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2016年 01月 29日

雨の降る冬の朝に飲むココアのような

朝起きて雨が降っているのは久しぶりだ。

数日前の厳しい寒さとは違う、少し春の気配を感じさせる冬の朝の雨には柔らかい気配がある。

何か暖かい飲み物が飲みたくなり、先日買っておいたバンホーテンのココアを飲み少しほっとした気持ちになる。

音楽はクララ・ハスキルの弾くスカルラッティを。

そう言えばバンホーテンのココアのキャチフレーズ「ベルベットの優しさ」という言葉は、ハスキルの音色にもあてはまるようだ。

端正で柔らかく優しい音色に微かに哀しみの影が射すようなハスキルのピアノは、雨の降る冬の朝にふさわしい。
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by maru33340 | 2016-01-29 06:54 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(6)
2016年 01月 25日

アンジェラ・ヒューイットの暖もりのあるスカルラッティ

昨日今日の掛川は、最低気温が氷点下の寒さ。

室内にいても身体の奥底が冷える。

そんな日に、ヒンヤリした印象のあるスカルラッティの音楽を聴くのはどうかなと思いながら、アンジェラ・ヒューイットの新しいスカルラッティ・アルバムを聴き始めた。

しかし、ファッツオーリの艶やかで伸びやかな響に満たされたその演奏には、冷たさよりも暖もりがあり、心癒されるものがあった。

ヒューイットの音楽には常に肯定的な明るさがあり、(その故にずっと怖くて聴き通すことが出来なかったバッハの「フーガの技法」を初めて彼女の演奏で最後まで聴けた訳だけど)このスカルラッティでも隅々まで磨きあげられ制御された美しい音が嬉しい。

数あるアンジェラ・ヒューイットの名盤の歴史に新しい1枚が加わりました。
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by maru33340 | 2016-01-25 06:13 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(6)
2016年 01月 23日

見いだされた「永遠の時」タチアナ・ニコラーエワの「フーガの技法」のこと

タチアナ・ニコラーエワが70歳で亡くなる2年前に録音した最後のバッハは「フーガの技法」だった。

そのアルバムを以前から持っていたけれど、1度聴いただけで、何となく聴かないままになっていた。

最近色んな演奏で「フーガの技法」を聴き初めて「そういえば」と思いだし、軽い気持ちでニコラーエワの演奏を聴き初めた。

そしてこの演奏が、何とも奥深い深淵にまで行き着いた演奏だったことに、迂闊にも初めて気がついた。

このアルバムには「フーガの技法」の前に「音楽の捧げもの」と「4つのデュエット」が含まれ、最初の一音が鳴った途端に僕らは、漆黒の宇宙の果てなのか群青色の深海なのか定かではない、おそろしく孤独でありながら深い安らぎに満ちた空間に投げ出され、そこで幻想的な星々や海底に微かに射し込む光りの奏でる歌を聴くような音楽に包まれる。

ニコラーエワはその時が終わってしまうことを恐れるかのように、ゆっくりと一音一音を、大切な手紙を誰かに書き残すように弾いていく。

そしてついに未完のまま突然終わりをむかえるその音楽は、悲歌でありながら深い祈りと安らぎの音楽となり、「永遠の時」の秘密を垣間見せる…
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by maru33340 | 2016-01-23 06:58 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)
2016年 01月 21日

丸山健二の文章

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「日本経済新聞」に連載中の丸山健二のコラム「生きる命 十選」は毎回その硬質で息の長い文章に圧倒されながらも、はたしてこれは美術評論としてはいかがなものか、と当惑しながら読んでいる。

しかし、今日の熊谷守一「蒲公英(たんぽぽ)に母子草」について書かれた文章の後半には心打たれるものがあった。

「そしていつしか、時の力でうがたれた魂の空洞に怯え、おのれもまた消散してゆく存在のひとつにすぎないことを悟るのだが、しかし、ある日、ふと足もとに落とした目がありふれた草花を捉えた刹那、終日のらくらして過ごしながら老いの道行きに耐える余生が別に悲しいことではないとわかり、さらには、低劣で卑しい結末を迎えつつあるのでもないと理会され、結局のところ、単純で、地味なものにこそ、あらゆる疑問から救ってくれる答えが隠され、それに過ぎたるものはないことを知り、長寿と息災を素直に享受できる、悠然たる生き方に到達する。」

