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13年目の3.11のために


かつて8月15日が近づくと死者の魂の気配を感じて心が重たくなった。
2011年3月11日以降は、毎年3.11前後は気持ちが沈むようだ。

昨年から今年にかけては、昭和という時代を象徴するような有名人の訃報が続いた…

大江健三郎、坂本龍一、谷村新司、八代亜紀、小澤征爾…
最近では鳥山明とちびまる子ちゃん役の声優の訃報に接して言葉を失った……

それはもちろんこちらの年齢がそれなりの年齢になったからかも知れないけれど、それにしてもこんなに短期間に…という気持ちがぬぐえない…

今朝、友人から東京タワーで高峰秀子生誕100周年の展示があると連絡をもらい、ふと「昭和へのレクイエム」という言葉が思い浮かんだのは、間もなく42年間の会社員生活を卒業する僕の感傷だろうか…

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# by maru33340 | 2024-03-11 09:43 | Trackback | Comments(2)

学生時代、僕が所属していた大学のサークルであるレコード鑑賞会の先輩の一人に朴さんという女性がいた。

彼女はいつも穏やかに微笑んでいて、いつもその周りには柔らかい光が射し込込んでいるような印象があった…

だから、少し前になるけれど著書『帝国の慰安婦』が日韓で大きな論争を巻き起こした時、友人から、日本文学研究者でその本の著者である朴裕河(パク ユハ)氏が、僕が所属していたサークルの先輩の一人である朴さんと同一人物だったと聞いた時には、にわかには信じられなかった。

僕はまだ朴氏の著書『帝国の慰安婦』を読んだことはなかったけれど、今年2月22日の「朝日新聞」に掲載された「日韓未来に向けて」というタイトルの彼女へのインタビューを読んで、慰安婦問題について語る朴氏の、右でも左でもない(物事に白黒をつけて簡単に決着するのではなく)非常に粘り強い彼女の思考の一端に触れてその優秀さと(同時に)孤独を感じた。

朴氏はこんな風に語る。

「重要なのは右か左か、あるいは日本側か韓国側かではなく、考え方が合理的かつ倫理的であるかどうかのはずです。さらに言えば、柔軟な姿勢で視座を変えながら考えることこそが今の時代には必要と考えます」

「日韓問題ではよくファクトの重要性が強調されます。それ以上にまずは『態度』が大切だと感じています。人は誰でも多少の偏見を持って生きています。なぜそう考えるのか常に自問し続ける。個人であれ歴史であれ、相手のことを知ってこそ正しい批判もより深い理解も可能になります。理解すると相手を受け止める余裕が生まれる。過去のことを自分と同一視して感情に振り回されることが多いですが、自分の知る過去はほんの一部に過ぎないという謙虚さで向き合うと、より明るい未来が見えてくると思います」

今、世の中の「不寛容」が益々猛威を奮っているように感じる中、朴氏の考え方はとても貴重だ。

しかし同時に(その誠実さ故に)ひどく苦しい立場に立たされる危うさもまたはらんでいるのかも知れない…と感じたのだった。

実は、朴裕河氏の名前は先日入手した『五木寛之コレクションⅢ 異国ロマンス集』の巻末の五木寛之氏と四方田犬彦氏の特別対談の中でも突然登場したのだけれど、その話はまた別の機会に。

「白か黒か」ではない思考に就いて_f0061531_09425894.jpg



# by maru33340 | 2024-03-04 09:42 | Trackback | Comments(2)
僕がまだ大学生だった頃、まだデビュー前の松田聖子が蒲池法子という本名でラジオの番組に出ていた。

初めて彼女の声を聴いた時、僕は「彼女は絶対にスターになる」と確信し、周りの友人達に話したけれど反応は薄かった。

その後、松田聖子は1980年に資生堂のエクボのCMソング「裸足の季節」でデビュー、2曲目の「青い珊瑚礁」が大ヒットしてあっという間に昭和を代表するアイドルになる…

そんなおじさんの昔ばなしを始めたのは、宮藤官九郎脚本によるドラマ「不適切にもほどがある」(第6話)で、主演の阿部サダヲの娘純子を演じる河合優実の歌声を聴いたから。

河合優実は既に多くの映画やドラマでは実績のある女優だったけれど、僕はこのドラマで初めて彼女の魅力を知り、改めて彼女が出演する『愛なのに』や『由宇子の天秤』などいくつかの映画を観た。

そして、抜群の演技力、ダンスに加え歌も歌える、山口百恵に似た翳りと『時をかける少女』の原田知世の純粋さを奇跡的に兼ね備えた河合優実という女優は、令和を代表する大女優になる、と確信したのでした。

「体験的アイドル史」(第一章)松田聖子から河合優実まで(冒頭)_f0061531_05565811.png

※下記の映像で河合優実が歌い出すシーンは、まさに「スター誕生」の瞬間を感じ鳥肌が立った。
随所に入るシャクリもデビュー当時の松田聖子を彷彿とさせる。


# by maru33340 | 2024-03-03 05:54 | Trackback | Comments(2)

「翔平ブギウギ」

「翔平ブギウギ」

朝もはよから
大谷さん
どこをつけても
大谷さん
婚約いつした
誰とした
そんなんどうでもよろしやろ
翔平、翔平、翔平、翔平
わてほんまによう言わんわ
わてほんまによう言わんわ
ああしんど

「ブギウギ」(スズ子)

# by maru33340 | 2024-03-01 09:36 | Trackback | Comments(5)


友人と飲んでいると、時折「お、今良いこと言ったよね」と二人で合点して、それを友人がメモしてくれる。

後からそのメモを友人がLINEで送ってくれて、もちろん覚えていることもあるけれど、中には「ちょっと何言ってるかわからない」ような言葉もあって、酔っ払いの思考回路や飲んでいる「場」のエネルギーの可笑しみを痛感する。

先日、一人で飲んでいた時にふと

「好きは因数分解出来ない」

という言葉が頭に浮かびスマホにメモしていた。

どういう文脈でその言葉が思いついたのか定かではないけれど、もうすぐ42年間務めた今の会社を卒業するにあたって、自分の会社員生活を振り返った時に、

「なんだかんだ言いながらも、学生時代に好きだった本や音楽や芸術に縁のある会社に入社し、10年ほど前からそれに直接関わるような部署に配属になって、会社の歴史を調べたり、書いたり、語ったり、展覧会の企画に携わったりと、結局学生時代に自分が好きだった事を仕事にしてきた幸せな会社員生活だったなあ…」

という感慨にふけりながら、

「人は20歳頃に好きなだったことを60代になっても繰り返す生き物なのかも知れない。そして、自分が好きなことは、それが何故好きなのかを分析しようとしても、とどのつまりは「好きだから好きなんだ」ということになり、分析しようがない」

ということを

「好きは因数分解できない」

という言葉にしたのかも知れないと思い至った。

「因数分解」という言葉の使い方として、超文系人間の僕には果たしてそれが正しいかどうかはわからないけどれど、今の僕にはしっくりくるような気がしているのです。




# by maru33340 | 2024-02-29 08:41 | Trackback | Comments(2)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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