新・クラシック音楽と本さえあれば

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2017年 08月 15日

8月15日に「ヨハネ受難曲」を聴く

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今日は8月15日。
毎年この日が近づいて来ると心の底に静かな哀しみが降り積もり、微かに光射す深い洞窟の底にいて沈黙の中に膝を抱えてうずくまっているような心持ちになる。

失われた一つ一つの命が一粒の麦となって今の僕たちの世界を支えてくれている…と信じてバッハの「ヨハネ受難曲」を聴く。

https://www.youtube.com/watch?v=h3pRYk8tE_I&sns=em
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# by maru33340 | 2017-08-15 06:37 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 08月 10日

法事にて

昨夕、父の法事で母の住む高槻の実家に戻った。

昨日の午前中少し重い物を持ち腰を痛めてしまったので、今朝お坊さんが来るまでお盆の準備をしてある仏壇のある部屋で座布団をひき横になっていたら法事の始まるお昼前に腰の痛みがスッとひいた。
母にそう話したら「それはおとうさんが治してくれたのよ」と当たり前のように言う。
「そんな非科学的な…」とは思ったけれど「そうかもね」と答えてお参りを終え一緒に昼食を食べて帰宅する前に本屋に寄り、出たばかりの河合隼雄さんのエッセイ『こころと物語のゆくえ』を買って新幹線で読んでいたらこんな言葉に出会った。
「人間の肉体は消え去るが、その人の存在そのものがなくなることはない」。

そう言えば父は生前、あまり身体が強くない僕の事を気にしていて、初めて富山に単身赴任した時には週に一回は手紙をくれて末尾に「風邪をひかないように」「ちゃんと栄養をとるように」と必ず書き添えてくれていた。

もしかすると今日僕の腰を治してくれたのはほんとうに父だったのかも知れないなあ。
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# by maru33340 | 2017-08-10 19:17 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 09日

読むことの幸福の方へ

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昨夜、辻邦生と水村美笛による往復書簡『手紙、栞を添えて』を読了する。

かつて1996年から97年にかけて「朝日新聞」の紙上に掲載され1998年に本になったもの。
その頃新聞で何度かその記事を読んだ記憶がある。
辻邦生はこの本が刊行された翌年の1999年の夏急逝した事を僕らは知っているから、その最後の手紙からまるで辻邦生は自分の残りわずかな命を知っていたのではないかとふと思ってしまう。

この本には読書を巡るさまざまな話題が平易な言葉で語られ興味が尽きない。
読みながら、トーマス・マンの小説を再読したくなったり幸田文の随筆を読みたくなったりいろんな刺激を受けた。

この本は一言で言うなら「読むことの幸福」について語られた本で、それは辻邦生の次のような言葉に言い尽くされている。

「日本の風土に欠けていたのは何なのでしょうか?一言で言えば「幸福」の概念―無償の喜びの感覚でしょう。あるいは「生きる」という単純なことに向き合う無垢な姿勢といっていいかも知れません。幸福とは過ぎ去るものであり、幸福であるためには、たえず幸福であるように生きなければなりません。所有物がなくなるという意味で幸福は過ぎ去るのではなく、幸福とはもともと生きることによって私たちが作ってゆくものなのです。生きることを喜ぶ気持ちがなければ幸福も何もありません」

この言葉は辻邦生が生涯書き続けた小説に流れ続ける通奏低音のような大切なテーマで、読んでいると生きていくことに少し光のようなものを感じられるのだ。

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# by maru33340 | 2017-08-09 05:13 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 08月 08日

グレン・グールドのハイドン

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時折ふとハイドンの音楽が聴きたくなる。
彼の音楽にはどこかユーモアがあり聴いていてリラックス出来るから疲れ気味の時などには特に。
休日出勤の代休の今朝はグレン・グールドのハイドン後期ピアノソナタ集を聴き始めた。

このアルバムはグールド生前に発売された最後のアルバム。
グールドはその早い晩年に「ここ最近、わたしは深夜自分のためだけに弾いたピアノ曲はハイドンだけでした」と語っていたほどハイドンに惹かれていたよう。
このアルバムからは、無心で積み木を積み上げている子どもの背中を眺めている時のような微笑ましさと孤独を同時に感じて、聴いていると「今」という時間のかけがえなさにふいに胸をつかれ少し泣きそうな気分になるのだ。
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# by maru33340 | 2017-08-08 07:27 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 07日

立秋の朝のブラームス

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今日は立秋。

最近朝早く控えめに鳴き始めていたひぐらしの鳴き声が、ようやく自分たちの季節が来たと知っているかのように今日は一段と大きく窓外のあちこちから折り重なるように聴こえる。
アブラゼミも負けじと鳴き始めるけれど気のせいか少しその声にも力がないよう。
ベランダに出れば遠い台風の影響か肌寒いほどの風が強く吹いている。

