新・クラシック音楽と本さえあれば

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2015年 01月 30日

冷静な熱狂と陶酔的な明晰 二つのボレロ

ラヴェル熱は続き、アンドレ・クリュインタンスによるラヴェル管弦楽全集を聴いている。

マルティノンの演奏と比較しながら聴くと色々な発見があって面白い。

マルティノンの演奏は、隅々までくっきりと原色で描かれた絵画のよう。

全ての部分に明るい光が当たり、キラキラと輝く。
それでいてその熱狂の底にははひんやりとした冷静な理性を感じ、まるでキリコの絵画を見ているように自分が白日夢の中にいるような気がする。

クリュイタンスのラヴェルは明晰で柔らかい音色で描かれながら、ふとした瞬間にふっと幻想的な世界に迷い混んだような気配を感じる。

その時間は、アンリ・ルソーの描いた夜の森で開かれているカーニヴァルの中にいるような気がするのだ。

冷静な熱狂と陶酔的な明晰、どちらも素晴らしい名演。

ラヴェル熱はしばらく続きそうです。




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by maru33340 | 2015-01-30 22:17 | クラシック音楽 | Trackback(1) | Comments(4)
2015年 01月 24日

ラヴェルの音楽の「透明な苦み」のこと

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今、アートハウスに展示している松島巌さんのコアガラスの作品を見ていて、ふいに「ラヴェルの音楽が聴きたい」と思った。

その透明な蒼色がラヴェルの音楽を思い出させたからかも知れない。

(写真の作品は展示作品ではないけれど、その透明感は同じ性質のもの)

帰宅して、マルティノン指揮によるラヴェルの管弦楽集を聴き直し、随所に新しい発見があった。

一つ目は、ラヴェルの音楽は陶酔的な音楽ではなく、非常に理知的で構築的なものであるということ。

印象派というレッテルによってその作品を聴いてはいけないという点で、ラヴェルの音楽はマネの絵画に近いような気がした。

彼の音楽には常に自分自身をもう一人の自分が見つめているような冷ややかなものがある。
(例え、ボレロのラストのクライマックスにおいても)

二つ目は、ラヴェルの音楽にある「透明な苦み」を強く感じたこと。

特に「ラ・ヴァルス」におけるひずみのあるワルツ音楽のパロディーには、作曲された1919年という時代の第一次世界大戦後のヨーロッパ社会の疲弊の影響を感じる。

(そういえば今回少しラヴェルのことを調べていて、彼は第一次世界大戦の時に、パイロットとして志願したが、年齢(38歳!)とその虚弱体質からトラックの輸送兵として兵籍登録されたことを知った。)

一度ラヴェルの音楽にその「透明な苦み」を感じると、どの作品にも基調低音のようにそれが流れているのを感じ、もう一度彼の様々な作品を聴き直したいと思った。
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by maru33340 | 2015-01-24 10:15 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(5)
2015年 01月 19日

ホイッスラーの詩情

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横浜美術館でホイッスラー展を見る。

非常に面白かった。

耽美主義と呼ばれ、ラファエル前派との親交も深かった彼の作品は、甘く華やかであり、音楽を聴いているような詩情が漂い、ひとつひとつの作品を眺めているとそこから立ち去りがたい気持ちになる。

僕が気に入ったのは、やはり「白のシンフォニー」と「ノクターン」のシリーズ。

アンニュイで頽廃的な雰囲気は日本人好みで、ラファエル前派ほどの濃さもなく、儚げで美しい。

昨年から続くイギリス絵画の流行は今年も続きそうです。
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by maru33340 | 2015-01-19 17:36 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2015年 01月 13日

本を読むことは旅をすること

日帰り出張の帰り、工藝家の三谷龍二さんらによる著書『「生活工芸」の時代』(新潮社)を読む。

明後日からアートハウスで始まる「工藝を我らに」という展覧会の参考にと読み始めたけれど、やはり三谷さんの文章には、日々を丁寧に生きる人の肌触りがあり、読んでいると心が落ち着いてくる。

例えば、こんな文章。

「本を読むことは、自分の部屋に居ながらにして、遠くへと旅をすることだと思います。ベッドに入ったまま、あるいは椅子に座って、本を開くだけで、知らない世界へと旅立つことができるのです。日々の暮らしのすぐそばにある、特別な場所へと。」

引用されている長田弘さんの詩も良いなあ。

「どんなときにも、ひとは旅をしている。
何をしているときも、旅をしている。
旅をしていないときも、旅をできないときでも、
旅をしている。
目覚めての、朝の窓辺までの、ほんの数歩の旅。
古い木のテーブルの周りを行ったり来たりの、
ただそれだけの旅。」

どんなときにも旅はすぐそこにあると思うと、少し心慰められるような気がするものです。
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by maru33340 | 2015-01-13 22:34 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2015年 01月 08日

年始の読書のこと

仕事始めの日からなんとなく体がだるく、「これはまずいかも」と思っていたら案の定、昨日から喉と胃が痛みだし頭痛発熱も加わりやむなく仕事を休み静養。

2日間横になり、ようやく何とかソファーに座れるまで回復した。

リハビリがてら今年最初のブログ更新を。

年末年始は宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』(新潮文庫、全6巻)にはまり、一気に読了。

これは数ある宮部さんの作品の中でも代表作となる傑作だろう。

登場人物の描きわけの見事さ、ストーリーの見事さと読了後の余韻の深さ。

どれをとっても一級品。

久々にミステリーにはまりました。

今日横になりながら読み始めたのは山﨑努の『俳優のノート』。

リア王上演にいたるまでの準備、稽古、公演の舞台裏を描き面白い。

役者山﨑努が以前から大好きだったけれど、この人は稀有な文章家であり、一人の哲学者でもある。

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき / 新潮社



俳優のノート〈新装版〉 (文春文庫)

山崎 努 / 文藝春秋


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by maru33340 | 2015-01-08 16:55 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)