人気ブログランキング | 話題のタグを見る

般若心経とゴルトベルク変奏曲

昨夜眠りにつく前に、ぼんやりと、仏教のいわゆる「空」の思想の事を考えていて、「空」について、簡潔にして、また詩のように語るのは、やはり般若心経であるなあと思い、少し入門書を読み始めた。

「色不異空 空不異色 色即是空 空即是色」

(形あるものは全て空 空は色に異ならない あらゆる現象は空であり 空はすなわち色である)

形あるものだけでなく、人の感覚や知覚、意志、意識、認識を含めた全ての顕れなど、一切の現象にも実体はなく、縁起によって生じ、また消えていく…

この有名な箇所を読みながら、僕は突然バッハの「ゴルトベルク変奏曲」の事を考えていた。

最初に現れたテーマが、様々な形に変奏される。

それはフーガとして、テーマを追いかけ、つながり、変化し消えていく。

その音たちは、常に変化の中にあり、留まる事はない。

そして聴くものに、確かな感銘を与えながら、その正体をつかむことは出来ない。

その秩序と、それでいて一瞬たりとも、留まることない変化の姿は確かに美しいけれど、美しさそのものを、これと指差す事は出来ない。

ゴルトベルクの30変奏曲は、農民の素朴な踊りのような喜悦に満たされるけれど、この箇所は「般若心経」の最後に
「ぎゃていぎゃていはらぎゃてい
はらそうぎゃてい
ぼじそわか」
と、悦びに満ちた真言が唱えられる箇所の、舞曲のような印象に とても近いのだ。
Tracked from クラシック音楽ぶった斬り at 2011-12-06 06:03
タイトル : ミュンヒンガーのバッハ:フーガの技法&音楽の捧げもの
長年にわたるミュンヒンガーのバッハ音楽研究の成果が、見事に表れており、バッハの音楽の真髄を極めた名演奏である。... more
Commented by Ich at 2011-11-22 09:48 x
素晴らしい心境です。いえ、心境という言葉よりもあらたな思想と申しましょうか・・・
Commented by k_hankichi at 2011-11-22 13:48
仏と神の世界は、どちらも無我ということかもしれません。ゴルトベルクはそこからの音楽なんですね。
Commented by maru33340 at 2011-11-22 18:46
Ichさま
いやはや、とても思想とは呼べぬ妄想かも知れませぬ。
Commented by maru33340 at 2011-11-22 18:48
はんきちさん
無私、無我、無常…最近益々「無」の世界に惹かれますな。
by maru33340 | 2011-11-21 23:16 | お勧めの本 | Trackback(1) | Comments(4)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31