2009年 11月 15日
映画『ゼロの焦点』(結末に触れますのでご注意下さい)
今日から封切の大作映画『ゼロの焦点』をレイトショーで見た。
冒頭から中盤までは原作に忠実に、昭和32年という時代を丁寧に再現していて、「もしかするとこれは傑作かも…」と期待させる。
しかし肝心の謎解きの部分に入ってからがいけない。
能登金剛の絶壁から鵜原憲一を室田佐知子が突き落とすシーンあたりから様子がおかしくなってくる。
中谷美紀の顔にライトを当て、おどろおどろしさを出そうとするのが、まるで遊園地のお化け屋敷のアトラクションの様で薄べったい。
室田儀作が自主しながらピストルで自殺するという原作とは異なるシーンも生きていない。
佐知子が狂乱し顔中血だらけになるシーンにリアリティはないし、佐知子の弟の存在にも意味がない。
ラスト近く「オンリーユー」の曲が流れるのもネタばれで白けてしまう。
時代考証が丁寧な分、後半のアラが目立ちなんとも中途半端な気持ちで映画館を出た。
口直しに野村芳太郎監督の昔の『ゼロの焦点』を見たくなってしまった。
いやはや映画とは難しいものだ。