昨夜、片岡義男のエッセイ集を読んでいて、ふいにベートーヴェンの音楽が聴きたくなった。
特にどの曲、誰の演奏ということではなく、ただ清潔で親しみに溢れたベートーヴェンの音楽に身を浸したいという気持ちになったのだ。
こういう時はSpotifyのアンソロジー機能は便利で、「リラクシングベートーヴェン」というプレイリストをランダム再生で聴いた。
曲目は、比較的初期のピアノ曲や室内楽のアダージョ楽章が多く、演奏もNAXOSレーベルのそんなに知られていない演奏家によるものが多い。
それらの曲を、何の曲、誰の演奏ということをあまり意識することなく、本を読みながら、漠然と聴いている時間はとても幸福な時間だった。
こんな時間が続くなら他には何もいらない、とさえ思えて、僕はふと、映画『PERFECT DAYS』の平山のことを思いだしていた。