新・クラシック音楽と本さえあれば

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2018年 01月 21日

「そしてメロス」

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「日経新聞」(日曜版)のコラム「名作コンシェルジュ」には時々鈴木淳史氏によるクラシック音楽のレビューが掲載される。
これが毎回魅力的な演奏を取り上げていて、その度に聴きたくなりついついAmazonで頼んでしまうから、嬉しいやら困るやら…

先週日曜日にはメロス弦楽四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲全集が紹介されていて、その演奏を評して「豊かな響きによる知的な四人の会話」「そのアンサンブルからは、彼らの手にしている楽器の「木」そのものの響きがする」と書かれているから、ついまた頼んでしまい昨夜到着し早速ベートーヴェン後期の傑作の14番と15番を聴いた。

これは本当に素晴らしく、どこにも余分な力が入らず豊かでしなやかな歌に溢れ、まさに高貴で余裕に満ちた四人の大人の会話のような演奏。

それはまるで丁寧に水を吸わせて焚き上げてふっくらと艶めいている白いご飯のような滋味に溢れ、聴いているだけで心の栄養になるよう。

ゆったりとした呼吸や時折他の演奏者に目配せをしているような間合いがまた味わい深く、辛いことや悲しいことがあってもこの演奏を聴けば「よし、もう一度」と自然に思えるような気がする。

この気品ある演奏を聴きながら「これはまるで桂米朝の落語を聞いているような心地よさだなあ」とふと思った。

落語「愛宕山」の僕が大好きなこんな一筋。

「野辺へかかってまいりますと、何しろ春先でございます。
空にはヒバリがさえずっていようか、野には陽炎が燃えていようか。
遠山に霞がたなびいて蓮華 タンポポの花盛り。
麦が青々と伸びた中を菜種の花が彩っていようという本陽気。
その中をやかましくやって来る、その道中の陽気なこと」

メロス弦楽四重奏団によるベートーヴェンの演奏を聴いていると、音楽を聴くこと、落語を聴くこと、良い本を読むこと、良い映画や美術品を観ることはすなわち生きることそのものだと、それがあれば生きていけると、つくづく思えます。
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by maru33340 | 2018-01-21 07:00 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2018年 01月 20日

ベートーヴェンのニュースタンダード

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大相撲とトランプのニュースからは少し離れてベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴く。

ドイツのアルテミス弦楽四重奏団の演奏は切れ味鋭くモダンでありながら力みとは無縁で、繊細な美しさに溢れている。

彼らの演奏で聴くと、聴き慣れた旋律もまるで洗い立てのシャツのように清潔で爽やかだ。

現代のベートーヴェン弦楽四重奏曲の演奏でのひとつのスタンダードになりうる名演かも知れない。

時々再燃する弦楽四重奏曲のマイブームが来たようです。
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by maru33340 | 2018-01-20 09:46 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 19日

北からの声、再び

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最近、絵画や音楽で北欧関連の良い出会いが続く。

その流れを受けて、先日読んだ『ストーリーのある50の名作椅子案内』がとても良かったので、同じ萩原健太郎さんの北欧デザインについての本2冊を入手。

パラパラ眺めていると「いつか飛行機嫌いを克服して北欧旅行に出かけたい」と思う。

休日に珈琲を飲みながらゆっくり読みたい本です。
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by maru33340 | 2018-01-19 07:25 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 17日

冬の雨の朝に聴くブラームス

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今朝は雨。

灰色の空には重たい雲が漂い、2年間過ごした北陸の冬を思い出しながらブラームスのヴァイオリン・ソナタ1番「雨の歌」を聴く。

ギドン・クレーメルとヴァレリー・アフェナシェフによる演奏は極端に遅いテンポで、ブラームスの音楽は解体寸前。
それでも時折暗い空から射し込む一条の光のように美しい旋律が聴こえてくる。

孤高のブラームスという趣が今朝の気分にはふさわしい。
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by maru33340 | 2018-01-17 07:26 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2018年 01月 16日

冬来たりなば

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季節は間もなく大寒になるけれど、昨日今日は少し寒さも緩み陽射しも柔らかい。

少し前までは夕方5時頃になれば真っ暗だったけれど、最近は少し日も伸びてきたようで夜の闇にまだうっすらと明るさが残る。

「冬来たりなば春遠からじ」。

寒さの中に少しずつ春の気配が漂い始めるこの季節が年々楽しみになってきています。
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by maru33340 | 2018-01-16 08:14 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2018年 01月 14日

