新・クラシック音楽と本さえあれば

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2017年 09月 28日

シュナーベルのベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集

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先日読んだロシアのピアニスト、イリーナ・メジューエワの本の中では、取り上げた名曲それぞれについて彼女のお薦めの演奏があげられていてとても興味深い。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ14番「月光」については往年の名ピアニスト、アルトゥール・シュナーベルの演奏が取り上げられこんな風に語られる。

「ロシア人にとってベートーヴェンのソナタといえば、まずシュナーベルです。もっとも古典的です。真の意味でのヴィルティオーゾで、すべての声部のバランス、ポリフォニー、ハーモニーの見せ方が素晴らしい。シンプルで見事です。本当の技術とはこういうものだと思います」

ここまで言われるとどうしても聴きたくなり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集として1930年代に世界で最初に発表されたシュナーベルによる演奏をAmazonで頼んでしまった。

これから衿を正して少しずつ聴いていきます。
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by maru33340 | 2017-09-28 07:12 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 24日

名教師としてのイリーナ・メジューエワ

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ロシアに生まれ、今は日本に住むピアニストのイリーナ・メジューエワによるこの新刊には驚いた。

現役ピアニストがそのレパートリーとしている名曲について演奏者の立場から丁寧に語る本はありそうでなかなかなかったように思う。

バッハの「ゴルトベルク変奏曲」、シューベルトのピアノ・ソナタ21番、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32番等についての彼女の説明は楽譜を交えて詳しく分かりやすく、その曲の構造や演奏上の難しさまで教えてくれるから、聴きなれた曲も改めて聴き直したくなる。

シューベルトのピアノ・ソナタ21番について彼女はこんな風に語る。

「(この曲は)時間がとまっているような感じがあったり、ダイナミクスの上でも、ピアノ、ピアニッシモなど弱音が多く使われていて、どこか超越的な雰囲気を持っている。でも、その裏には強い論理がある。超越的な内容を論理的にやっているのは面白いですね」

彼女の説明でこの曲の構造を知って改めて聴き直してみると、今までただ美しくて怖くてでも少し長いかなと思っていたこの曲が、論理的に構成された(ベートーヴェンの後期のピアノ・ソナタに匹敵するような)壮大な名曲であることがとても良くわかるのだ。
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by maru33340 | 2017-09-24 05:56 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 21日

漂泊に誘う秋の雲

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朝起きてベランダに出れば空気が肌寒い。

空高く広がる秋の雲を眺めていると『奥の細道』冒頭の

「いずれの年よりか 片雲の風にさそはれて 漂泊の思ひやまず」

という言葉を思い出し、行き先も定めぬ旅に一人出たくなってくる。

此道や 行人なしに 秋の暮 芭蕉
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by maru33340 | 2017-09-21 07:23 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2017年 09月 20日

武満徹の「小さな空」

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台風一過の昨日の夕方。

青空に浮かぶ羊のような雲をぼんやり眺めていたら、ふいに武満徹の「小さな空」という歌を思い出した。

「青空見たら 綿のような雲が 悲しみを乗せて 飛んでいった」

という武満自身の歌詞によるこの曲を聴いていると、いつも懐かしさで胸が一杯になり泣きそうな気持ちになってしまう。

僕が初めてこの曲を知った波多野睦美さんの歌声は聴くものを優しく包み込んでくれるよう。

https://youtu.be/lIjTiVHEO1g

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by maru33340 | 2017-09-20 06:03 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 18日

ごめんね、エミール

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夜半、台風が来た。

激しい暴風雨が僕のいるマンション角部屋をガタガタと揺らす音で目覚め、何か台風に負けない音楽を聴きたくなり、久しぶりにエミール・ギレリスの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴き始めた。

エミール・ギレリスのベートーヴェンは、真っ直ぐで、おおらかで、小賢しい計算などない、深々とした情感に溢れた大きな大きなベートーヴェンで、本当に信頼できる大人の音楽だと改めて痛感。
(一国の指導者もまたかくありたいなどと余計な事も思ったりして…)

今まで持っていながら何となくギレリスのベートーヴェン集を聴いていなかったのは、ギレリスはバリバリ弾くピアニストというイメージに支配されていたから。

確かにそのタッチは力強く明晰だけど、決して力だけでグイグイ押しまくるというタイプの演奏ではなく、響きは濁りなく美しく、知的で繊細さもある。

長くギレリスというピアニストを誤解していました。

ごめんね、エミール。
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by maru33340 | 2017-09-18 05:38 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 15日

君たちはどう生きるか?