立秋にふさわしい音楽をと久しぶりにグレン・グールドの弾くブラームスの「間奏曲集」を聴き始める。
ここでのグールドは人に聞かせるというよりまるで瞑想するかのように自己の世界に深く耽溺していく。
その音楽はひぐらしの哀切な鳴き声と響き会うようだ。

日中はまだまだ酷暑が続くけれどもう秋はすぐ隣まで来ているのだ。
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# by maru33340 | 2017-08-07 05:15 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 08月 06日

ストレス解消のために

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この所仕事で長距離の移動が続いたり、人間関係のもつれがあったりで(夏バテも重なり)へたり気味。

そこでストレス解消法のあれこれを考えてみました。

◎自然に触れ世界の大きさに目を向けて人間界の小ささを知る
(雲を眺めるのは簡単に出来る方法で良し)

◎バッハの「平均率」を聴き心を整える
(ラヴェルの管弦楽曲を大音量で聴くのも良し)

◎美味しいものを食べる
(鰻や肉は即効性ありそう。ただし胃腸が弱っている時は雑炊など暖かく優しい食べ物を)

◎涼しい部屋で昼寝をする

◎明るいうちから湯船にお湯を張りゆっくり風呂に入る

◎良いドラマや映画を観て涙を流す

今日はこれ1日で全部やって少しずつ気分が晴れてきました。

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# by maru33340 | 2017-08-06 06:21 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 04日

ひぐらしの鳴く声を聴きながら

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今朝も5時前ひぐらしの鳴く声で目が覚める。
風は少し肌寒いほど。
窓外の朝日はまるで夕陽のように燃えている。

横になったまま文庫になったばかりの沢木耕太郎の『波の音が消えるまで』を読み始める。
サーフィンとバカラを巡る青春物語でいずれも僕には遠い世界だけれど、同じ著者の『春に散る』で今まで無縁だったボクシング(を見ること)の面白さに目覚めたように、その巧みな語り口に導かれ物語の世界に引き込まれていくよう。
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# by maru33340 | 2017-08-04 05:44 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)
2017年 08月 02日

音と記憶の物語

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出張先の琴平のホテルで吉田篤弘さんの小説『遠くの街に 犬の吠える』を読了。

音を巡る清冽な物語はこの著者らしい詩情に満ちていて、読んでいてとても清々しい気持ちになる。
小さくてはかないもの、微かな記憶、耳には聴こえない音たちをそっと掬いとるような繊細な文章が静かに心に沁みる。

この作者の小説では『つむじ風食堂の夜』が一番好きだけれど、その系譜に繋がる寓話的な世界と少し浮世離れした登場人物たちが愛おしい。
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# by maru33340 | 2017-08-02 05:53 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 07月 31日

永遠の光を探しに

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今日は東京出張。
会議は午後からなので朝一番で先日行きそびれた学習院大学史料館で開催中の展示「永遠の光(アルカディア) -辻邦生『夏の砦』を書いた頃-」を見に目白に向かう。

初めて訪れる史料館は、大学のキャンパスの片隅にひっそりと樹々の中に埋もれ時間から取り残されたような風情で佇んでいた。
(少し学園祭のサークル発表のような)展示は素朴な味わいが好ましく、辻の手書きの原稿や書簡が小さなスペースに所狭しと並ぶ。

一昨日が命日だった辻邦生は「私は四季それぞれが好きだが、特に好きなのは夏で、青空に盛り上がる眩しい積乱雲、海から吹く風、打ち寄せる白波、森の中の読書、青い山脈の連なりなどを思い描くだけで胸が踊る」と書いている程夏という季節を愛した作家だった。

この展示を、彼が愛した季節に、彼が教鞭を取っていた場所で見るのはどこか胸の奥がざわめくような思いがした。
(配布されているパンフレットが無料でもらえるものとしては驚く程丁寧で行き届いた素晴らしいものだったことを書き添えておきます)
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# by maru33340 | 2017-07-31 18:54 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 07月 30日

秋きぬと…

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午前五時、ひぐらしの鳴く声で目が覚める。
その声も止み、間もなくミンミン蝉が鳴き始める時間だけれど、ほんの少しの間あたりが静寂に支配される時間がある。

一瞬「永遠」という言葉が浮かぶ。
やがて鳥の鳴き交わす小さな声で静寂は破られハッと意識が現実に戻される。

間もなく八月。
立秋を過ぎれば季節はもう秋。
ひぐらしの鳴き声は、まだまだ日中は厳しい暑さが続くけれど、そのさなかにも秋を迎える準備が進められていることに気づかせてくれる。

この季節にはフォーレの歌曲(エリー・アメリンクとジェラルド・スゼーによるもの)がふさわしいよう。

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# by maru33340 | 2017-07-30 05:22 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)