人気ブログランキング | 話題のタグを見る

柳家小さんを聞き直す

先頃刊行された『落語家昭和の名人くらべ』(京須偕充著、文藝春秋刊)は、著者が親しんできた、昭和の名人である志ん生、圓生、文楽、三木助、小さん、志ん朝のエピソードや素顔、得意とした演目を語った、詠みやすいエッセイ。

一気に読了した。

中でも僕には志ん朝の、社交性と人嫌いの二面性を語った章が面白かったけれど、それはまたの機会に書く事にして、今日は、(先代)小さんについて。

僕が学生時代に寄席に通い始めた頃(昭和50年代後半)、小さんは落語協会会長職にあり重鎮として君臨していたけれど、その高座は20代の若者だった僕には、あんまり渋すぎて面白くなかった。

声も小さいし、表情も乏しく、なんだかいかにも面倒くさいような感じで演じているのが、「なんだかなあ」という感じだった。

当時僕が好きだったのは、圓生。

いかにも名人然とした風情で、かたわらの白湯を飲む姿も格好よく、「えー、どうもこの」なんという語り口に痺れた。

それに比べると小さんは、いかにも野暮ったいように思えた。

しかし、この本の著者の小さん評を読んで、少し小さんを聞き直してみようという気になり、図書館で「うどんや・千早ふる」の入ったCDを借りてきて聞いてみた。

すると驚いた事に、確かに愛想はないけれど、何とも惚けた味わいがあり面白いのだ。

特に「千早ふる」は、その間合いや言葉使いが、そっくり小三治で、「ああ、なるほど小三治のおかしみは、見事に小さんを引き継いだものだったのだ。」と今更ながら気がついた。

30年経ってようやくその真価を知りました。

いやはや。
Commented by saheizi-inokori at 2012-02-26 19:00
剣道の方が大事だったとか、渋いけどなんとも言えない滑稽みがあってテープを聴いては一人笑いしてます。
Commented by maru33340 at 2012-02-26 21:24
佐平治さん
小さんという人の滑稽味に気づくまで30年かかってしまいました。これから少し聞き始めたいと思います。
Commented by k_hankichi at 2012-02-26 22:04
小さんという人は、なにか江戸の商家(煙管問屋かなにか)の旦那のように思っていました。その人の街場の語りを聴きたくなりました。
Commented by maru33340 at 2012-02-27 16:47
はんきちさん
小さんの落語は「まさにこれこそ落語」という感じです。
by maru33340 | 2012-02-26 17:21 | お勧めの本 | Trackback | Comments(4)

音楽・本・映画などについての私的な感想


by maru33340
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31