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『フェルメールの楽器』(梅津時比古著、毎日新聞社)

例えば夜半に降った雨が、通勤途中の芝生をしっとり濡らしているのを見て少し心が和らぐような、この本に収められた音楽と演奏を巡るエッセィには、そんな趣があるようだ。

こんな文章がある。

「森のなかの常緑樹の葉の上に、まだ雪が残っているとき…。その白い連なりを見ているとシベリウスの音が聴こえてくる。冷たい空気を、静寂によって切り裂いてゆくような音。
あるいは、温かくなってからの風のなかに混じる花びらや土ぼこりからも、または夏の名残の海辺の残光からも、いろいろな音が、さまざまな変化を伴いながら、届いてくる。」

こんな文章で書かれた音楽評が何篇か。
ゆっくり大切に読みたい一冊だ。


フェルメールの楽器 音楽の新しい聴き方

梅津 時比古 / 毎日新聞社


Commented by k_hankichi at 2010-06-21 22:53
共感します。このような感性を持っている人のことが、好きです。シベリウスのバイオリン協奏曲を、聴きたくなった…。
by maru33340 | 2010-06-21 19:21 | お勧めの本 | Trackback | Comments(1)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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