新・クラシック音楽と本さえあれば

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2017年 06月 18日

ジョン・エリオットの「マタイ」

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今日は終日どんよりとした曇り空。
時折雨も降り肌寒くなんとなく気持ちも重く家に引きこもる。

午前中洗濯と掃除を終えてふと「マタイ受難曲」が聴きたくなり、あまり聴いていなかったジョン・エリオット・ガーディナーによる演奏(1989年録音)を聴き始める。

昔まだリヒターによる「マタイ」に心酔していた頃にこの古楽器による「マタイ」を聴いて、何だかサクサク進むサッパリした演奏だなあと思い、以来ほとんど聴かなかったけれど、今日改めて全曲を聴き「なんと清潔な「マタイ」だろう!」と、今更ながらこの演奏の美しさに心うたれた。

ガーディナーはその学者風の風貌もあり「優等生的」と評されることも多いけれど、その端正な佇まいとピアニシモの美しさは比類のないもの。

これから何度も聴きかえす演奏になりそうです。
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# by maru33340 | 2017-06-18 17:57 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 12日

何年に一度の傑作、映画『怪物はささやく』のこと

先日観た映画『怪物はささやく』の事をどのように書けば良いだろう。

ジャンルとすれば一人の少年を主人公にした怪物との魂の交流を描いたダークファンタジーという事になるのだろうけれど、映画を観終わってまるで自分自身の魂の奥底を巡る長い長い旅を終えたような深々とした充実感に満たされる経験は稀有なもので、ファンタジーという言葉を遥かに超えた世界に触れたような気がする。

何年に一度の傑作ではないだろうか。

一度観ただけではこの映画の全てを経験しきれていないので、再び映画館に足を運びその美しい冒頭からもう一度見直したいと思います。
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# by maru33340 | 2017-06-12 07:02 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2017年 06月 11日

上原彩子のリストに驚愕したこと

昨日上原彩子のピアノ・リサイタルを聴きに行く。
プログラムはモーツァルトの2曲の幻想曲とピアノ・ソナタ14番とシューマンの幻想曲、最後はリストの《巡礼の年》から「ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲―」という「幻想曲」をテーマにした独特のもの。
赤いドレスを着た上原彩子はいつものように少し顎を上げてちょっと気だるそうに登場(何となく往年の美空ひばりに雰囲気が似ている)し椅子に座ると直ぐに演奏を始める。
座席は前から3番目の左側だから演奏者の手元がはっきり見える。
深々と響く中低音、濁りの無い高音、ピアニシモからフォルテシモまでメリハリのある強靭なタッチに、彼女がやはり他のピアニストから一段上の境地に居ることを実感するも前半は「少し抑え気味かなあ」と感じていた。
ところが最後のリストになり演奏は一変した。
音は鋭く(ダンテを読んだからか、まるで悪魔と契約を結んだかのように)デモーニッシュで圧倒的な迫力(強い打弦の箇所は椅子から立ち上がったりして)のある演奏に、聴いていて椅子から転げ落ちそうになる。
会場の拍手に応えてアンコールの曲目「リストの《愛の歌》」と告げる声は何とも可愛らしい声で、演奏とのギャップが楽しい。
アンコールの2曲目はチャイコフスキーの《花のワルツ》。聴きなれたこの曲も上原彩子の手になると、まるでオーケストラの演奏のように華麗で色彩豊かな音楽に聴こえる。
大満足の演奏会でした。
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# by maru33340 | 2017-06-11 09:04 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 09日

チェット・ベイカーに出会った夜

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ジャズの名盤として名高いチェット・ベイカー(トランペッター・ヴォーカリスト)のアルバム「CHET BAKER SINGS」の良さがなかなかわからなかった。
(何だか頼りない位に)力が抜けた声で音程もふらふらしていてとらえどころのない音楽だなあ…とずっと思っていた。
ところが今日夕飯を終えて洗い物をしながらこのアルバムを流しっぱなしにして小さな音で聴くともなしに聴いていたら、妙に良い気持ちになり、気がつけばその少しふらふらした音楽の虜になっていた。
そして「ああこれはジャズというよりヴォサノヴァなのだ」と気がついた。
こんな形での音楽との出会い方もあるんだなあ(^^;
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# by maru33340 | 2017-06-09 12:43 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)
2017年 06月 07日

