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2008年の本・音楽・映画

以前は良く、吉田秀和さんが朝日新聞に連載していた「今年のCDから」という記事を参考にして、そこに紹介されているCDを購入したもの。

それをちょっと真似て2008年に印象に残った、本・音楽・映画それぞれの私的なベスト3について書いてみることにする。

まずは本から。

◎『古事記講義』』(三浦佑之)

今年前半は「古事記」がマイブームで、しばらく「古事記」にはまった。
そのきっかけがこの本。
(この頃は本を読んで面白いと思った部分に黄色いラインマーカーをひくということをしていたけれど、対向ページに色うつりがするのと、本を読みながらついうっかり眠ってしまい洋服に黄色がついてしまうことがしばしば発生したので、その後この習慣は無くなった。)

◎『空からきた魚』(アーサー・ビナード)

この人のエッセイは本当に面白い。
まさに「日本語遣い」。この本を読んでいると「決して日本語は亡びない」という気持ちになる。
今年はアーサー・ビナードさんの講演会にも行ってその人柄に触れ一層ファンになった。

◎『旅する力 深夜特急ノート』(沢木耕太郎)

今年は4月に東京へ転勤、8月に資格試験受験(結局今年は落ちたけど・・・)のため、春・夏とあまり本が読めなかったけれど、後半は良い本に巡り会えた。
その中でもこの『旅する力 深夜特急ノート』は圧倒的に面白かった。

この本についてはブログで次のように書いた。

この本で紹介されている大言海による旅の定義
(旅とは)「家ヲ出デテ、遠キニ行キ、途中ニアルコト」
つまり、「旅とは途上にあること」という認識から、旅は人生のようだという感慨が生まれる。
その意味でもし「途上にあること」が旅であるなら、本を読んでいる時間や映画を観たり、音楽を聴いている時間もまた一つの旅であるかも知れない…


次に音楽。

◎ダニエル・ハーディングのマーラー交響曲10番

サイモン・ラトルを若き旗手と思っていたけれど、ダニエル・ハーディングは更に若く、まごうかたなく天才である。
マーラーの交響曲ではなんといっても9番が好きだけれど、10番はもしかすると更に彼岸に近い境地かもしれない。
ウイーン・フィルの弦の響きも素晴らしい。

◎セルゲイ・シェプキンのゴルドベルク変奏曲

明るい明るいバッハ。
あの音楽室で謹厳なプロテスタントそのものの顔をしているバッハがこんなに明るくて楽しくていいかしらと心配になるほど。
子供が音楽の授業で最初にこの音楽を聴けばバッハのイメージは大きく変わるだろう。

◎バレンボイムのバッハ平均律クラウ゛ィーア曲集

音楽については私的に今年はバッハの年でしたが、数あるバッハのCDの中でもこの平均律クラウ゛ィーア曲集は最高のものの一つ。
リヒテル、グールドいずれも素晴らしいけれど、バレンボイムのバッハは天上から降ってくる聖なる音楽という気がする。
この曲を聴いていると「今、自分は生きている」という得体の知れない感銘に包まれます。

最後に映画。

◎『幻影師アイゼンハイム』

ここ数年で観た洋画の中でもベスト3に入ります。
最後の10分間で、それまでの世界が一転する快感は例えようがない。
もう一度、いやこれから何年かに一回は必ず観たい映画。
(その度にやはり驚くだろうなあ)

◎『おくりびと』

これもここ数年に観た日本映画の中でもベスト3に入る素晴らしい映画。
内容的にも深々と心に残るしユーモアもある。
映像、音楽も素晴らしい。
これも繰り返し観たい映画。

◎『地上5センチの恋心』

これはDVDで観たけれど、観終わって間違いなく幸福な気分になるフランス映画。
もし今何かの理由で落ち込んでいる人がいたら是非この映画を観て欲しいと心から願います。

番外編。2つのドラマ。

◎『冬のソナタ』

金沢に単身赴任中に、内田樹さんの「『冬ソナ』夢幻能説」に導かれて、窓外に降る雪を眺めながらひとりコタツに入り、ネットのダウンロードで見始めた所、ものの見事にはまった。

その時のブログには、こんな風に書いています。

このドラマがあんなに社会現象になるまで多くの人に支持されたのは、一人ひとりが心の奥に秘めている日常生活の奥に潜む「神話的時間」(あるいは初恋であったり、許されない恋の記憶であったり、既に失った愛する人と過ごしたかけがえのない時間であったりするわけだけれど)の回復のための物語であるからなのかも知れない。
ユジン(チェ・ジュウ)が何度も流す涙は、こうした失われた「神話的時間」を弔う(=回復する)ための「葬送儀礼」であり、そこに観るものは大きなカタルシスを覚えるのだろう。


◎『風のガーデン』

今年亡くなった緒形拳さんの遺作。
毎回息をひそめるようにして見続けたドラマ。
こんなに素晴らしいテレビドラマに出会えることはそうそうないだろう。

最終回の中井貴一の壮絶なまでの演技。
自然の美しさ。音楽の素晴らしさ。
倉本聡さんの最高傑作です。

来年も素晴らしい本・音楽・映画と出合えることを期待しています。

今年1年当ブログにお付き合いいただいた皆様に感謝いたします。
では良いお年を。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-30 22:23
私も読書ベスト20をまとめました。
「古事記講義」はこちらで教えていただいたのですが惜しくも23位です^^。来年もよろしく!
Commented by maru at 2008-12-31 09:12 x
saheiziさま
読書ベスト20楽しく読ませていただきました。
来年もブログ楽しみに読ませていただきます。
よろしくお願いします。
by maru33340 | 2008-12-30 16:09 | お勧めの本 | Trackback | Comments(2)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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