。

今日は出勤。
祝日なので、本社からの電話やメールも来ない。
少し会社のデスク回りの整理をしよう。
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by maru33340 | 2013-03-20 07:35 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2013年 03月 17日

名著『藤田嗣治 手仕事の家』(林洋子著)のこと

藤田嗣治という画家は、なかなか一筋縄ではいかない画家だ。

そのおかっぱ頭の奇抜なイメージ。

そして、その絵画の乳白色の肌の美しさには、現物を見たとき息を飲むほどだし、そこに漂うユーモアも楽しい。
(猫の表情の愛らしさ!)

一方、常に躓きの石となる彼の戦争画には、ペシミズムが色濃く、どう見ても反戦絵画にしか見えず、戦後、戦争協力者として断罪された事がどうしても理解出来ない。

晩年はFranceに定住し、その国籍を取得、カトリックの洗礼を受けスイスのチューリッヒに没した。

その華やかな画業とはうらはらに、どこか悲劇的な印象の拭えない生涯だ。

しかし、この『藤田嗣治 手仕事の家』という本を読み、藤田の愛した「モノ」への情熱を知り、いやいやどうして、なんとも充実した人生だったのかも知れないと思い返した。

この本は、軽やかでvisualな体裁にも関わらず貴重な資料や写真が惜しげもなく散りばめられた、とても贅沢な本で、ここから数冊の学術書が書ける程の素材が収録されている。

隠れた名著と見ました。
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by maru33340 | 2013-03-17 06:12 | お勧めの本 | Trackback | Comments(9)
2013年 03月 15日

グールドの美質が最大限に生きる変奏曲

数あるグールドのアルバムは、どれも魅力に満ちているけれど、バッハの作品は別格として、僕が愛聴してやまないアルバムは、1枚はブラームスの間奏曲集、もう1枚はバードとギボンズの作品集。

どちらもグールドが自分自身の楽しみのために弾いているようで、ここでのグールドはまるで一人無心に玩具で遊んでいるこどものように、無垢で孤独で美しい。

これらのアルバムを聴いていると、本来音楽とは、自分自身の悦びのためにあるので、聴衆の喝采のためのパフォーマンスではないということを感じて、グールドが早々に演奏会からリタイアした理由がわかるような気がしてくる。

今日初めて聴いたベートーヴェンの「創作主題による32の変奏曲」もまたこれらのアルバムに通じるものがあり、ここでのグールドの演奏もまた、哀しいほど孤独でそして何より美しい。

一日で何度も聴いてしまったけれど、その都度泣きそうになってしまう。

これは生涯の愛聴盤になりそうです。
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by maru33340 | 2013-03-15 19:51 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)
2013年 03月 14日

ロバート・キャパ その青春、戦い、そして死

この所どうも疲れが抜けないなあと思っていたら、一昨日の夜から胃痛ひどくなり、医者に行った所、十二指腸・胃腸炎と診断され三日間の自宅静養を命じられた。

これはどうも疲れがたまった時の僕のいつもの持病で、まああまり無理しなさんなという天の声と受け止め、自宅でゆるゆると横になり本を読んではうつらうつらしながら過ごしている。

おかげで、この所読んでいたカメラマンのロバート・キャパの伝記三部作『キャパその青春・その戦い・その死』を読了した。

この伝記は、キャパという伝説に覆われた戦場カメラマンの人生を詳細に調べ、時に(自らそれを演じた)神話のベールをはぐような記述もあるけれど、にもかかわらず、とても魅力的でエネルギッシュなキャパという人物像が浮かび上がる。

この本の魅力はいくつもあるけれど、僕はその文章と語り口に魅せられた。

例えば、キャパの恋人であり最大のパートナーであったゲルダとの関係について、作者リチャード・ウィーランはこう書いている。

「キャパはのちに、ゲルダが死んだときに自分の人生もある種の終焉を迎えてしまったのだ、と語っている。彼は、もう自分には失うほどの価値があるものはほとんど残されていないと感じており、さらにそうした状態のままでいる道を選んでいったかに見える。
それ以後、彼は、深いところで、家族からも、友人からも、女性からも、金銭からも、まさに人生そのものからも、超絶したままの状態でいることになる。
楽しみのすべてを充分に享受したが、それは刹那のことに限られていた。
愛情にとらわれることも、将来の約束をすることもありえなかった。
彼は友人たちと大いに楽しみ、楽しませたので、友人の大半は彼のことを人生を愛し、楽しみを味わいつくそうとしている男だと思っていた。
だが、魅力的でもなければ楽しそうにも見えないというのは不作法で下品なことでさえあるという彼の信念にもかかわらず、親友たちは、ゲルダの死に深く傷つき、深い悲しみに沈んだままになっているアンドレ・フリードマン(※キャパの本名)としての彼のもうひとつの側面を感じ取っていた。」

社交的で魅力的なキャパの陰りを表現して不足はない。

とても読み応えのある三部作でした。
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by maru33340 | 2013-03-14 19:44 | お勧めの本 | Trackback(1) | Comments(4)
2013年 03月 10日

フォーレのレクイエムを聴く日曜日

先日友人と神保町で聴いた、エキルベイ指揮アクサントゥスによるフォーレのレクイエムを聴いている。

この演奏は初演のスコアに基づく演奏とのことで、普段慣れ親しんでいるフォーレとは少し趣が違う。

楽器数は少ないけれど、教会での録音のため残響が多く、低音も強いため、僕には非常にドラマティックに聴こえる。

合唱のアクサントゥスは、アカペラにより、多くのclassicの名曲をアレンジしたアルバムを録音しているグループ。

ゆったりしたテンポで、言葉を慈しむように大切にしながら、時に劇的に歌い上げる演奏は、天上的というより人間の深い祈りの姿を感じさせてくれる。

3.11を前にして、いまだ心から去らないその衝撃を心に想いながらひとり聴いていると、胸の奥に疼くような痛みが蘇るようだ。
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by maru33340 | 2013-03-10 08:24 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2013年 03月 06日

朝の儀式

朝起きるとまずお湯を沸かしお茶をいれる。

時間は6時。

パレストリーナの古い教会音楽をかけ、新聞にさっと目を通しながらお茶を飲む。

新聞を読み終えた頃には、晴れた日には朝陽が山を照らし、雨の日は雨粒が近くの公園の庭を濡らす。

まだ仕事に出かけるまで時間があるのでイタリアの静かな中編小説『祖母の手帖』を読む。

あたりはとても静かで、戸外を歩く人の姿も見あたらない。

この所朝起きてすぐは胃が痛むので、朝7時頃に朝食代わりに一杯のスウプを飲み、胃薬を数粒飲む。

パレストリーナの音楽はまだ続いている。

朝の儀式のようなこの毎日を続けていると、なんだか自分が中世の修道院にいるような気がしてくる。
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by maru33340 | 2013-03-06 07:01 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)