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デュプレのベートーベン/チェロ・ソナタ

何となく、ベートーベンのバイオリン・ソナタは苦手という意識があった。(というよりベートーベンに限らず、二重奏全般が苦手という)

二重奏はいわば二つの楽器の「対話」から成り立っている音楽かと思うけれど、演奏している二人が熱心に対話するにつれ、それを聴いている自分は対話の「かやの外」にいるような疎外感に襲われ、いつもなんとなく所在無い心持ちになる。

しかし、今日デュプレの演奏するベートーベンのチェロ・ソナタを聴いていて、デュプレ渾身のチェロに肩入れし、自分自身がチェロを弾いているようで、とても心地良かったのだ。

そこで、はたと気がついたのは、そういえば独奏曲を聴いている時は独奏者の気持ちになり、オーケストラを聴いている時は指揮者の気持ちになって音楽を聴いているという事だった。

つまりは二重奏を聴いている時は「自我」が音楽の外側にあるけれど、独奏曲やオーケストラを聴いている時は「自我」が消えて音楽の内側に吸収されており、僕にとっては、「自我」が消えている時に音楽はとても気持ち良いものになっているという事だ。

これは「唯識」で考えると、自我の捕われから開放された時、僕にとって音楽は幸福な時間をもたらしてくれるという事にも繋がるのかも知れない。
Commented by k_hankichi at 2010-11-30 01:05
眺める側なのか、音楽の側なのかで、まったく心の底流に流れるものが異なるのですね。
Commented by maru33340 at 2010-11-30 07:18
そうやね。しかしベートーベンのチェロソナタはいいなあ。(今もきいちょります)
Commented by k_hankichi at 2010-12-05 21:01
Youtubeで、彼女によるチェロソナタ第5番ニ長調の第二楽章を聴いて、震撼しました。さきほど、全集を注文してしまいました。バレンボイムと夫妻だったことも、やっと思い出し、「愛する」ということについての想いが湧き上がり、ぞくっとしました。

http://www.youtube.com/watch?v=YSLun3TqE08&feature=related
by maru33340 | 2010-11-29 07:58 | お勧めの本 | Trackback | Comments(3)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
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