2011年 10月 18日
『風の良寛』(中野孝次著、文春文庫)
中野孝次の語る良寛の姿は、人があるべき一つの桃源郷のようである。
「有為でなく、無為、鳥の声を聴き、白雲を見、自分自身が自然の一部になりきったような所にいて、それを退屈と感じない。感じないどころか、そこにこそ真の「道」がある。無限にゆたかなものがそこから流れ出てくる始源に自分はいる。ときにその静寂の中で座禅し、ときに詩を作り、晴れれば乞食に出て児童と遊ぶ。(中略)良寛は何も持たなかったけれど、時間に関する限りは、どんな王侯にもまさった時間大尽だった。時間のすべてが自分のためにあった。」
良寛の歌
「草の庵に
足さしのべて
小山田の
山田のかはず
聞くが楽しさ」
の境地を、今の僕は人としての至福と感じています。