新・クラシック音楽と本さえあれば

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2016年 07月 29日

ひぐらしの鳴く朝に

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この季節、朝は4時を過ぎれば明るく窓外ではひぐらしの鳴き交わす声がする。

晩夏のイメージの強いひぐらしの鳴く声を聞くと、いつも「ああ、もう夏も終わってしまうのか」と思うけれど、関東地方はまだ梅雨も明けていないよう。

この未明、何気なくwebでニュースを見ていてピアニストの中村紘子さんが逝去されたことを知り、言葉を失った。

先日来、相次いで亡くなった永六輔さんや大橋巨泉さんもそうだったけれど(そしてそんなことはあるはずもないけれど)何となく「この人はずっと元気で活躍し続けるのでは」というイメージのある人の訃報はどこか心の深い所にこたえる。

武満徹の最後のギター曲「森のなかで」を聴きながらその死を悼む。
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by maru33340 | 2016-07-29 05:14 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2016年 07月 19日

瀬戸内海の青い海と空

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現在開催中の展覧会の展示を終えてすぐ、息つく間もなく昨日迄4泊5日で高松まで出張に出掛けた。

炎天下での展示作業と夜遅くまでの取材対応に終われ、泥のように疲れ果てた。

そんな日々の中ではさすがに本を読む気力もなく、WALKMANで林美智子の歌う武満徹の歌曲集を聴くことと往復の列車から瀬戸内海の海と空の穏やかな青さをぼんやり眺めることが数少ない癒しの時間となった。

今日は代休。
手負いの熊のようにひたすら引きこもり、明日からの日々を過ごすために鋭気を養います。
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by maru33340 | 2016-07-19 08:38 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2016年 07月 13日

夏の朝のフルート&ハープ

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連日大変な湿気で、今朝も温湿度計を見ると気温29℃、湿度84%の標示。

やむなくエアコンを「除湿」でかけてモーツァルトのフルート&ハープの協奏曲をかける。

演奏は、オトマール・スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン・ルカ教会で録音)、フルートはヨハネス・ワルター、ハープはユッタ・ツォフ。

独奏・オケ共にけれんみ無く、少しいぶし銀の色合いの演奏は、落ち着いていて繰り返し聴いても全く飽きがこない。

2楽章のアンダンティーノは夢のように儚く美しく至福の時間を与えてくれる。

1961年録音だけれど、音もとても良い。

うっとおしい季節を一時忘れさせてくれる、まさにこれこそモーツァルト、という演奏は生涯の宝になりそうです。
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by maru33340 | 2016-07-13 05:56 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)
2016年 07月 11日

モーツァルト、旋律の悦び

ピアニストの青柳いづみこさんのブログを読んでいて、彼女がアンリエット・ピュイグ=ロジェ先生のインタビュー記事(『ムジカノーヴァ』1986年6月号)について書いた文章の中に印章深い言葉を見つけた。

ロジェ先生は、パリ音楽院でピアノ、作曲、伴奏、オルガンと即興など各部門を一等賞で卒業し、1933年には栄えあるローマ賞を受賞。
惜しくも1992年に亡くなられたが、日本の音楽・教育界に与えた影響ははかりしれない人とのこと。

先生は「日本の小さい子供たちが弾くモーツァルトを、どんな風にお感じになりますか?」という青柳さんの質問に、次のように答えている。

「日本にオペラ座がないのが、とても残念です。モーツァルトのピアノ曲は、まず何よりも彼のオペラのイメージなのです。子供には、ソナタや協奏曲のレコードより、オペラを沢山聴かせたいですね。ソプラノのヴォカリーズ、女声と男声の重唱、オーケストラ、そしてダンス・・・。モーツァルトは、勿論立派なフーガだって書けたのですが、彼はそれよりも、旋律を豊かに装飾する方がずっと好きでした。モーツァルトを弾く上で一番むずかしいのは、音の粒をそろえることではなく、フレージングの曲線をうまく表現することなのですよ」

なるほど。

ここ数日(あまりに残念な政治的現実から逃避するように)モーツァルトの音楽ばかり聴いていて、彼の音楽のもたらす喜悦の感覚や浮遊感に改めて心奪われていたから、先生の発言がストンと胸に落ちた。

モーツァルトの音楽にある旋律の優美な曲線が、理屈抜きに僕の心を晴れ渡った空に遊ばせてくれ、そのことが一抹の哀しみと共に微かな生きる悦びを与えてくれていたのかも知れない。

まだしばらくはモーツァルトを聴く日々が続きそうだ。
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by maru33340 | 2016-07-11 07:15 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)
2016年 07月 07日

夏の朝の清潔な音楽

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数あるグレン・グールドのアルバムの中で、バッハ以外の作曲家のアルバムで好きなものは、一つはブラームスの間奏曲などによるアルバム。

瞑想的で、心の中の深い淵を一人降りていくようなその音楽は、まさに夜の音楽で、昔から心沈む夜などに折に触れて聴いてきた。

もう一つは、イギリスルネサンス時代の作曲家のバードとギボンズの作品によるアルバム。

グールド自身このアルバムを気に入っていたようで自身の「一番素晴らしいアルバム」にこれを挙げている。

古紙に印刷されたようなジャケットも鄙びていて味わいがある。

典雅で気品に溢れメランコリックでやはり瞑想的な趣を持つこのアルバムは、一方で華やかな側面を持っていて、夏の朝、ようやく陽が昇り始めて、空がうっすらと明るみ初める時間に聴くのにふさわしいようだ。

浮き世は、憂き世。

暴力と喧騒に満ちた昼間の時間は煩わしく、人気のない夜中から明け方にかけての無垢な時間にバードとギボンズの清潔な音楽を聴くことは微かな心の慰めとなる。
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by maru33340 | 2016-07-07 05:00 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)