毎年年末になると「今年の漢字」なるものが発表される。
今年は「金」という漢字が選ばれたそうで、この字が選ばれたのは5回目らしい。
理由はオリ・パラの日本人選手や大谷翔平選手などの活躍による“光”の『金(キン)』だけでなく、政治の裏金問題、闇バイトによる強盗事件、止まらない物価高騰など“影”の『金(かね)』を理由にあげる人が多く見られたの事…
しかしどうもこのイベント、筆者にはもう何年も前から賞味期限切れのイベントのように思える。
そういえば先日「流行語大賞」も発表され、「ふてほど」という言葉が選ばれたそう。
ドラマ『不適切にもほどがある』の略称らしい。
筆者は毎回このドラマを熱心に見ていて、ドラマの舞台になった松戸の喫茶店も見に行ったけれど、こんな略称は初めて聞いた…
こちらのイベントもまた賞味期限切れかも知れない。
年末には「レコード大賞」や「紅白歌合戦」があるけど、こちらも何年も前からマンネリ感漂うまさに賞味期限切れの心躍らぬイベントになってしまった…
エマヌエル・トッドは著書『西洋の敗北』の中で、「現代社会が抱える精神的・文化的危機を理解する上で、宗教がその影響力を失い集団的な価値観が崩壊していくニヒリズムの中で、個々の人々がどのようにして生きる意味を見出し、社会を支えていくのか」を問いかけている。
筆者はこれらマンネリズム漂う賞味期限切れのイベントに、あばら家に吹き込むすきま風のようなうすら寒いこの国のニヒリズムの象徴のようなものを感じてしまい、なんともやるせないような気持ちになってしまうのだ…
(内山丸吉時評エッセイ【内丸妄語❵より)