椅子の本

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椅子が好き、だ。

とはいえ、あまり詳しくはないので気軽に読める椅子のデザインや歴史の入門書が欲しいなあと思っていた所、昨日出張の際に立ち寄った銀座の本屋でこの本を見つけた。

50人のデザイナーによる50の椅子を選び、制作年代順に椅子の解説と共にデザイナーやその椅子が生まれた時代背景が簡潔に紹介されていてとても読みやすく楽しい。
(少し小ぶりで軽い造本も良いです)

こういうカジュアルなスタイルで絵画や写真・広告表現について書かれた入門書があればアートやデザインはもっと僕らの生活の近くに来るかも知れないなあ、などと思います。
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by maru33340 | 2018-01-14 07:21 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 13日

ぼくもいくさに征くのだけれど

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詩人、竹内浩三は三重県宇治山田市の生まれ。
彼の通った宇治山田中学の先輩に小津安二郎がいた。
1940年日大専門部映画科に入学し、伊丹万作に私淑し詩と絵の創作をはじめるが、1944年フィリピンの戦場へ送られ1945年4月9日戦死する。

彼の残した詩「ぼくもいくさに征くのだけれど」はこんな詩だ。


ぼくもいくさに征くのだけれど


街はいくさがたりであふれ
どこへいっても征くはなし 勝ったはなし
三ヶ月もたてばぼくも征くのだけれど
だけど こうしてぼんやりしている

ぼくがいくさに征ったなら
一体ぼくはなにするだろう てがらたてるかな

だれもかれもおとこならみんな征く
ぼくも征くのだけれど 征くのだけれど

なんにもできず
蝶をとったり 子供とあそんだり
うっかりしていて戦死するかしら

そんなまぬけなぼくなので
どうか人なみにいくさができますよう
成田山に願かけた


この詩の中の「けれど」には今読むと万感の想いが秘められているようで、胸が痛むような気がする。

映画『生まれてはみたけれど』を撮り、自らも戦場に送られた経験を持つ小津安二郎は、中学の後輩のこの詩の「けれど」をどのような想いで読んだろう。
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by maru33340 | 2018-01-13 16:22 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 11日

静かで豊かなバッハのように

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風邪で身体が怠く昨日は仕事を休む。
今日は午前中だけ仕事に出て午後は帰宅し半日眠る。

夕方起きて豆腐と葱の味噌汁を作りシュウマイを温めて食べようやく体調が回復してきた。

少し本を読みながら、マレイ・ペライヤの弾くバッハのパルティータを聴いていると次第にざわざわした心が静まってくるよう。

ゆったりしたテンポで豊かで暖かい音色のバッハは、まさに静かな大人のバッハ。

我もまたこの音楽のように静かで豊かな人として生きたし、とふと思う。
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by maru33340 | 2018-01-11 21:16 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 11日

北からの呼び声だろうか

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昨日は風邪をひいてしまったのでお休みをもらい終日横になり、本棚から何年か前に買ったまま積ん読になっていた小説『恋と夏』を取り出し眺める。

表紙の絵に見覚えがあるなあとぼんやりした頭で思っていたら、会社でもらってきて今年居間に貼ったばかりのカレンダーの絵と同じものだった…

この絵の作者であるデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864年–1916年) は決してメジャーな画家ではなく、その偶然に驚く。

遠くデンマークの方から呼ばれているのかなあ…
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by maru33340 | 2018-01-11 07:13 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2018年 01月 09日

冷たい雨降る月曜の朝 西脇順三郎の詩を思い出す

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冷たい雨降る月曜日の朝。
雨に濡れた屋根瓦を眺めながら、ふと西脇順三郎の詩を思い出す。



風は柔らかい女神をもたらした
青銅をぬらした 噴水をぬらした
燕の羽と黄金の毛をぬらした
潮を濡らし 砂をぬらし 魚をぬらした
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした
この静かな柔らかい女神の行列が
私の舌をぬらした

rain

The south wind has brought soft godnesses.
They have wet the bronze, wet the fountain.
Wet the swallow's wings, wet the golden feathers
wet the tidewater , wet the sand, wet the fishes.
Gently, wet the temples, baths and theaters 
The procession of gentle, soft godnesses
Has wet my tongue.
(ドナルド・キーン訳)
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by maru33340 | 2018-01-09 20:01 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)