ブロムシュテットの「田園」を聴く

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NHK「クラシック音楽館」は冒頭に出てくるM…という人の勿体ぶった語り口が苦手で最近はほとんど見なくなってしまったけれど、今夜はヘルベルト・ブロムシュテット指揮によるベートーヴェン「田園」の演奏だったので久しぶりに見てみた。

これは本当に素晴らしい演奏でした。

きびきびした早めのテンポ、指揮棒を使わず手刀を切るような若々しい指揮ぶり、メリハリのくっきりとした音楽作りはとても91歳の人とは思えない。

「雷雨・嵐」の楽章ではその迫力に思わず居住まいを正した。

ブロムシュテットの練習は(その風貌には似合わず)とても厳しいものらしいけれど、醸し出される音楽からは演奏する悦びが溢れ出るよう。

ブロムシュテットさん、見るたびに若返っているような気さえします。
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# by maru33340 | 2018-11-18 22:03 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)

風立ちぬ、いざ生きめやも

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今朝、空を眺めれば一面に層状雲が広がる。
白と青のコントラストが美しい。
久しぶりに頭を上げて空を眺めるような気がします。

「風立ちぬ、いざ生きめやも」

まだまだ人生には美しいものがある。
聴きたい音楽も読みたい本もたくさん残っている。

友人の分もまた生きなくては、日々の生活の中にささやかな悦びを見つけながら暮らして行かなくては、と思う朝です。
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# by maru33340 | 2018-11-17 08:41 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

朝のインヴェンション

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昨夜少し胃が痛く早めに横になったので、今朝は朝早く目覚める。

ふとバッハが聴きたくなり、久しぶりにピーター・ゼルキンの弾くバッハのインヴェンションとシンフォニアを聴く。

奇をてらうことない、繊細で静かで柔らかな音色のバッハを聴いていると少しずつ心が鎮まり整ってくるような気がする。

やはり行き着く所はバッハ、改めてそう思います。
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# by maru33340 | 2018-11-17 05:27 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

記憶の中に人は生き続けること

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学生時代の友人の通夜に参列し掛川に戻る新幹線の中で、福岡伸一さんの著者『動的平衡 ダイアローグ』を読む。

その対談の中でカズオ・イシグロの語るこんな言葉を見つけた。

「ジョージ・ガーシュウィンに「They Can't
Take That Away from me」という曲があるんです。「誰も私からそれを奪うことはできない」―ここでいう「それ」とは記憶です。記憶とは、死に対する部分的な勝利なのです。」

「私たちは、とても大切な人々を死によって失います。それでも、彼らの記憶を保ち続けることはできる。これこそが記憶のもつ大きな力です。」

記憶の中に友人がいる限り、彼はある意味では生き続けているのだ、と思います。
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# by maru33340 | 2018-11-15 22:49 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

無常といふこと

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先週仕事で京都の宇治を訪れた時、宇治川橋を渡りこの場所が『源氏物語』の「宇治十帖」の舞台であることを思い出し、自分がまるでその物語の舞台に紛れ込んだような錯覚に襲われた。

宇治川の流れをしばらくぼんやり眺めながら「宇治十帖」に流れる「無常感」のことを考え、ふと『方丈記』の冒頭の有名な言葉を思い出した。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまる例なし」

そんな気持ちを抱えたま自宅に戻った翌日、大学時代の友人の急逝の知らせを受け、まさに人の世の無常をつくづくと感じた。

明日はその友人の通夜。

彼と過ごした若き日々を久しぶりに思い出したい、と思います。
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# by maru33340 | 2018-11-14 20:54 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

亡き友のために

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大学生時代、僕も在籍していたクラシック音楽を聴くサークルに、仏文学科に在籍していたS君という同学年の(ただし年齢は彼が少し上)友人がいた。

良く言えば個性的な、相手が先輩だろうがなんだろうが「自分はこう思う。わからない方がバカなんだ!」と出張するような男だったけれど、何故か僕とは気が合い、彼の住むマンションの最上階のオーディオルームで一緒にクラシック音楽を聴いた。

ヘビースモーカーの彼は、フランスの両巻き煙草「ゴロワーズ」を燻らしながら「『ペレアスとメリザンド』はアンゲルブレシュト指揮の演奏を聴かなくちゃ。他の演奏はゴミだよ」とか「デゾミエールの演奏を聴いたかい?あれは凄いよ」等と語る。