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そんなに真っ直ぐな瞳で「君たちはどう生きるか?」と問いかけられてもこちらは戸惑うばかりの生き方しかしていない大人になってしまったけれど、そんな僕の心をも貫く力がこの本にはあり、出張帰りの新幹線の中で一気に読了してしまった。

吉野源三郎の歴史的名著を80年の時を経て初めてマンガにしたこの本は、今を生きる僕らにも響く真っ正直な生き方を問いかけて止まない。

例えばこんな文章に僕はとても共感してしまう。

「君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマかしてはいけない。そうして、どういう場合に、どういう事について、どんな感じを受けたか、それをよく考えてみるのだ。
そうすると、ある時、ある場所で、君がある感動を受けたという、くりかえすことのないただ一度の経験の中に、その時だけにとどまらない意味のあることがわかってくる。それが、本当の君の思想というものだ。」
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by maru33340 | 2017-09-15 07:20 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 14日

エリック・サティという人

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サティの音楽を聴きながら、途中まで読みかけだった『祝宴の時代 ベル・エポックと「アヴァンギャルド」の誕生』という本の中でサティについて詳しく書かれていたことを思い出し、今朝少し読み始めた。

風変わりでつかみ所のない彼の人物像は、その音楽ととても良く似ている。

親友ドビュッシーの成功を見つめ、愛弟子ラヴェルの独り立ちを助けながら、自身も作品を生み出すけれど、その突拍子のなさばかりが目立ちせっかくの革新性も見逃されがち。
32歳で突然引退してから、12年後に再び先駆者として表舞台にひっばり出されるも今度は全く新しいスタイルの曲を書いて世間を狼狽させる…

エリック・サティ、知れば知るほど興味深い不思議な人物をもう少し追いかけたくなりました。

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by maru33340 | 2017-09-14 06:19 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 09月 13日

空白の音楽

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この所シューベルトの音楽を聴き続けていたら、自分が深海の中をさ迷い歩いているような気持ちになり、夏バテもあって夜中に怖い夢を見て目覚めることが続いた。

少し水の上に出て深呼吸しなくちゃと思い、ふと思い立ち高橋悠治の弾くエリック・サティのアルバム(1976年)を入手し聴き始めた。

サティのアルバムは今まで何故か一枚も持っていなかった。

彼の音楽には感傷や激しい感情は無く、聴いていると砂時計からサラサラと白い砂粒が落ちるのを眺めている時のようにぽっかりと空白の時間が過ぎ去る。

今はこんな音楽を聴きながら頭を空っぽにする時間が必要なのかも知れない。
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by maru33340 | 2017-09-13 06:34 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2017年 09月 10日

シューベルトの繊細な魂の旋律のために

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シューベルトの「幻想曲 へ短調 D.940」が隠れた名曲であると聞いてはいたけれど、四手のためのピアノ曲でアルバムの数も少なく(シューベルトは最近ようやくおそるおそる聴き出したばかりだから)まだ聴いたことがなかった。

先日神保町のCDショップを訪ね、ピリス(今はピレシュと表記するそう)&カストロによるこの曲の入ったアルバムを見つけ昨夜から聴き始めあまりの素晴らしさに驚いた。

冒頭の旋律はまるで繊細な魂が無防備なままそっと差し出されるように聴くものの心を震わせる。
それは哀しみより遥かな深い感情を呼び覚ますから涙は追いつかない。
そして同じ旋律が転調される時には、つかまれた心ごと異界に連れ去られてしまうようだ。

少し調べてみると音楽評論家の吉田秀和さん(僕はこの人の事を勝手に師匠だと思っていたけど)がかつてこの曲についてこんな風に書いていたことを知った。
「この曲をまだきいたことのない人は仕合わせだ。その人にはまだ1曲、至福の想いを与える音楽にはじめて出会う幸福が待っているのだから」(「シューベルトのピアノ・ソナタ」より)

はい先生、僕はようやくこの曲に出会い、至福の時を与えてもらいました。
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by maru33340 | 2017-09-10 06:54 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 09月 09日

芸術は呪術だ!

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昨日は銀座で会議。

資生堂ギャラリーに立ち寄り、現在開催中の展覧会「かみ展」を見る。

岡本太郎の「芸術は呪術だ!」という言葉通り、芸術の原点は祈りと鎮魂の姿にあると改めて実感できる展覧会でした。
(展示は10月22日まで)
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by maru33340 | 2017-09-09 09:59 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)