ここには、いつになく素直な丸山健二の述懐が披露されていると同時に、良質の熊谷守一評になっていて、少し安心するのだ。
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by maru33340 | 2016-01-21 07:05 | 未分類 | Trackback | Comments(4)
2016年 01月 13日

季節外れのクリスマス・オラトリオ

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ジョン・エリオット・ガーディナーの「マタイ受難曲」が聴きたくてBOXセットを入手。

このセットには「マタイ」の他に「ヨハネ受難曲」「ロ短調ミサ曲」「クリスマス・オラトリオ」が入っているので、いささか季節外れだけど展覧会展示替えの代休の午後「クリスマス・オラトリオ」を聴き始めた。

これは素晴らしい演奏。

冒頭のティンバニーのリズムから、キビキビと引き締まりとても心地良く、音楽の流れが快適で浮き浮きした気分になる。
(この演奏の、硬く張ったティンパニーの響きは僕の好み)

ソリストも一流(アンネ・ゾフィー・フォン・オッターも参加)で、合唱も実に上手い。

ガーディナーは若い頃はいかにも学者風の風貌だったけれど、良い年を重ねて味わいのある風貌になっているよう。

これから「マタイ」「ヨハネ」「ロ短調」を聴くのが楽しみになってきた。
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by maru33340 | 2016-01-13 14:20 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)
2016年 01月 06日

泣き、嘆き、憂い、怯え

体調優れぬまま昨日より仕事初め。

昨夜は風邪薬を飲みひどく眠くなり早く横になったけれど、夜半道に迷う夢にうなされ目覚めてしまい、気持ちを鎮めるためバッハのカンタータを聴く。

カール・リヒター指揮によるカンタータBWV12「泣き、嘆き、憂い、怯え」は、最初のシンフォニアから憂いに満ち、続くコラール(後に「ロ短調ミサ曲」に転用される)の神秘的な響きに心打たれる。

このコラールの哀しみと神々しいまでの美しさは例えようがなく、数あるバッハ音楽の中でも最も好きな曲のひとつになり、少し心癒される。

バッハのカンタータは数多くあるけれど、僕が聴いたことがある曲はほんの一部に過ぎず、今年は少しずつその山に登り初めようと決意する。
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by maru33340 | 2016-01-06 06:47 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(6)
2016年 01月 04日

森の奥にひっそりと佇む小さな教会で聴くようなフォーレ

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ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤルによるフォーレのレクイエムを聴く。

この演奏は1893年の室内楽稿によるもので、教会で演奏されることを前提にしたこともあり、もともと大言壮語しないフォーレのレクイエムがさらにひそやかな響きになっている。

ヘレヴェッヘもここでは、まるで小さな壊れやすい器を両手でそっと捧げ持つような繊細な手つきで、一音一音をゆっくり丁寧に演奏する。

ソプラノのバロック音楽歌手アニュス・メロンによるピエ・イエズスも清潔で透明な遠い天上の歌のよう。
少人数による合唱も実に美しい。

そのあまりの静けさに、最初は戸惑うけれど、繰り返し聴いていると、まるで自分が森の奥に佇む小さな教会の中で独りこのレクイエムを聴いているような至福の時間に包まれる…

ジャケットとブックレットがとても趣味が良いことも最後に書き添えておきたい。
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by maru33340 | 2016-01-04 09:59 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)
2016年 01月 02日

2016年の聴き初めは

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、昨年は秋以降バッハの音楽を聴き続け今年も引き続き聴くことになると思っている。

そんな日々の中で、バッハ・ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンの音楽があればもう充分かも知れないなあ、と感じながらウォークマンに入っている演奏リストを眺めていて、ジョージ・セル指揮によるシューマンの交響曲を見つけ、そういえば随分長い間シューマンを聴いていないことを思いだし、何気なく聴き始めた。

交響曲二番と四番の組み合わせで、二番は僕はシューマンの四曲の交響曲の中ではあまり聴かない方だったけれど、セルの指揮ではとても風通しの良い推進力に満ちた曲に聴こえて心地よく、続けて四番も聴いてしまった。

四番もまた、停滞することのない爽やかな風が吹きすぎるような名演で、最後は「ブラボー」と声を出したくなるほどの爽快感に満ちている。

セル自身が、シューマンの交響曲を少し編曲してそのオーケストレーションの厚みと重たさを軽減した結果、細部までくっきりと見晴らしが良くなっていることもあるけれど、何よりそのスピード感が気持ち良い。

2016年の聴き初めは、思いがけなくシューマンの交響曲でスタートしました。
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by maru33340 | 2016-01-02 07:03 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)