当時マーラー熱に浮かされていて、ようやくフォーレの音楽に目覚めフランス音楽を聴き始めたばかりの僕には、彼は同級生ながら、ずっと先を歩く先輩のようだった。

そんな、ほとんど人のことを誉めない彼が何かの文集に載った僕のつたない文章を読んで「君は文章を書いて生きていくべきだ」と呟いたのは今から40年近く前のこと。

大学を卒業してから彼とは一度も会っていなかったけれど、彼と共通の友人から彼が亡くなったとの知らせを受けた。

長く癌と闘っていたそうだ。

僕が今(そしてこれから)彼のために出来ることはなんだろうか…
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# by maru33340 | 2018-11-11 18:56 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

驚くべきミステリー『カササギ殺人事件』を読む

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今週は東へ西への新幹線の移動が続いたけれど、思ったより大変だと感じなかったのは、旅のお供にと持っていった英国製ミステリー『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著)が時を忘れるほど面白かったから。

子どもの頃、面白い物語を読むと本が終わってしまうのが惜しくて、本の残りの厚さを何度も確かめ少し読むスピードを落としたりしたものだけど、この本は久しぶりにそんな思いになる本だった。

アガサ・クリスティを彷彿とさせる本編だけでも十分に面白いのに、作品の構造自体にあっと驚くような工夫がされている。

これ以上書くとこれから読もうとする方に申し訳ないので、解説の言葉を借りて一言だけ言うと「『カササギ殺人事件』は、現実の物語が虚構の物語を包含した(犯人あての物語の中に犯人あての物語が丸ごと一本入った)一作で二度謎解きの妙味を味わえる贅沢な作りのミステリー」になっている。

この遊び心に満ちた英国ミステリーの傑作はこれから年末にかけて数々の賞を受賞しそうです。
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# by maru33340 | 2018-11-11 07:07 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

浅田真央を超える逸材の登場に震える

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今日は休日出勤。

少し早めに帰宅しフィギュアスケートNHK杯女子フリーで紀平梨花の演技を初めて見る。
スピード、切れ味、表現力、技術…全て素晴らしい。
浅田真央を継ぎ・超える新たな天才の登場に鳥肌が立つ。

紀平の素顔はまだ幼さの残る16歳。

試合の結果はグランプリシリーズ初出場で高得点で初優勝。

同じコーチの宮原知子は2位。

演技を終えた宮原と紀平がインタビュー前にすれ違った時目も合わさなかった姿に、勝負というものの厳しさと残酷さを感じました。
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# by maru33340 | 2018-11-10 19:16 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

繰り返し聴きたい「四季」のこと

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京都出張から戻りジュリアーノ・カルミニョーラのヴァイオリンによるヴィヴァルディの「四季」を聴き始めた。

先日初めてカルミニョーラによるバッハの無伴奏ソナタ&パルティータを聴きとても素晴らしかったのでAmazonで頼んでいたアルバム。

聴き馴れたヴィヴァルディの「四季」という曲が、真新しい清んだ水によって洗われ新たに生まれ変わったような新鮮でみずみずしいとても美しい演奏。

特に「夏」の終楽章の嵐の表現の切れ味鋭い表現、「冬」の二楽章の緑葉樹の厚い緑の葉に積もった雪が、朝陽をうけて溶けキラキラと耀くような表情の美しさは、初めて聴く「四季」の姿でした。

これからも繰り返し聴く「四季」になりそうです。
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# by maru33340 | 2018-11-08 21:14 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

「文士」という生き方

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「文士」という言葉はもはや死語に近いのかも知れない。
それでも僕は(古い人間のせいか)その言葉や生き方に憧れがある。

堀田善衛という人の本も今の若い人はどれだけ読んでいるだろか?

かくいう僕も高校生の頃、父の本棚にあった堀田善衛の『ゴヤ』(全4巻)を途中まで読んで挫折したままだからとても堀田善衛を語る資格はない。

この『ただの文士 父堀田善衛のこと』という本は、彼の娘の堀田文子さんによる回想だけど、父との適度の距離感が良いし、堀田自身の文章の的確な引用により、生涯勉強を続けた飽くなき好奇心の固まりのような堀田善衛という作家の最良の入門書になっている。

再び腰を落ち着けて堀田善衛の『方丈記私記』や『ゴヤ』を読み返したくなりました。
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# by maru33340 | 2018-11-06 07:57 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)

音楽・本・映画などについての私的な感想


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