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『英語で読む村上春樹』が完結

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NHKラジオ講座のテキスト『英語で読む村上春樹』を、面白そうだなと思い、毎月購入していた。
(ラジオ番組は聞いていないけど)

今日、9月号を入手し、4月号からの6巻が完結したので、一気に読了した。

テキストには、村上春樹の短編小説の「象の消滅」を英語と日本語の対訳で掲載し、その詳細な説明や、学者や作家・評論家による対談、若手作家による村上春樹へのトリビュート作品を掲載している。

読み込みは丁寧で実に面白いし、第2部の対談もまたとても刺激的である。

4月号の対談では、沼野充義、都甲幸治、古川日出男、石原千秋による対談だけれど、やはり古川日出男の話が(対談からは、少しずれてるけど)実作者ならではの、ひらめきに満ちていて面白い。

例えばこんな発言。

「村上さんというのは器をつくる人だと思うんです。器というのは、小説においては文体です。(中略)普通の日本文学では確かに、その器、そのカップって、もしかしたら既製品かもしれないんです。なぜなら国内の読者しか想定していないから。そんなふうに「国内向け」なので既製品でも使いまわせるんですけれども、村上さんはどうも陶芸作家のように器そのものをつくっている。」

作家の直観は、なかなか面白い。

もう一度、村上春樹の短編を丁寧に読み返したくなってきた。
Commented by k_hankichi at 2013-09-02 22:37
器をつくる、とはすごい観方ですね。雰囲気をつくる感性をつくる、と辻邦生が、サンサシオンという言葉で言っていたことを思い出した。
Commented by maru33340 at 2013-09-03 06:02
古川さんの村上春樹の読み方は面白くて、この対談はとても読みごたえがあるのです。
Commented by およう at 2013-09-03 21:01 x
このタイトルは村上春樹さんの作品にぴったりですね。まさに世界の人々に通じる器・・・。もう少し中身に玉露の味がするともっといいのですが・・・。(生意気な老婆)
Commented at 2013-09-03 22:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by maru33340 at 2013-09-04 08:18
おようさん
僕も実は最近の村上春樹の良い読者ではないので、おっしゃる事よくわかります。
彼は基本的には短編(あるいは中編)作家のように感じています。
Commented by およう at 2013-09-04 20:06 x
恐縮です^^ 私もそのように思います。
このNHKのラジオ講座テキスト本、実はIchもドイツ語講座テキスト、聞きもしないのに集めるのが趣味^^ 付録のお話が面白いのです(^・^)
by maru33340 | 2013-09-02 21:47 | お勧めの本 | Trackback | Comments(6)

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