生かされていることへの感謝の歌

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早朝、鳥のさえずりに目が覚めベランダから空を見上げる。
様々な色彩の雲が織り成す模様を眺めながらふいに(しばらく聴いていなかった)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴きたくなる。
曲は第15番の第三楽章、冒頭にベートーヴェン自身によって「病から回復した者の神に対する聖なる感謝の歌」と記された楽章。
当事ベートーヴェンは体調を崩し、寝込んでしまい、作曲活動も日常生活も出来なくなるような状態がしばらく続いており、この曲も一時中断していたけれど、転地療養などの結果、気力・体力を回復しこの曲も完成した。
この楽章は、そうした彼自身の病からの回復への感謝と共に、生きること・この世に生かされている人間という存在への感謝の思いを感じる程に、まるで天上から降り注ぐ光のように美しい。
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# by maru33340 | 2017-06-07 05:32 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(6)
2017年 06月 04日

晴れた日曜の朝に

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良く晴れた静かな日曜日の朝、久しぶりに空を見上げる。
蒼い空に刷毛でさっと描いたような白い雲が浮かび、朝の空気を胸一杯に吸い込んでみたくなる。
ようやく体調もほぼ回復したよう。

季節は少し違うけれど上田敏の訳詩集『海潮音』の中のこんな詩を思い出す。

「春の朝」
(ブラウニング)

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露満ちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這い、
神、そらに知らしめす。
すべて世は事も無し。
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# by maru33340 | 2017-06-04 09:17 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)
2017年 06月 03日

静かな夜の音楽の続き

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HMVの「心を静める音楽」という企画から生まれた『Quiet Corner』という本にはjazzを中心な様々なジャンルの中から静かで心を穏やかな気持ちにさせてくれるアルバムが数多く紹介されていて、読んでいると聴いてみたいアルバムが次々に現れてくる。
その中でも最も気になったカナダの歌手ダイアナ・バントンの『ムーンライト・セレナーデから~月と星のうた』というアルバムをAmazonで取り寄せて聴き始めた。
これは今の僕の気分にぴったりの音楽だった。
ささやくように静かな少しだけ甘い歌声で、タイトルに月や星を含むロマンティックなスタンダード・ナンバーをピアノ、ベース、ギターによる上質のアレンジで聴かせてくれる。
静かな夜に部屋で小さな音でこの音楽を聴いているとなんとも甘やかな幸福感に包まれます。
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# by maru33340 | 2017-06-03 09:09 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)
2017年 06月 02日

小さな音で静かな音楽を聴くこと

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先月末から酷い風邪をひき38度超の熱が1週間以上続き、激しい咳き込みも数日残り、昨日から仕事に復帰するもやはり10日間床についていたので体力が落ちておりふらついてきてしまい、半日仕事をした後午後休をもらい自宅に戻り横になる。

うつらうつらしながらアコーディオン演奏によるバッハの平均律を収めたアルバムを小さな小さな音で聴く。
最近はあまり大きな音を聴くと直ぐに疲れてしまうので、隣の部屋のラジオから微かに聴こえるくらいの音量で静かなピアノ曲やギターソロの曲、古いジャズ等を聴く。

雨が降ればその雨音が聴こえるくらいの音量で音楽を聴いていると、普通に聴いている時以上にひとつひとつの音が心に真っ直ぐに沁みてくるようです。
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# by maru33340 | 2017-06-02 04:45 | Trackback | Comments(6)
2017年 03月 12日

『騎士団長殺し』から『ドン・ジョヴァンニ』へ

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村上春樹の新刊『騎士団長殺し』では一枚の日本画が重要な役割を持つけれど、いつもの彼の小説にも増してクラシック音楽も直接そのテーマに関わってくる。

中でもタイトルからしてそのものズバリのように『ドン・ジョヴァンニ』はこの小説に通奏低音のように流れ続けているから、読みながら聴きたくてたまらなくなってくる。

演奏はやはり重厚で迫力のあるオットー・クレンペラーによるものが、冒頭の一音から僕を引きこんで込んで離さない。
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# by maru33340 | 2017-03-12 09:52 | お勧めの本 | Trackback | Comments(5)
2017年 03月 08日

久保田万太郎のことなど

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長編小説を読み終えた後はあまり長い物語を読むような心持ちになれないので、本棚から久保田万太郎の俳句を集めた本『こでまり抄』(ふらんす堂)を取り出して眺める。

小振りですっきりとした装幀も好ましい。

久保田万太郎は浅草に生まれた小説家・劇作家・俳人。
若い時にも少し読んだけれど、この歳になって再読するとその俳句がじんわりと心にしみるよう。

いくつか。

ぬれそめてあかるき屋根や夕時雨

年の暮れ形見に帯をもらひけり

あきかぜのふきぬけゆくや人の中

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり

小でまりの花に風いで来たりけり
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# by maru33340 | 2017-03-08 20:38 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)